近年、食生活の変化に伴いさまざまな生活習慣病が増加していると言われているが、その一因として食品から摂取する脂質の脂肪酸バランスが関係し、その予防のためにはリノール酸などのn-6系列脂肪酸とα−リノレン酸などのn-3系列脂肪酸の摂取比率を「4」以下に改善することが重要と言われている。
一般的に豚肉の脂肪酸組成は、n-6系列多価不飽和脂肪酸が比較的多く、n-3系列多価不飽和脂肪酸が少ないため、n-6/n-3比が「20」前後を示す食品である。
石川県畜産総合センターは、豚肉の多価不飽和脂肪酸組成に着目し、そのバランスを改善することを目的に、北陸学院短期大学(金沢市)、日清オイリオグループ株式会社との共同研究により生活習慣病の予防に効果があるとされるα−リノレン酸を多く含み、比較的安価なアマニ油を選定し、三元交雑豚を用いて平成9年度より試験を実施してきた。
その結果、アマニ油のほかにビタミンE、大豆レシチンを一定量、一定期間給与することで、豚肉の持つ栄養面に加え、α−リノレン酸を5倍以上含みn-6/n-3比が4程度で、ビタミンEを多く含む、食味の良い機能性豚肉が生産できた。
平成16年10月に、養豚農家、食肉流通業者及び消費者などを招き、機能性豚肉発表試食会を開催し、「脂肪酸と健康」、「機能性豚肉の生産技術」について講演の後、しゃぶしゃぶ、トンカツなどを試食したところ、消費者からは柔らかくて美味しい、脂身はあっさりとして旨味があるとの評価を得たところである。
現在、この技術を普及させるため関係機関と連携し、養豚農家に対して生産技術のPRと技術導入上の課題、食肉流通業者とは商品化を図るための課題について検討を行っており、機能性豚肉を石川の新ブランドとして市場に提供できるよう、実用化に向けた取組みを推進しているところである。
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