木漏れ日の優しい晩秋の午後、海老名市にある神奈川県畜産研究所で高病原性鳥インフルエンザ防疫訓練が開催された。関東管内では初の屋外での防疫演習で、畜産研究所内の空き鶏舎に鶏を入れた本格的な防疫訓練であり、TV局などマスコミ関係者も数社訪れており、関心の高さがうかがえた。
防疫訓練概要
(1)目的 本病発生時における初動防疫を迅速かつ円滑に行うため、現地対策本部の初日を想定して実地訓練を行った。
(2)発生の想定 所在地:海老名市本郷、農場:A養鶏場、飼養羽数:50,000羽、飼養形態:開放鶏舎3棟、ウインドレス鶏舎2棟、農場従業員:2名
防疫従事者の健康状況調査
防疫従事者に対し厚木保健福祉事務所職員による問診と体温測定が行われ、防疫従事の適・不適の判断がされた。
防護服の着装訓練
今回訓練の防疫従事者は15名、神奈川県職員を中心に神奈川農政事務所からも3名参加した。ゴーグルを含めた防護服などが畜産研究所内の会議室に個別に整然と置かれ、その回りは多数の見学者に取り巻かれ、防護服を着る不安に緊張は高まるばかりであった。着装が初めてのため、マスクを上下逆に付けノ―ズワイヤーがあごにかかったまま防護服をかぶっていた者もいた。一方、屋外では、同時進行で想定した消毒ポイントでの車両消毒の実演が開始されていた。
擬似患畜の処分
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感染性廃棄物専用容器の搬出
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以外にも消毒液がゴーグルにかかり見えにくい
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今回の訓練では、5名ずつが1班となり、用意した鶏100羽をゲージから取り出し、感染性廃棄物専用容器に10羽ずつ詰め込む作業を行った。神奈川県では埋却場所の確保が難しく、容器ごと焼却処分をする予定である。われわれは初めて鶏舎内に入るだけでなく、鶏が暴れないか、上手く取り出せるかという不安から緊張はピークに達した。鶏の足を持ちゲージから取り出すと、予想に反し鶏はおとなしく、両足さえつかめば容器への詰め込みも問題なかった。今回は訓練なので、CO2充填は省略した。
鶏舎消毒
鶏舎内の作業終了後、鶏舎内外とも鶏舎全体を上から下の順番に噴霧消毒するが、そこまでかけるのかと思うくらい消毒液をかけるのがポイントらしく、鶏舎は消毒液で水浸しであった。
最後に
防護服を着用しての作業は、暑い・蒸れる・動きにくいなどと言われていたが、特に違和感もなく行うことができた。ここに紹介できたのは盛りだくさんの訓練のほんの一部である。この訓練により、より具体的なイメージをつかめたと思うが、本番はないよう祈りたい。
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