●●●18年度畜産物行政価格決定●●●
18年度の畜産物行政価格は、農林水産省の諮問を受けて、食料・農業・農村政策審議会畜産部会で審議され、3月9日付けで答申および建議を受け、以下のとおり決定された。
表1 加工原料乳生産者補給金単価および限度数量
表2 指定食肉の安定価格
表3 指定肉用子牛の保証基準価格および合理化目標価格
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●●●牛枝肉格付割合の推移●●●
社団法人日本食肉格付協会が取りまとめた、17年の牛枝肉格付結果による各等級の構成割合は、去勢和牛のA−5が16.6%(16年15.6%)、A−4が36.2%(同35.9%)となり、それぞれ前年を上回った。しかし、乳用種去勢牛では、B−3が7.1%(同7.6%)、C−3が2.0%(同2.3%)と3等級の割合が減少し、B−2が64.8%(同64.7%)、C−2が23.5%(同22.1%)と、16年に引き続き、2等級の割合が上がる傾向が見られた。(図1)米国のBSE発生により、15年12月から米国産牛肉の輸入が一時停止となり、品薄状態となったことから、国産枝肉の卸売価格が高値で推移した。これに伴い、肉牛の出荷の早出しが行われたが、この影響を受けた結果と考えられる。
2年ぶりに輸入再開された米国産牛肉が、18年1月20日に再び輸入停止となったこともあり、枝肉卸売価格(1月
東京省令 1,309円(前年同月比6.8%))は依然高値で推移していることから、このような傾向が今後とも継続するものと思われる。
●●●17年の食肉加工品の生産量前年比1.9%減少、国産物の仕向量は7.3%減少●●●
(社)日本ハム・ソーセージ工業協同組合の調査による、17年のハム、ソーセージなどの食肉加工品の生産量は、前年比1.9%減の49万トンとなった。ハム・ソーセージ類の生産量は、平成7年をピークに毎年1〜2%程度減少を続けていたが、16年に、8年ぶりに増加に転じたところであった。また、ここ数年間は加工品種類別シェアに大きな変化は見られず、全般的にそれぞれの生産量が減少した。(図2)
一方、17年の加工仕向肉量は、全体で41万トン(17年推定出回り量の24%)と前年を4.1%下回る量となった。その内訳をみると、国内物7万5千トン(国産品推定出回り量の8.6%)、輸入物33万トン(輸入品推定出回り量の40.4%)となり、それぞれ前年を7.3%、3.4%下回った。全体に占める輸入物のシェアは、82%と前年を1ポイント上回り、引き続き輸入物のシェアは増加傾向にある。
17年は、と畜頭数の減少などから、国内物については加工仕向量が減少したものと思われる。輸入物については、原料となるうで、ももなどの部位が比較的高値で推移したこと、調製品や製品の輸入量が増加したことなどにより仕向量が減少したものと思われる。
●●●ソーセージの輸入量、急増●●●
財務省「貿易統計」による、17年のソーセージ(関税分類番号1601.00.000)の輸入量は、33,695トンとなり、前年を17%上回った。16年についても前年を1万1千トン(7%)上回っており、近年輸入量が急増している。
輸入先を国別にみると、17年においては中国の1万9千トン(輸入量シェア55%)がトップで、次いで米国の6千トン(同18%)、カナダの3千トン(同9%)と続き、中国からの輸入量が過半数を占めた。
2年前の15年の輸入量と国別シェアは、1位:中国(1万トン、シェア36%)をはじめ、2位:米国(9千トン、同33%)、3位カナダ(4千トン、同13%)とその順位は変っていない。15年の中国と米国からの輸入量がほぼ同程度であったが、16、17年の中国の伸びは、それぞれ前年比57%増、23%増と顕著であった。
図4 ソーセージの国別輸入量
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●●●17年度および18年度のブロイラー需給見通しについて●●●
農林水産省生産局畜産部食肉鶏卵課は3月1日、全国ブロイラー需給調整会議を開催し、18年度の需給見通しなどを公表した。これによると、18年度見通し(試算)の「需要量」については、家計消費量は前年度を0.5%上回る553千トン、加工業務用は3.0%上回る1,152千トン、合計で2.2%上回る1,705千トンと見込んでいる。
一方、素ひな出荷羽数より推計した生産量(骨付きベース)は、前年度を2.2%上回る1,314千トンとし、輸入量は過去5年のトレンドや在庫の積み上がり状況などを勘案し2.5%下回るものと見込んでおり、「供給量」全体では、前年度を1.0%上回る程度でほぼ前年並みと試算している。
18年1月現在の地域別出荷計画羽数の見通しを見ても、主要生産地の岩手県、宮崎県、鹿児島県がそれぞれ前年度比2.3%、0.8%、2.9%上回っており増産意欲が伺える。
また、参考として、鶏肉調製品を含めた正肉換算ベースの見通しとして、(右表)が示された。それによると、前年度に対し「需要量」は2.0%、「供給量」は0.8%上回るものと推計しており、増加傾向にある鶏肉調製品の輸入量や在庫量の積み増しを勘案し、需給状況はほぼ横ばいを予想している。
しかし、先行きを不透明にしているのは、鳥インフルエンザの世界各地でのまん延状況であり、これが一番の懸念材料となっている。
●●●農業経営統計調査結果(平成16年 組織経営の営農類型別経営統計)●●●
農林水産省が公表した、平成16年組織経営の営農類型別経営統計によると、1組織当たりの農業所得は、トップが肥育牛経営で39,958千円、次いで酪農経営が19,150千円、ブロイラー養鶏経営が17,430千円となり、その上位を畜産経営が占めた。(図5)
図5 組織法人経営の営農類型別農業取得
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酪農経営の集計組織数は17組織(うち100頭以上が12組織)で、耕地面積が67.9ヘクタール、月平均搾乳牛飼養頭数が162頭、事業従事者数が7.2人、生乳生産量が1,454.4トンとなっている。
これを、飼養規模別に見ると、100頭未満では、月平均搾乳牛飼養頭数46頭、農業所得5,455千円、構成員農業労働1時間当たり農業所得1,548円となり、また、100頭以上の組織では、月平均搾乳牛飼養頭数233頭、農業所得27,583千円、構成員農業労働1時間当たり農業所得2,867円となっている。農業所得率は100頭未満が11.6%、100頭以上が12.5%となり、平均では12.4%となった。(表4)
表4 酪農経営(飼養規模別)
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本調査は、個別経営農家とともに組織経営についても農業経営の実態を明らかにする観点から、法人、集落営農などの組織経営に関する調査を充実させるため、16年より営農類型別経営統計に再編するなどの新体系となった。
●●●17年の鶏卵生産量、前年比1.2%減少●●●
農林水産省「鶏卵流通統計」によると、17年(1〜12月)の鶏卵生産量は、2,461,626トン(▲1.2%)となり2年連続で前年を下回った(図6)
16年は卵価がかなり高水準にあったため、17年の素ひな出荷羽数は増羽傾向にあったものの、生産量はやや停滞気味となった。
農林水産省において「全国鶏卵需給連絡会議」が3月1日に開催され、平成18年度の鶏卵生産指針が示された。
指針の中で、同省食肉鶏卵課は、18年度以降の「生産意向調査」結果について、1,104件(うち5万羽以上617件)中80%が今後、現状維持又は増産の意向を示したとした。
なお、需要に見合った鶏卵の必要性から、「消費安定及び価格安定のための取組」として、(1)過去6カ年のほぼ平均的な卵価水準であった14年度と同様な価格水準を目指すためには、17年度の水準より1%程度の増産が必要である、(2)過去6カ年のうち最も卵価水準が高かった平成16年度と同様な価格水準を目指すためには、17年度の水準より4%程度の減産が必要である−との取り組みなどを発表した。
図6 月別鶏卵生産量の推移
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