調査情報部
当機構では、牛乳乳製品等の消費動向を的確に把握するため、社団法人食品需給研究センターに委託して「牛乳等の小売価格および牛乳・乳製品の消費動向調査」を毎年実施している。ここでは、16年度に実施した調査の中から、牛乳類についての結果の概要を紹介する。なお、調査の目的および方法については、文末に記載しているのでご参照願いたい。 牛乳類の購買行動 牛乳類の購入の選定基準 牛乳類を購入する際の選定基準について、「鮮度」が81.0%(前年61.8%)、次いで「おいしさ・味」が75.1%(前年62.6%)、「価格」が64.5%(前年56.6%)、「安全性」が52.9%(前年47.0%)となっており、この上位4つが重要な選定基準といえる。以下、「健康強化機能」、「その他」の順となっている(図1)。前年度と比べると「鮮度」と「おいしさ・味」が逆転している。
消費者の牛乳に対する価格判断 消費者が判断する牛乳の妥当価格は、「190円台」が18.1%で最も高く、次いで「180円台」が15.5%、「150円台」が14.1%、「200円台」が14.0%、「170円台」が11.1%、以下「160円台」、「140円台」「130円台以下」の順となっている(図2)。 150円台から200円台の範囲に分散しており、特に150円台と190円台前後の二極化が顕著にみられるこれは消費者の現在の購入価格帯とおおむね一致しており、消費者の購入経験が牛乳の妥当価格に反映されていることがわかる。
牛乳類の購入量 牛乳類の種類別購入量 牛乳類の1世帯、1日当たりの種類別購入量についてみると、7月調査は「牛乳」が445.4ミリリットル、「加工乳」が36.2ミリリットル、「白もの乳飲料」は36.1ミリリットル、「低脂肪牛乳」が30.3ミリリットルとなっている。1月調査は「牛乳」が401.4ミリリットル、「加工乳」が29.6ミリリットル、「白もの乳飲料」は32.6ミリリットル、「低脂肪牛乳」が25.6ミリリットル と夏期の需要期である7 月に比べておおむね減少している(図3)。 16 年7月が548.6ミリリットル、17年1月が489.9ミリリットルとなり、夏期が多く、冬季が少ない。 1 月では7月と比べて牛乳がやや上昇、低脂肪牛乳、加工乳は低下している(図4)。
ブランド指名買いの割合 指名買いの割合は全体で68.2%であった。メーカー類型別ではPBが79.5%で最も高く、次いで農協系が65.6%、中小乳業が65.0%、大手乳業が63.6%であった。PB はほかと比べて指名買いが多い(図5)。
牛乳類(1,000ミリリットル紙容器)の購入価格 牛乳類の種類別購入価格 16 年7月調査では、「牛乳」が184.4円、「低脂肪牛乳」が167.2円、「低脂肪加工乳」が134.2円、「濃厚加工乳」が217.3円、「白もの乳飲料」が172.1円となっている。また、LL牛乳は261.0円であった(図6)。 1月調査についてみると、「牛乳」が183.7円、「低脂肪牛乳」が161.4円、「低脂肪加工乳」が130.3円、「濃厚加工乳」が216.8円、「白もの乳飲料」が174.0円となっている。このように種類による価格差が大きい。
牛乳類の種類別購入価格 牛乳の価格帯別にみた購入本数構成比を図7〜8に示した。おおむね151円〜210円が多い。
購入先別購入価格 7 月調査についてみると、「家庭配達」が228.9円(1月調査231.1円)で最も高く、次いで「CVS」が200.4円(同197.8円)、「集団購入」が195.1円(同194.0%)、「量販店」が181.5円(同181.0円)となっており、購入先の業態により価格が大きく異なる(図9)。
乳業メーカー類型別購入価格 7 月調査についてみると、「大手乳業」が196.3円(1月調査197.3円)で最も高く、次いで、「農協系」が185.9円(同182.8円)、「PB 等」が179.4円(同178.9円)、「中小乳業」が177.7円(同178.3円)となっている(図10)。
牛乳類および飲料の購入動向 牛乳類・飲料の最近1年間における購入量の変化 最近1年間で増加となったのは、「牛乳類」となっている。一方、減少となったのは、「嗜好タイプ乳飲料」、「炭酸飲料」、「果汁入り飲料」で、そのほかの「飲むヨーグルト・乳酸菌飲料類」、「スポーツドリンク」、「ミネラルウオーター」などは、おおむね横ばいとなっている(図11 )。
平成16年夏期における牛乳の減少世帯で増加した飲料の種類 牛乳の購入が減少した世帯において、増加した飲料は、「茶系飲料」が55.6%で最も多く、次いで「スポーツドリンク」が43.0%、「炭酸飲料」が26.8%、以下、「飲むヨーグルト・乳酸菌飲料等」、「ミネラルウオーター」、「嗜好タイプ乳飲料」、「野菜ジュース」、「栄養・機能性飲料」、「果汁100 %飲料」、「豆乳」などとなっている(図12)。やはり記録的な猛暑の中では「茶系飲料」や「スポーツドリンク」など特にのどの渇きをいやすような飲料が増加している。
最近1年間における牛乳の減少世帯で増加した飲料の種類 この牛乳の購入が減少した世帯において、増加した飲料は、「豆乳」が33.1%で最も多く、次いで「茶系飲料」が25.9%、「野菜ジュース」が25.2%、以下、「スポーツドリンク」、「飲むヨーグルト・乳酸菌飲料等」、「果汁100 %飲料」、「ミネラルウオーター」、「コーヒー」、「炭酸飲料」、「栄養・機能性飲料」、「嗜好タイプ乳飲料」などとなっている(図13 )。牛乳の代替として増加しているのは主に「豆乳」、「茶系飲料」、「野菜ジュース」であり、消費者の健康志向が表れている。
牛乳類の今後の消費見通しと課題 牛乳と加工乳の違いについての認知度 牛乳と加工乳の違いについては「よく理解している」が51.3%、「名称だけ知っている」が44.8%、「わからない」が3.9%となっている(図14)。その違いを正確に理解しているのは約半数にすぎないことがわかる。
「低脂肪牛乳」と「無脂肪牛乳」の認知度 「低脂肪牛乳」または「無脂肪牛乳」の認知度については「知っている」が34.8%、「名知らない」が65.2%となっており、認知度はかなり低い(図15)。
生乳100 %表示の認知度 生乳100 %表示の認知度については「知っている」が56.0%、「知らない」が44.0%となっており、おおむね約半数が認知している(図16 )。
牛乳類の一括表示欄のうち、生乳使用割合の認知度 牛乳類の一括表示欄のうち、生乳使用割合の認知度については「知っている」が61.9%、「知らない」が38.1%となっており、生乳100 %表示の認知度よりはやや高い(図17)。加工乳や乳飲料では、生乳使用割合が購入の判断基準の一つになっていることが想定される。
期限表示が賞味期限表示に統一することについての認知度 期限表示が賞味期限表示に統一することについては、「知っている」が34.8%、「知らない」が65.2%とおおむね1/3が認知している(図18 )。
牛乳類の今後の消費見通し 牛乳類の今後の消費見通しをみると、おおむね増加見通しとなっている。なかでも、「低脂肪牛乳・無脂肪牛乳」や「白もの乳飲料」と低脂肪タイプの増加見通しが高い(図19)。
調査の目的と方法 1調査の目的 この調査は牛乳・乳製品の購買行動や消費動向の実態を調査することにより、牛乳類の小売価格および牛乳・乳製品の消費実態を把握し、今後の牛乳類の小売価格の安定と消費拡大に資することを目的とする。 2 調査対象世帯 (1)調査対象世帯数は次の6地域に区分した7月2,093世帯、1月2,184世帯であった。 (2)調査対象世帯の内訳は、次のとおりである。なお、同時期における一世帯当たりの家族数は平均3.6人である。
3 調査項目
4 調査方法 各地区の消費者団体等の調査員が調査票を調査対象世帯へ配布し、下記の1週間留置き方式で記入した調査票を回収した。なお、選定した世帯が牛乳を購入しないことがあらかじめわかっている場合は、その世帯を除外し、別途購入している世帯を補充した。 5調査の実施時期 第1回平成16 年7月19 日(月)〜7月25 日(日) 第2回平成17 年1月10 日(月)〜1月16 日(日) 6 主な用語の説明および取りまとめ上の約束事項 (1)牛乳類について 本調査を取りまとめるに当たっては、平成16年度牛乳等の小売価格調査実施要領に基づき実施した調査結果を、下記の約束により区分することとした。 (2)その他
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