関東農政局 長野農政事務所/高橋 新
国産牛肉に対する信頼回復などを目的として「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」は平成16年12月の流通段階の施行により本格スタートした。 これにより牛の個体情報が牛の飼養農家(以下「管理者」という)により個体情報や異動履歴などデータ報告により蓄積されている。 全国で1日に報告されるデータはおよそ 3万件、そのうちエラーで登録されないデータが1割弱、およそ3,000件については直ちにデータ化されていないのが現状である。 当県での主なエラー内容は、 (1)出生報告されていない牛の他管理者への転入報告 (2)出生年月日・異動年月日の間違い (3)雌雄違い・母牛の番号違い (4)10桁の番号を報告しなければならないところ9桁の番号で報告 (5)異動報告で転入と転出を間違えて報告 (6)他管理者が飼養している牛の転入報告 (7)と畜のための出荷報告を転出の報告をせず死亡の報告 など単純な報告ミスがほとんどである。 牛の管理者の経営にかかわる深刻なエラーもある。それは、と畜申請時に見つかる牛の情報エラーである。「雌雄が違う」、「黒毛和種でと畜時に子牛基本登録と出生報告との生年月日が違う」など、そのままでは、データを修正しなければと畜場のけい留所に入れることも出来ない。現実にと畜場では「履歴抜けしている牛はと畜しない」と定めていると畜場もあり、それだけ牛の履歴や個体情報の正確性が大事なこととなっている。 このような、エラー解消のために農政事務所では、管理者の飼養場所で立入検査(現地確認など)を行っている。立入検査は2種類あり、1つは、エラーを修正するための臨時立入検査で、もう1つは、管理者が飼養している牛とデータベースで把握している牛が同じであることの確認を目的とした定期立入検査である。これら立入検査によって、管理者の報告などが間違っていないか確認することができる。 間違って報告された牛は登録不可となるだけでなく、「消費者が国産牛肉を安心して消費していただく」ことに支障がでる。農政事務所職員は、牛の個体情報を精度の高いものとしていくことを基本に、その管理者の飼養場所に出向いて牛1頭1頭の確認を行い、飼養されてる牛に耳標が装着されているか(装着されていなければ装着指導・脱落していれば再発行指導)、飼養されている牛に間違いないか(間違いあれば各種報告の催促・データ修正依頼)を確認している。 長野農政事務所管内の管理者戸数は約1,500戸であるが、毎年すべての管理者に出向き立入検査を実施する。管理者の飼養地に出向き確認を行うことから防疫面などに最大限の注意を払い関係機関と連絡を密にして業務を進め、牛の個体情報が的確にトレースできるように努力している。この立入検査を通じて報告データのエラーがなくなるように、牛の管理者・家畜商等流通業者に指導していきたい。
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