トピックス

●●●16年度の牛肉生産量は前年度並み●●●

 16年度の牛肉の生産量(部分肉ベース)は、35万6千トンとなり、前年度を0.6%上回った。
最近の推移をみると14年度は、BSE発生前の12年度とほぼ同水準に回復したものの、15年度には、再び減少に転じ、前年度をわずかに下回る結果となったが、16年度は、ほぼ前年度並みとなった。(図 1)

図1 牛肉の生産量の推移
資料:農林水産省「食肉流通設計」
注:部分別ベース

●●●16年度の牛肉輸入量は4年連続で減少●●●

 16年度の牛肉の輸入量(部分肉ベース)は、45万トン(前年度比13.4%減)となり、13年度以降4年連続の減少となった。

 国別にみると、豪州産は41万トン(同39.3%増)、ニュージーランド産は3万5千トン(同63.8%増)と大幅に増加し、豪州産のシェアは前年度の56.6%から91.1%となった。

 しかし、15年度まで全体の4割を占めていた米国産牛肉の、BSE発生による輸入一時停止措置が大きく影響した結果、16年度の牛肉輸入量は、前年度をかなり大きく下回る結果となった。(図 2)

図2 牛肉の国別輸入量の推移
資料:財務省 貿易統計
注:部分肉ベース

●●●16年度の牛肉推定出回り量は前年度比10.5%減●●●

 16年度の牛肉の推定出回り量(部分肉ベース)は、80万8千トン(前年度比10.5%減)と、前年度をかなりの程度下回った。

 国産品が35万5千トン(同0.6%減)とほぼ前年度並みとなったものの、輸入品は45万3千トン(同17.0%減)と、前年度を大幅に下回り、米国産牛肉の輸入停止が出回り量全体に大きく影響し、国内の牛肉市場が縮小していることがわかる。(図 3)

図3 牛肉の推定出回り量の推移
資料:農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ
注:部分肉ベース

●●●豚肉生産量は、前年度をわずかに下回る●●●

 16年度の生産量は、夏の猛暑による育成率の悪化などが影響し、16年12月以降4ヵ月連続して出荷頭数が前年度を下回ったことなどにより、、前年度をわずかに下回る88万4千トン(前年度比0.9%減)となった。(図4)

図4 豚肉生産量の推移
資料:農林水産省「食肉流通統計」
注:部分肉ベース

●●●輸入量は前年度をかなりの程度上回る●●●

 一方、豚肉の輸入量は、牛肉、鶏肉の代替として外食向け、業務用豚肉メニュー増加や、加工仕向けの需要が増加し、前年度をかなりの程度上回る86万 2千トン(前年度比10.7%増)となった。国別の内訳をみると、米国25万7千トン(同4.7%増)、カナダ18万9千トン(同9.3%増)、デンマーク26万 5千トン(同13.5%増)その他の国15万トン(同18.7%増)となり、すべての国からの輸入量が前年度を上回った。(図5)

 中でもデンマークからの冷凍品の輸入量は、従来トップのシェアを占めていた米国を抜いて増加し、冷凍品輸入量全体の3割を占めた。

図5 豚肉の国別輸入量の推移
資料:財務省「貿易統計」

●●●推定出回り量は微増●●●

 前年をわずかに下回った国内生産量と前年度より1割増しの輸入品が供給された16年度の豚肉の推定出回り量は、BSEによる米国産牛肉の輸入停止や鳥インフルエンザによるタイ産等の鶏肉輸入停止などによる牛肉や鶏肉の供給減などから、代替品としての需要が増加した結果、172万トン(同3.5%増)となった。(図 6)

 また、16年度の家計消費量は、5,407g/全国1人当たり(同3.6%増)となり、食肉加工仕向肉量の合計は、前年度比3.4%増(16年4月から17年2月まで)となっていることから、テーブルミートとしても加工用としても豚肉の需要が拡大したことを示している。

図6 豚肉の推定出回り量の推移
資料:農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ
注:部分肉ベース

●●●鶏肉生産量は前年度を0.2%上回る●●●

 16年度の鶏肉生産量は、124万1千トン(前年度比0.2%増)となった。(図7)

 鶏肉生産は、昨年1月に発生した鳥インフルエンザの影響で、生産意欲が抑制されたため、特に16年6,7月の生産量が前年度に比べ落ち込んだものの最終的には前年度をわずかに上回り、 4年連続して前年度を上回った。

図7 鶏肉の国別輸入量の推移
資料:食肉鶏卵課
注:骨付き肉

●●●ブラジル産鶏肉が増加●●●

 鶏肉輸入量は、主要輸入国である中国、タイ、米国における鳥インフルエンザの発生などによりの鶏肉輸入が停止されたことから、36万 5千トン(前年度比15.1%減)と、前年度をかなり大きく下回った。

 このように、主要輸入国における鳥インフルエンザ発生により、新たな輸入先としてブラジル(16年度の輸入量:32万3千トン)が台頭し、16年度の輸入量の 9割を占めることとなった。(図8)
また、その他の国として、チリ、フィリピンからの輸入量も微増した。

図8 鶏肉の国別輸入量の推移
資料:財務省「貿易統計」

●●●国産品の出回り量は、全体の77%に●●●

 これによって、鶏肉の推定出回り量は、前年度をやや下回る161万トン(前年度比5.1%減)となった。(図9)

 出回り量の内訳をみると輸入量の減少に伴い、輸入品の出回り量が36万4千トン(前年度比20.2%減)となる一方、国産品は124万6千トン(同0.5%増)と出回り量全体の77%のシェアを占めた。

図9 鶏肉の推定出回り量の推移

●●●16年度の飲用牛乳等生産量は前年度を下回る●●●

 16年度の飲用牛乳等の生産量は、440万キロリットル(前年度比1.8%減)と、前年度をわずかに下回った。内訳は、牛乳は、392万キロリットル(同2.5%減)となり、加工乳・成分調整牛乳は476万キロリットル(同4.7%増)となっている。(図10)

 牛乳は、豆乳や茶系飲料などの競合飲料に押されたことに加えて、大手メーカーが1本当たりの利益率を重視する方針を強め、量販店などにおける特売を控えたことなどが大きく影響し、前年度をわずかに下回ったと考えられる。また、加工乳・成分調整牛乳の増加は、表示の改正による需要の伸びが生産量の増加につながったと考えられる。

図10 飲用牛乳等の生産量
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」

元のページに戻る
月報「畜産の情報(国内編)の目次に戻る