東北農政局/高村 和彦
青刈りとうもろこしなどの長大型作物については、高収量が望めるにもかかわらず収穫作業などの多労性ゆえに作付面積が年々減少してきている現状にある。このような中、近年、とうもろこしなどの長大型作物をロールベール化できる細断型ロールベーラが開発され、省力的なサイレージ収穫・調製体系が可能となり、青刈りとうもろこしの作付拡大が期待されているところである。そこで、(1)細断型ロールベーラを利用したとうもろこしラップサイレージの効率的な収穫作業体系、(2)安定した通年利用のため、保管・給与技術の普及・推進を図るため、現地検討会を独立行政法人家畜改良センター、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構(以下「生研センター」という。)、社団法人日本草地畜産種子協会、関東地域飼料増産推進協議会、東北地域水田等飼料作物増産戦略会議の5者の共催で平成16年10月19日から20日の2日間にわたり、独立行政法人家畜改良センター本所において開催し、行政機関、試験研究機関、関係団体、関係業界、畜産農家など約130名の参加があった。
20日の検討会では、開発や現地での評価試験に当った生研センターの志藤氏、家畜改良センターの滑川氏、福島県畜産試験場の大槻氏、岩手県農業研究センターの増田氏、群馬県畜産試験場の新井氏の5氏から、(1)細断型ロールベーラの作業性、(2)ラップサイレージの品質や保管・給与技術、(3)農家の評価、(4)今後の展開などについての発表があった。その後の総合討論では、生研センターの山名部長を座長に発表者5氏と、家畜改良センターの北池氏、東北大学の菅原教授が助言者として、周年利用時の保管技術と品質や生産コストなどについて、検討を行った。細断型ロールベーラを導入し、デンモンストレーションを行った宮城県内のコントラクター組合からは「参加農家から大きな反響があり、細断ロールの販売価格や作業受託料金の問い合わせがきている」との紹介があった。また、東北大学の菅原教授からは、「自給飼料生産に向けて、今後はコントラクターを活用するなど地域での仕組み作りが必要」との助言があった。 最後に生研センターの山名部長が「細断型ロールベーラ機械は市販までたどりついたが、今後、細断ロール利用の普及に向けて、これからが正念場と捉えたい。地域での普及等に本日参加した各位の協力をお願いする。また、細断型ロールベーラに限らず、今後も機械開発へ向けた多様な意見・要望を出していただきたい。」とした。 ※なお、本技術の詳細については、本誌「調査・報告」(p29〜36)に掲載している。 |
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