◎地域便り


北海道 ●環境に配慮した地域づくりへの取り組み

北海道/余川 達也


 猿払村は、生乳生産とホタテ漁を中心とした酪農・漁業のまちである。その猿払村で、この4月、「ふるさとの未来を創造【想像】するためのシンポジウムinさるふつ」が開催された。

 仕掛け人は、猿払村異業種交流会の会長である酪農家の小泉浩氏。大学卒業後、当地に新規就農して約20年になる小泉氏は、ヘルパー組織の立ち上げや後進の育成など、主に酪農分野で精力的に活動してきたが、今回は「異業種交流」という立場での新たなチャレンジとなった。

 サブタイトルに、「ディスカバー猿払・宗谷〜人と自然が共存共生する川づくり・まちづくりの意義とは〜」と銘打ったこのシンポジウムは、村内ばかりでなく、宗谷支庁管内や遠くは札幌圏からも多くの参加者を集めて開催された。

 猿払村には豊かな自然が残されているとはいえ、草地造成や河川改修による環境の変化も少なからずあり、これを猿払村の河川に棲む「幻の魚」イトウの保護活動とリンクさせ、現地視察を行った第1部「見る部」。

 イトウが棲息する村内の河川をまわり、河川改修や魚道の設置状況、さらに、酪農家のふん尿の処理の状態などを確認。豊かな自然を守りながら地域づくりを進めていく方策について、考える糸口をつくった。

 多様な食文化を守り、生物の多様性を守る観点から、宗谷の地場産品を食べながら懇談した第2部「食べる部」。

 この第2部「スローフードな軽食会」は、地元宗谷支庁管内産の牛乳や農家チーズ、はちみつをはじめとした畜産物や、特産のホタテやツブ貝、農家手作りのデザートなど、さまざまな自慢の産品を持ち寄っての一大「食事会」となり、参加者は地域の豊かさをあらためて認識することになった。

 そして、自然と人の豊かさを共存させて守っていくための切り口として、「近自然学」についての講演・パネルディスカッションを行った第3部「語る部」。

 地域の財産である自然と食を、現在の豊かさを維持しながらいかに次世代に残していくかについて議論した。

 合計8時間にわたる、シンポジウムとしては異例のロングランであったが、参加者は職域・地域を越えて、熱く語り合っていた。

 畜産農家にとって微妙な問題である「環境保全」に対し、地域を巻き込んで新たな切り口で挑んでいった今回の試みは、地域における課題解決の一つの手法として、今後多くの人によって議論されることが期待される。



シンポジウムの第1部「見る部」魚道の確認


猿払村異業種交流会の会長 酪農家の小泉浩氏




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