◎地域便り


熊本県 ●絵本「牛のしょうたくんいのちきらきら物語」完成!

熊本県/川崎 広通



「牛のしょうたくん いのちきらきら物語」発表会

 「あっ、ここからまた新しい命が生まれてる」という声が生き生きと聞こえる。声の主は熊本市立本荘小学校の3年生たち18名である。

 熊本市の繁華街の近くにある本荘小学校3年生のクラスは、地域にある食肉産業に携わる人々とのふれあいを通して、命に対する感謝の気持ちを学習することになった。この絵本が完成したのは、食肉だけでなくできれば肉用牛の一生を学ばせたい、子牛(命)が誕生してくるところを子供たちに見せたい。という一人の担任女性教諭の熱意から生まれた。

 物語の始まりは「総合学習の授業で、子供たちに肉用牛を飼っている農家を見せたいのですが」といった一本の電話がきっかけであった。熊本県畜産協会では依頼を受け、本県の代表的な肉用牛「あか牛」を飼養している下益城郡美里町の繁殖・肥育一貫農家西田農場を紹介した。西田牧場では若い担い手の姉妹が、あか牛100頭を飼っている。妹の知徳子さんが繁殖担当で、肥育は姉の有希さんが受け持っている。平成16年の9月に西田牧場を訪れた児童たちは、残念ながら子牛の誕生にこそ遭遇しなかったが、命が生まれる瞬間やそれにまつわる話をじっくり聞くことができた。単なる農場見学だけでなく、子牛にえさを与えたり、ブラッシングなど通じて体のぬくもりを感じ、全員がトラクターにも試乗し労働を体験した。この農場見学を皮切りにその後、食肉センターや精肉店では仕事に対する思いを聞いたりした。そして命を大切に育てる仕事と命を無駄にしないこととは、命に感謝するという共通の心があるということを学んだ。

 最終的に自分たちが毎日いただいている「いのち」に対する畏敬の念や感謝の気持ち、さらに労働の尊さについて学習することができ、その結果がこのオリジナルの絵本として完成した。

 平成17年2月に熊本市で絵本を披露する機会があった。子供たちが「命をありがとうございました。ごちそうさまでした。その分かがやいて生きていきます。」と目をかがやかせて発表していた。

 この絵本により命の重み・命への感動や感謝の心が広がっていくことを願います。

※牛のしょうたくんいのちきらきら物語のHPアドレス
 熊本県畜産広場(http://kumamoto.lin.go.jp)から入れます。


かがやきタイム(現場見学学習会)

牛のしょうたくんいのちきらきら物語(表紙)


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