群馬県吾妻町にある『畜産試験場吾妻肉牛繁殖センター』は、肉用牛の育種価試験を行うため繁殖和牛110頭・子牛60頭を飼養し、販売用受精卵や肥育素牛生産を行っている。その牛や放牧草地を利用して、『親子で学ぼう牧場の仕事』が初めて開校された。講師は同センター職員が担当し、開催日は群馬県民の日に一番近い日曜日の10月24日とした。
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子牛にミルクをあげました。
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ロール飼料を俵積みにして山登りをしました。
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開校の目的は、肉牛の管理や草地での作業を親子で体験することで、人と動物・自然とのかかわりを学習し、子供たちに命の尊さを学んでもらおうとすることであった。募集方法は役場の協力を得て、町報に開催案内を掲載してもらい、FAXなどで希望のあった小学生を含む親子8組28名が参加した。全ての参加者は牛を近くで見るのは初めてで、最初のうちは恐くて牛が近寄ってくると大騒ぎをしていたが、講師の説明を聞きながら牛体の特徴や働きを学ぶことによって、次第に自分から進んで牛に触ることができるようになった。その後、牛にブラッシングをしたり、親牛に餌をやったり、子牛にミルクを飲ませたりした。牛の給餌が終わってからは、牛床の清掃や草地への放牧の手伝いも体験した。
なかでも子供たちが喜んだのは、哺乳びんを使って子牛にミルクを飲ませる作業であった。中には子牛の勢いに押されて、後ずさりする子もいたが、「おもしろいから、もっと飲ませたい!」と希望する子供が多かった。また、牛の体重当てクイズを行い、最も近い体重を言い当てた親子にはすき焼き用牛肉がプレゼントされた。
昼休みには、暖かい牛汁が振る舞われた。また牧草地での子ども向けアトラクションでは、ロール飼料を並べた迷路に人気が集まっていた。また同飼料をピラミッドのように俵積みにして自由に上り下りができたり、親子でのスリッパ飛ばし大会なども行われ、親子共々元気いっぱいに飛び回っていた。
また、午後からは若干固い話となるため、主に大人を対象に新聞広告を用いて牛肉の表示規則などの講義が行われた。その後、牛の排せつ物がたい肥として有効利用されていることなどの説明が行われた。特に女性は家庭菜園やガーデニングに興味のある人も多く、参加者は同センターで作っているたい肥をビニール袋に入れて持ち帰っていた。
当日は天気にも恵まれ、約6時間の体験学習もあっという間に終了した。参加者にはグループごとに修了証書が交付され、今後は国産牛肉の良き理解者になっていただくようお願いした。同職員は『ふだん世話をされている子供たちが、牛の世話をしたり、直接手で触れたりすることで、世話をする側の気持ちがわかるようになる。また子供たちに命の尊さ、食への感謝、働くことの意義を学んでもらいたいので、来年も開催したい』と話していた。
なお、カリキュラムは次の7項目。(1)牛をよく観察してみよう (2)牛の生活を調べてみよう (3)親牛の世話をしてみよう (4)子牛の世話をしてみよう (5)牛を草地に放牧しよう (6)牛肉の表示方法を学習しよう (7)牛の排せつ物の有効利用をしよう
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