トピックス

●●●11月の牛肉家計消費は前年同月をかなり下回る●●●

 総務省の家計調査報告によると、米国でBSEが発生した平成15年12月から16年11月までの1年間の全国1人当たりの牛肉の家計消費は、数量が2,247グラムとなり、前年比で10.3%減とかなりの程度下回った。一方、支出金額をみると6,616円となり、同1.9%減とわずかに下回るにとどまった。このように、1年間でみると、支出金額の減少率に比して消費量の減少幅が大きくなっており、米国産牛肉の輸入一時停止措置に伴う牛肉価格の高騰などが主な要因と考えられる。

 さらに、16年11月をみると、全国1人当たりの消費量は前年同月比11.6%減の175グラム、支出金額は同7.1%減の503円と、数量、金額ともに前年同月と比べかなり下回った。これは上記の要因に加えて、暖冬や野菜価格の高騰の影響により、すき焼き、鍋物用の商材が不調であったことが挙げられる。

図1 牛肉の家計消費(1人当たり)
資料:総務省「家計消費報告」

●●●生産情報公表JAS認定の豚肉生産が開始●●●

 消費者の食の安全・安心への関心が高まる中、生産情報公表JAS規格の認定が開始されている。

 牛肉については、牛肉トレーサビリティ法に基づき、国内で飼養されるすべての牛について耳標が装着され、生年月日、品種やと畜年月日などが個体識別番号により照会可能となっている。さらに生産情報公表JASにより、給与飼料の内容や動物用医薬品の薬効分類などについての情報が公表されており、15年12月から施行されている。

 このような中、豚肉についても16年6月に、生産情報公表JAS規格が制定された。

 豚については、群管理のため個体識別が牛より困難なこと、一貫経営が多く移動の機会が少ないなど牛との相違点が挙げられるが、このJAS規格は、牛肉と同様に、事業者の任意の規格として、豚肉の生産情報を消費者に正確に伝えることを第三者機関である登録認定機関が認定するものである。

 生産情報公表豚肉のJAS規格は、生産情報を1頭ごとまたは一群(30頭以内の群)ごとにその生産情報(出生月日、管理者氏名、と畜年月日など)および飼養方法(給与した飼料の名称、使用した動物用医薬品の薬効分類および名称など)の基準を記録、保管し、公表することとなっている。

 認定された豚肉には、生産情報公表JASマーク(図2)が付され、生産情報の公表方法(ファックス番号やホームページアドレスなど情報を入手するために必要な連絡先)を記載することになっており、昨年11月に秋田県下の農場において豚肉で第一号となる「生産情報公表JAS規格」認定がなされたところである。

図2 生産情報公表JASマーク
  マークの趣旨説明

 このマークは、生産情報が消費者に正確に伝達される様子をJASの文字を囲む矢で表現しています。
 

●●●タイ、中国から輸入される鶏肉調製品の家畜衛生条件について●●●

 鳥インフルエンザの発生により鶏肉の主要輸入相手国であったタイ、中国などへの輸入停止措置がとられてまもなく1年になる。

 この1年で輸入量は一時大幅に減少し、鶏肉の輸入先は、米国、ブラジルなどにシフトしていった。また、加熱処理などにより加工した鶏肉調製品の輸入量が大幅に伸び、冷凍食品や業務用向けなどの加工仕向け鶏肉の原料として供給されている。

 タイおよび中国とわが国の間では、「加熱処理された家きん肉等についての家畜衛生条件」が協議されて、タイからは、16年2月23日、中国からは同年3月19日以降にと鳥された家きんをその原料とする加熱処理加工された調製品について適用されているところである。

 これらの取り決めによると加工処理施設ごとにわが国の家畜衛生当局が立ち入り検査を行い、2年間を限度に「指定加熱処理施設」として指定し、必要があると認める時には「家畜衛生条件」が遵守されていることについて確認することができることとなっている。

●●●加工乳・成分調整牛乳生産量15カ月連続で増加●●●

 
図3 成分調整牛乳生産量
 
   

 農林水産省「牛乳乳製品統計」によると、平成16年11月の加工乳・成分調整牛乳生産量は、37,481キロリットル(前年同月比5.3%)と平成15年9月以降15カ月連続で前年同月を上回った。そのうち、成分調整牛乳の生産量は14,350キロリットル(同15.2%)と大きな伸びを維持している。

 成分調整牛乳は、平成15年6月25日に一部改正された「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」により、生乳から乳脂肪分などの成分の除去のみ行ったものとして、新たに設定された。この中には、生乳から脂肪の標準化(調整)などを行い殺菌などの処理を行った製品も該当し、低脂肪牛乳や無脂肪牛乳も含まれる。

 低脂肪牛乳などが牛乳と表記できるようになったことで、需要が伸びたことが生産量の大きな伸びにつながったと考えられる。

●●●小売価格は高水準で推移●●●

 総務省による主要品目の都市別小売価格の調査によると12月の東京都区部における鶏卵(白色卵L玉/10個/1パック)の価格は、236円となった。

 これは、調査対象銘柄(以前は1個約60gの卵1kg単位であった)を、変更した平成14年7月以来の最高値となっている。(図4)

 また、全国約4,800店の小売店を対象として、主要な食料品の小売価格等についての意見等を集約した「主要食品の小売価格などの見通し」(農林水産省)によると鶏卵は、昨年6月以降「前年同月に比べ高値が見込まれるもの」の食料品として毎月挙げられてきており、小売価格の推移と一致している。

 全農「畜産販売部情報」による東京都の鶏卵市場における12月の入荷量は7,714トンとなり前年同月を8.9%とかなりの程度下回っている。新年を迎え、年末のお菓子などの加工向け需要は一段落したものと思われるが、12月上旬に聞き取りされた1月、2月の採卵用めすひな出荷見通しは、前年同月に比べそれぞれ2%、8%減を予測しており、当面の間、小売価格高水準で推移するものと見込まれる。

図4 東京における総入荷量と小売価格の推移
資料:総務省「小売物価統計調査報告」
農林水産省「畜産物市況速報」、全農「畜産販売部情報」

●●●1〜3月期配合飼料価格、引き下げ●●●

 全農は12月20日、1〜3月期の配合飼料供給価格を全国全畜種総平均トン当たり約1,800円値下げすることを公表した。10〜12月にも4,200円値下げしているので、2四半期連続の値下げとなる。トウモロコシや大豆かすなどの値下げが大幅なことから、原料配合割合によって畜種別の改定額は大きく異なるとしている。

<最近の原料コスト動向など>

全農では、最近の原料コストの動向について次のように見込んでいる。

1.飼料穀物

 トウモロコシのシカゴ定期は、(1)米国で理想的な天候が続いたことにより、米国産トウモロコシが史上最高の生産量が見込まれること、(2)中国産についても豊作が見込まれていることなどから下落し、現在は190セント/ブッシェル(12月限)台で推移している。

 今後は、米国内需・輸出動向や南米産の生育動向に焦点は移っていくが、南米産とうもろこしの作付けは順調に進んでいることから、シカゴ定期は当面現行水準で推移すると見込まれる。

 1〜3月期のトウモロコシ価格は、10〜12月期に対し値下がりするものと見通される。

2.たんぱく質原料

 大豆かすのシカゴ定期は、米国で理想的な天候が続き本年の米国産大豆が史上最高の生産量見通しとなったことにより下落し、現在は150ドル/ショートトン(12月限)台で推移している。

 1〜3月期の国内大豆かす価格は、シカゴ定期の下落や円高の影響から、10〜12月期に対して値下がりすると見通される。

 輸入魚粉は、ペルーで漁が解禁となったが、現在のところ産地価格に大きな変化はない。また国内魚粉の生産は引き続き低調であるが、大豆かす価格が値下がりする見通しであり、1〜3月期の魚粉価格は前期に対して若干の値下げが予想される。

3.海上運賃

 米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、中国を中心とした粗鋼生産増加に伴う鉄鋼原料の活発な荷動きに加えて、北米産穀物の新穀輸出による荷動き増加や原油価格の高騰などを受けて再び騰勢を強めてきており、直近では70ドル/トン前後で推移している。

 今後は、(1)世界の粗鋼生産量増加に伴う鉄鋼原料の活発な荷動きが依然として続いていること、(2)原油価格も高止まりしていること、(3)暖房用燃料の需要期である冬場に入り石炭の荷動きが活発になると見込まれることなどから、今後も堅調な相場展開が予想される。

 前期に引き続き、配合飼料価格安定制度による補てん金は交付されない。

図5 副原料の輸入価格(CIF)

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