本調査は、1987年度から、毎年全国の消費者(13歳以上の男女6千人)に対し調査を実施し、牛乳・乳製品に関する購入実態、飲用実態、牛乳・乳製品に関する意識・知識などを時系列で把握してきた。2004年度は、白もの牛乳類の飲用量減少の背景を探ることを念頭におき、牛乳・乳製品の消費拡大のための資料を得ることを目的とした。
1.白もの牛乳類の飲用実態
(1)白もの牛乳類の飲用頻度
〜白もの牛乳類を毎日飲む人は4割〜
飲み方を問わず白もの牛乳類飲む頻度を聞いたところ、毎日飲む人は40%となり、週に5〜6日飲む人を合わせると、13歳以上の人の5割がほぼ毎日飲んでいることになる。
4年ごとの推移をみてみると、毎日飲む人は1992年以降徐々に減少していることがわかる。
毎日飲む人の割合は、男性の中学生や女性の60代以上で5割前後と高く、男女とも20代では3割と低くなっている。
(注)「白もの牛乳類」とは、普通の牛乳や低脂肪(ローファットミルク)や機能強化牛乳(カルシウム、鉄分、ビタミンDなどを加えたもの)などの白い牛乳類をいう。市販のコーヒー牛乳やフルーツ牛乳は含まない。
(2)1日当たりの白もの牛乳類の飲用量
〜1日当たりの平均飲用量は10代の男性で多い〜
13歳以上の人のうち最も多く飲用しているのは男性中学生で平均310ミリリットル、次いで中学生を除く男性10代が254ミリリットルとなり、3番目に多いのは女性中学生で218ミリリットルとなった。
この3年間の変化をみると、全体では2003年より減少し2002年と同水準となっていることがわかる。ほとんどの層で2003年に比べ飲用量が減少しているのに対し、男性の中学生や10代では著しい減少はみられなかった。
(ここにあげる飲用量は、本調査の飲用頻度・飲用量に関する質問の回答より算出した値である。)
図2 性・年齢別 1日あたりの白もの牛乳類の平均飲用量(時系例)
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(3)白もの牛乳類の飲み方
〜「他のものと混ぜて飲む」飲み方が増加〜
白もの牛乳類の飲み方について、この3年間の変化をみると、「そのまま飲む」飲み方は、飲用頻度の「毎日飲む」人の割合でみても、飲用量の飲み方別割合でみても、減少傾向となった。
一方、「他のものと混ぜて飲む」飲み方は、「毎日飲む」人の割合が2002年から2003年にかけて増加し、飲用量の飲み方別割合はこの3年間増加傾向となった。
図3 白もの牛乳類の飲み方別割合(飲用者ベース:時系例)
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(4)白もの牛乳類と混ぜて飲むもの
〜コーヒー・紅茶以外ではココア・チョコレートシロップとバナナ・いちごなど果物が人気〜
白もの牛乳類をほかのものと混ぜて飲む人の5割以上が「コーヒー」「ココア・チョコレートシロップ」「紅茶」「バナナ・いちごなど果物」と混ぜて飲んだことがあると答えた。普段混ぜて飲んでいるものは「コーヒー」が75%と最も多く、次いで「ココア・チョコレートシロップ」が30%前後となった。この3つは混ぜて飲むのが好きなものでもベスト3となっており、「バナナ・いちごなど果物」が第3位と並んでいる。
2001年と比べると、「ココア・チョコレートシロップ」は普段混ぜて飲む率と好きな率いずれも10ポイントも伸びており、「コーヒー」と混ぜる飲み方とともに人気が高くなっていることがわかる。
(5)牛乳を飲むとおなかの調子が悪くなるか
〜おなかの調子が悪くならない予防策の トップは、牛乳をあたためる〜
過去の経験を含め、牛乳を飲むとおなかの調子が「いつも悪くなる」人は6%で、「ときどき悪くなる」8%、「たまに悪くなることがある」20%を合わせると3割強ほどになる。この3割強ほどの人について、症状は「下痢をする」「おなかがゴロゴロする」が多く、200ミリリットルくらいの飲用量でおなかの調子が悪くなるという人が多くなっている。おなかの調子が悪くならないようにするための予防策としては、「あたためる」が4割強で最も多く、「飲む量を控えめにする」「コーヒーと混ぜる」が3割台で続いている。
(6)この1年間の飲み方別飲用量の変化
〜そのまま飲む量が「減った」と感じる人が増加〜
この1年間に、そのまま飲む量が「増えた」と答えた人が10%、「減った」と答えた人が17%、一方、混ぜて飲む量は「増えた」と答えた人が13%、「減った」と答えた人が10%となった。全体の飲用量については「増えた」「減った」いずれの回答も13%となったが、それぞれの内訳をみると、「非常に増えた」が2%であるのに対し、「非常に減った」は5%で「非常に増えた」の2倍以上となっている。
2003年と比較すると、そのまま飲む量が「減った」という回答が増加していることがわかる。
2.白もの牛乳類の購入実態と意識
(1)白もの牛乳類の購入頻度と購入量
〜白もの牛乳類を週に2〜3回くらい買う人が4割、1週間当たりの購入量は平均3.1リットル〜
白もの牛乳類をほぼ毎日買う人は20%で、週に2〜3回くらい買うという人が42%を占めている。1週間あたりの購入量は、平均3.1リットルとなった。
4年ごとの推移をみてみると、購入頻度は減少傾向にあることがわかる。
(2)白もの牛乳類の購入場所別・種類別購入量
〜1週間あたりの購入量は、スーパーで2.1リットル、牛乳が2.6リットル〜
1週間に白もの牛乳類をどのような場所でどれくらい買うかを具体的な数字で答えてもらったところ、スーパーが平均2.1リットルで圧倒的に多く、次に牛乳販売店からの宅配が平均0.4リットルで続いた。
3種類の牛乳の購入量について同様に答えてもらった結果では、「牛乳(種類別牛乳)」が平均2.6リットル、「低脂肪乳、無脂肪乳」が平均0.4リットル、「機能強化牛乳」が平均0.3リットルとなった。
図4 問14 1週間あたりの種類別白もの牛乳類購入量
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(3)白もの牛乳類の購入重視点
〜鮮度・日付と値段が2大重視点〜
白もの牛乳類を買うときに重視することを3つまで挙げてもらったところ、いつも買うものを買う場合、いつもと異なるものを買う場合、いずれも「鮮度・日付」と「値段」が2大重視点となった。「生乳100%かどうか」という点を重視する人は1割ほどであった。
3.白もの牛乳類を使った料理の実態
(1)白もの牛乳類を使う料理とシーン
〜白もの牛乳類を使って洋食やデザート・お菓子を作る女性は4割以上、料理シーンは夕食むけとおやつに集中〜
白もの牛乳類を使って料理をすることがあるかどうかをきいたところ、「洋食」「デザート・お菓子」を作る人が全体の3割前後、女性では4割以上となった。
どのようなときに白もの牛乳類を使った料理をするかどうかをみると、「夕食むけ」と「おやつ」に集中した。
(2)白もの牛乳類を使った料理の回数と使用量
〜白もの牛乳類を使った料理の1カ月間の実施率はアップ、使用量は減少〜
調査時点の1カ月間に、白もの牛乳類を使って料理をした人は30%、料理の回数は平均3.4回、牛乳の使用量は平均400ミリリットル弱となっている。
2002年と比較すると、白もの牛乳類を使った料理の1カ月間の実施率は4ポイント上昇したが、料理実施者ベースの牛乳使用量はやや減少している。
4.乳製品の飲食実態と意識
(1)ヨーグルトについて
〜飲食シーンで朝食時が増加、手作りヨーグルト飲食者は全体の13%〜
ヨーグルトの飲食シーンは「おやつや間食」と「朝食時」が2大シーンであるが、1997年と比較すると、「朝食時」が20ポイント近く伸びていることがわかる。
ヨーグルトを飲食する理由は、「健康によいから」が5割以上で最も多くなった。
手作りヨーグルト飲食者は全体の13%で、1週間当たりの牛乳使用量は1.6リットルとなっている。手作りヨーグルト飲食者比率、牛乳使用量とも、2003年に比べると微減の傾向がみられ、この1年以内に作り始めたという人も減少した。
図5 問17 ヨーグルトを飲用するシーン(複数回答(MA)/時系例/飲食者ベース) |
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図6 問18 ヨーグルトを飲用する理由(MA/時系例/飲食者ベース)
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(2)「3-A-Day」 への関心度
〜「3-A-Day」に関心がある人は5割、実践してみようと思う人は6割〜
「3-A-Day」についての説明文を読んでもらい、実践状況や意識を聞いたところ、普段の食生活で「毎日実践している」という人が1割ほどいた。関心があるかどうかでは、「とても関心がある」「まあ関心がある」合わせて5割の人が関心を示しており、「3-A-Day」を実践してみようと思うかどうかについては、「とてもそう思う」「まあそう思う」合わせて6割の人が実践意向をもっていることがわかった。
男女別に比べると、女性のほうがより「3-A-Day」に積極的であることがうかがえる。
図7 性別 問29 ふだんの食生活での「3-A-Day」実践状況
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「3-A-Day」
これまでの食事に牛乳やヨーグルト、チーズなどをちょっと加える。
たったそれだけのことで、これまで不足がちだったいろいろな栄養を少ないエネルギーで補うことができるのです。
ルールは簡単、牛乳・ヨーグルト・チーズの中から1日に3回、または3品、食生活に取り入れるだけ。
難しく考える必要はありません。
たとえば、コップ一杯の牛乳を飲む、サンドウィッチにチーズをはさむ、デザートにヨーグルトを食べる。とにかく1品でも加えれば、それだけで充分効果的です。
毎日3回、または3品、気軽な新習慣。ちょっと続けてみてください。
あなたのからだ、きっとよろこびますよ。 |
(3)牛乳・乳製品に関連のある用語の認知
〜「賞味期限」「消費期限」を内容まで知っている人は7割以上〜
5割以上の人が内容まで知っているのは、「賞味期限」「消費期限」「体脂肪」「生活習慣病」「乳飲料」の5項目で、「加工乳」「成分調整牛乳」「スキムミルクパウダー」が4割前後で続いた。
見聞きした程度まで含めた認知レベルで2003年と比較すると、「食育」「牛乳の3次機能」「特定保健用食品」の認知度が5ポイント以上アップしている。
5.いろいろな飲み物と牛乳
(1)イメージ
〜白もの牛乳類のイメージは「健康的な」「自然な」〜
上記のイメージのほか、「シンプルな」「いつでもそばにある」「元気になる」といったイメージも白もの牛乳類のイメージとして多く挙げられた。一方、カフェオレ・ミルクティは白もの牛乳類に比べ「ほっとする」「あたたかい」「リラックスできる」といったイメージが多く、コーヒーや紅茶と同様となった。また、ドリンクヨーグルト・乳酸菌飲料は白もの牛乳類に比べ「美しくなる」というイメージが多く、果汁飲料・野菜飲料や豆乳と同様となった。
1999年と比較すると、「いつでもそばにある」「親しみのある」というイメージについて、コーヒーが白もの牛乳類に迫っており、コーヒーがより身近な飲み物になっていることがうかがえる。
(2)飲用シーン
〜白もの牛乳類の飲用シーンは「朝食をとりながら」「風呂上がり」「のどがかわいたとき」「おやつや間食時」〜
白もの牛乳類と異なり、カフェオレ・ミルクティやコーヒー、紅茶は、「くつろいでいるとき」に飲まれることが多くなっているが、「おやつや間食時」は共通の飲用シーンとなっている。
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