平成16年度酪農ヘルパー事業中央研究会が平成16年12月9日、千代田区のコープビルで開催された。会場には全国から酪農ヘルパー利用組合、酪農協、中央団体など関係者110名の参加があった。研究会では事例発表やオランダから招請された特別講師ヨス・ベセリング氏(オランダ農業ヘルパー全国協議会事務局長)の講演(通訳:小林信一日大教授)が行われた後、事業発展に貢献した団体役職員などのほか永年勤続酪農ヘルパーへの会長表彰が行われた。
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特別講師 ヨス・ベセリング氏
(オランダ農業ヘルパー全国協議会事務局長)
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「酪農ヘルパー事業では初の海外講師の講演」
酪農ヘルパー事業中央研究会は毎年、(社)酪農ヘルパー全国協会(檜垣徳太郎会長理事)が全国の会員や酪農ヘルパーの先進・優秀事例を発表し、情報交換や交流研さんを通じて事業発展に資する目的で開催されている。今回初めて海外講師を招いた事業研究会となった。
主催者の星井静一専務は「今年度より酪農ヘルパー事業基金が10年間にわたり取り崩し型に移行することから、県連や利用組合の経営の安定化、体質強化が一層求められる。自立運営に移行しているオランダの農業ヘルパー組織とは4回にわたる現地調査を通じて国際交流があり、オランダの農業ヘルパー事業の実際の運営を学んで、事業運営に役立てて欲しい」と挨拶した。また、農水省の町田勝弘畜産部長は「農水省として周年拘束性が強い酪農経営に酪農ヘルパー事業を導入し、ゆとりある経営を推進してきた。利用日数も1戸当たり年間16日以上まで増加したことに関係者対し謝意を示すとともに一方で利用組合の経営基盤強化などの課題も少なくない」と述べた。ベセリング氏との意見交換では檜垣会長が率先して、日本の酪農ヘルパー制度の特徴について述べ、わが国の酪農業の発展に寄与している酪農ヘルパーの役割の重要性についての持論を強調した。
「緊急時の傷病時利用に専任ヘルパーを配属」(北海道・浜中町)
酪農ヘルパー事業の事例では二例が発表された。特に北海道浜中町の浜中町酪農ヘルパー利用組合の渡邉信吉氏(専任ヘルパー)による「浜中町の酪農ヘルパー事業について」と題した同農協で実施している酪農ヘルパー事業の概要と事業内容の報告が注目された。浜中町の酪農ヘルパー利用組合は昭和63年12月、専任ヘルパー2名でスタート、現在では利用農家183戸、専任ヘルパー12名まで発展した。現在は酪農家でのヘルパー利用は完全農休日として「設立以来、割り当て利用をお願いしたことがない」と完全に定着化している。大きな特徴は緊急時の傷病時利用のための専任ヘルパー2名を常時配置していることで、このヘルパーは長期間派遣が多いのでベテランヘルパーを当てている。今後の課題として組合員の少子・高齢化、後継者の未婚問題のほかに機械の大型化、規模拡大化がさらなる傷病・事故を呼び込んで、事故傷病時の利用度は今後、増加するのではないかと報告した。
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