トピックス

●●●財務省が4月の輸入量を告示●●●

  17年度の牛肉のセーフガード(SG)の発動基準数量については、平成15年12月に米国のBSE発生による米国産牛肉の輸入一時停止措置に伴い、16年度の牛肉の輸入量がかなり減少したため、前年度と比べて生鮮・冷蔵では9.8%減の258,145トン、冷凍では17.0%減の267,067トンと低い水準となっている。

 また、第1四半期の生鮮・冷蔵の発動基準については、61,468トンと前年同期を27.8%下回っており、特に低い水準となっている。

 5月31日に財務省が告示した17年4月の輸入量は、生鮮・冷蔵が20,454トン(前年同月比5.3%増)、冷凍が25,262トン(同11.0%増)と前年同月を上回った。現時点では、5月の輸入量が発表されていないため、発動の見込みについては不明であるが、今後の輸入量次第ではSG発動もあり得る状況となっている。(図1)

図1 生鮮・冷蔵牛肉の四半期別輸入量
資料:財務省告示


●●●16年度平均豚肉卸売価格は、476円と高水準(東京・省令)●●●

 最近の豚肉卸売価格の動きは、国内外の家畜疾病の発生による畜産物の輸入停止措置などから、牛肉、鶏肉から豚肉への代替需要が強まり、高水準で推移している。

 省令価格を年度別にみると、13、14年度はBSE発生のため牛肉の代替として、引き合いが強まったことで価格は高水準に推移した。しかし、15年度は冷夏の影響で消費が停滞するなどして、在庫量が増し価格も下落したことから調整保管の実施に至り、年度平均は 1キログラム当たり444円となった。

 16年度は前半、米国のBSE発生や国内外の鳥インフルエンザによる牛肉・鶏肉の代替需要の影響で500円台の高水準を維持し、また、後半は、猛暑の影響で事故率の上昇や子豚の成長が遅れたことなどから、出荷頭数が減少し、冬場にしては高水準となった結果、年度平均価格は、安定上位価格の480円に近づく476円(前年度比7.2%増)となった。(図2)

 5月の肉豚生産出荷予測(畜産部食肉鶏卵課)や東京食肉市場などへの聞き取りによると、今後、秋口までは出荷頭数の増加が見込めないことなどから、高水準の価格はしばらく続くものと推察される。

図2-1 豚肉の卸売価格(東京・省令)
資料:農林水産省「食肉流通統計」、東京食肉市場(株)
注:省令は、極上と上の加重平均。

図2-2 豚肉卸売価格の年度推移(東京・省令)
資料:農林水産省「食肉流通統計」
注:省令は、極上と上の加重平均。

●●●鶏肉の家計消費量が1月以降回復●●●

 4月の家計消費量は全国1人当たり298グラム、支出金額は275円となった。この結果、購入単価は100グラム当たり92円となり前年同月をわずかに上回った。

 近年の鶏肉の家計消費量は、食生活の多様化、洋風化などを背景に14年度をピークに伸びていたが、15年末から16年初めにかけて国内外での鳥インフルエンザの発生により、消費が停滞し、16年前半頃までは前年同月を下回る月が続いた。その後、鶏肉の家計消費量は回復傾向で推移し17年1月以降は、2年ぶりに前年を上回り高水準に推移している。(図3)

 これは、最近、牛肉、豚肉の価格がやや高水準に推移しており、鶏肉の割安感が強まったことや、鳥インフルエンザ発生による鶏肉の買い控えが終息したことなどが要因とみられる。

図3 鶏肉の家計消費量(数量)の前年比の推移
資料:総務省「家計消費量」(全国1人当たり)

●●●16年食鳥処理量は、前年並み、1戸当たりのブロイラー出荷羽数は2%増加●●●

 5月10日に公表された「平成16年度食鳥流通統計調査結果の概要」によると、ブロイラーと 廃鶏などを合わせた1年間の食鳥処理量は184万303トン(前年比0.1%)とほぼ前年並みとなった。
内訳をみるとブロイラーは165万6,554トンと前年に比べ1%増加し、採卵鶏の廃鶏は、15万3,111トンと同6%減少した。

 一方、ブロイラーの年間出荷戸数は3,240戸で前年を2.5%減少し、出荷羽数も5億9千万羽(前年比0.9%減)となり、1戸当たりの出荷は数は18万2千羽と2%増加した。

 都道府県別の出荷羽数は、1億2千万羽(シェア19%)の鹿児島県が最も多く、次いで宮崎県1億1千万羽(同18%)、岩手が 9千万羽(同15%)となっており、この3県で全国の5割以上を占めている

●●●16年度チーズ総消費量に占める国産の割合低下●●●

 農林水産省が公表した「平成16年度チーズ需給表」によると、チーズの総消費量は、ナチュラルチーズが150,742トン(前年度比6.8%増)、プロセスチーズが114,987トン(同1.0%増)となり、全体では265,729トン(同4.2%増)と2年連続で前年度を上回った。

 ナチュラルチーズの輸入量は、特に直接消費用の需要拡大により前年度をかなりの程度上回る208,317トン(同6.4%増)となった。

 一方、国産ナチュラルチーズは、プロセスチーズ原料用が前年度をわずかに上回る21,334トン(同1.0%増)となったものの、直接消費量が前年度をかなり大きく下回る12,111トン(同12.0%減)となったことから、生産量は前年度をやや下回る33,445トン(同4.2%減)となった。この結果、総消費量に占める国産の割合が前年度を1.2ポイント下がる13.5%となり、2年連続で低下した。(図4)

 17年度は国産チーズ対策事業を拡充し、国産チーズの需要拡大を図ることとしているが、これにより、総消費量の国産シェアも伸びることが期待される。

図4 チーズ総消費量
資料:農林水産省生産局畜産部牛乳乳製品課調べ

●●●17年度の鶏卵補てん基準価格、163円/kgに決定●●●

 17年度の鶏卵補てん基準価格は、5月初め、前年度を4円上回る1キログラム当たり163円と決定された。今年度の卵価基金の補てん価格は、同補てん基準価格から各月の標準取引価格を差し引いた価格に0.9を乗じた価格となる。

 16年度の基準価格は、15年度を26円下回る142円でスタートしたが、年度途中で159円に引き上げられた。生産量の減少などから卵価は高い水準で推移し、16年7月に1回発動しただけであった。

図5 15、16年度の鶏卵生産量の比較
資料:農林水産省「鶏卵流通統計」

図6 標準取引価格と補てん基準価格
資料:(社)全国鶏卵価格安定基金

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