●●●牛肉の家計消費量は減少●●●
牛肉の家計消費量は、小売価格の値上がりを背景に減少している。総務省が公表している「家計調査報告」によると、7月の全国1人当たりの牛肉の家計消費量は174グラム、消費金額は519円となった。前年同月比で見ると、消費金額は、6月が1.4%減、7月は0.4%増となった。一方、消費量は、それぞれ4.5%減、6.3%減と2カ月連続で下回っている。
国産牛枝肉の卸売価格は、15年12月の米国BSE発生の影響から平成16年3月以降前年同月を上回る高値で推移している。この結果、牛肉の小売価格(総務省「小売物価統計調査報告」)は、東京の国産牛肉かたで見ると、平成16年10月以降、前年同月を11カ月連続で上回り、特に17年6月は100グラム当たり462円(前年同月比9.0%増)、7月は100グラム当たり489円(同10.9%増)と高値で推移している。
また、国産牛肉の推定出回り量を見ると、17年4〜7月期では、前年同期比を5.5%下回っており、今後とも価格高による消費量減少の傾向が継続すると見込まれている。
●●●ロース、ヒレ価格下降、ばら上昇は長期的な傾向●●●
国産豚肉の流通形態は、フルセットで動くのが一般的といわれているが、国産冷蔵品の枝肉価格を100としたときの部位別の相対価格を平成5年以降の長期的な動きでみてみると、枝肉価格に対して350程度であったヒレが250、250程度であったロースが200程度と下降してきており、逆にばらは180が200程度と上昇している。(図2)
また、かたロースやもも、うでのように相対価格の変動がほとんどないものもあり、部位別価格は収れんされつつあると言える。
ばらは、赤身と脂肪が交互に三層くらいになっていることから、三枚肉とも呼ばれ、豚肉の主な部位の中でも脂肪をもっとも多く含み濃厚な味わいのある部位である。肉のおいしさを作り出すのは適度な脂肪の存在といわれているが、肉に含まれる脂肪は加熱すると溶け出して、肉の味に丸みを与え、口当たりも柔らかくなる。
また、ばらは、調理のバラエティに富み、いため物のみならず、最近では、しゃぶしゃぶ、チャーシュー、角煮などのゆでたり、煮込んだりする料理も好まれており、幅広い世代に受け入れられているようである。
豚肉の大手輸入業者によるとばら需要が高まる傾向は世界的な風潮であり、元来、欧州、北米などの海外では、ばらを重視する傾向があったもののその動きがさらに広がっているという。
図2 国産豚肉の部位別相対価格の推移
(枝肉=100)
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資料:農畜産業振興機構調べ(仲間相場)
注:枝肉を100としたときの、それぞれの部位の相対価格 |
●●●日・タイ経済連携協定(EPA)、大筋合意の概要●●●
小泉総理大臣とタクシン・タイ王国首相は2005年9月1日東京においての会談で、2004年2月からの一連の交渉を基に日タイ経済連携協定の主要点について大筋合意に達したことを確認した。
この協定の農林水産品に関する大筋合意内容は以下の通り。
─両国は、農林水産品の関税を包括的に撤廃または削減する。両国はまた、農林水産業の分野における食品安全性および地域間協力に関して協力を行う─
特に畜産物では(1)鶏肉調製品:5年間で6%から3%まで関税削減、(2)豚肉調製品:関税割当の設置(枠内税率:20%の関税削減 関税割当数量1,200トン)、(3)ペットフード:10年間で関税撤廃
また、除外又は再協議品目には次のものが含まれた。
(1)生鮮・冷凍・冷蔵の牛肉及び豚肉、(2)牛・豚肉調製品、(3)指定乳製品
2004年のタイの対日輸出に占める農林水産品の割合は23%で、主な輸出農林水産品は、鶏肉調製品(362億円)、えび調製品(235億円)、ペットフード(213億円)などであった。
●●●平成16年度学校給食用牛乳供給数量、前年度を下回る●●●
当機構が公表した「平成16年度学校給食用牛乳供給事業概要」をみると、16年度の学校給食用牛乳供給実績数量は385,543キロリットルとなり、前年度を2.7%下回った。これは、牛乳生産量の9.8%を占めている。(図3)
また、全国総学校数に対する実施校の割合は、前年度とほぼ同水準の、小学校が95.7%、中学校が85.0%、夜間高校が77.8%、その他校が86.1%となり全体では91.8%となった。
学校給食用牛乳供給実績数量が前年度を下回った要因としては、第2学期における供給学校数は33,354校(▲0.7%)となり、前年度とほぼ同水準であったが、同期における供給人員が、小学校が7,343,855人(▲1.9%)、中学校が3,048,646人(▲5.0%)、夜間高校が54,766人(▲8.0%)、その他校が144,280人(5.0%)となり、全体では10,591,547人と前年度を2.8%下回ったことや、地震や台風により休校が通常よりも多かったことによる供給日数の減少などが考えられる。(図4)
学校給食用牛乳の直近10年間の推移をみると、平成6年度と比べると、供給実績数量は18.7%減、供給人員も20.6%減となっており、少子化による影響が大きいと思われる。
図3 学校給食用牛乳供給数量
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図4 学校給食用牛乳供給人員
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●●●17年上半期の鶏卵生産量、前年同期をさらに下回る●●●
農林水産省から8月10日に公表された平成16年度の食料自給率の品目別自給率によると、鶏卵の自給率(自給率=国内生産量/国内消費仕向量×100:重量ベース)は95%となった。(図5)これは、米、かんしょ、みかんなどと並ぶ高い水準ではあるが、国内自給率が高いということは、生産量の変動がその価格に直接大きく影響するこということである。
同じく8月に公表された鶏卵流通統計によると、17年第2四半期(4〜6月)の鶏卵生産量は、4月204,328トン、5月209,384トン、6月203,846トンとなり前年同期の生産量を1.5%下回った。また、1月からの累計生産量でも、前年同期を2%下回った。(図6)
しかし、今後の生産の原動力となる7月の採卵用ひなの出荷羽数は9,326千羽で、前年同月に比べ2.8%増加し、また8月以降の出荷見通しも、8月103%、9月112%、10月102%と更なる生産増が見込まれている。
このような中、夏場の需要低迷を迎え、鶏卵の卸売価格は軟調に推移し、7月には12カ月ぶりに鶏卵の価格差補てん金が交付された。
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