本県の畜産は、大消費地に近い立地条件を背景として、狭い農地を有効に活用し、専業化・規模拡大により県農業生産額の約40%を占める基幹産業に発展した。しかし、土地利用型畜産である酪農にあっては、粗飼料を海外に依存しつつ成長したため、飼料自給率の低下、家畜排せつ物対策などが大きな課題となっている。
これまで酪農・肉用牛生産者へ飼料作物の生産拡大を強く働きかけてきましたが、季節的に作業が集中する飼料作物生産への労力配分は難しく、作付面積は平成元年の12,854ヘクタールをピークに平成17年には、7,930ヘクタールまで減少している。
このような状況の中、県では平成14年度から(財)群馬県農業公社を畜産コントラクターモデルとして位置づけ、活動を支援してきた。この結果、農家から労力負担の大きい稲醗酵粗飼料(飼料イネ)・デントコーンなどの収穫・調製作業を請け負って好評を得ており、平成15年度の42ヘクタールから本年度は84ヘクタール(予定)へと受託面積も増加している。
飼料作物の生産拡大には、収穫調製部分の畜産コントラクターへの作業委託が非常に有効であることが実証されたことにより、県農業公社の蓄積したノウハウを活用した新たな飼料生産の仕組作りが急務となっている。
ところで、本県の建設産業は、長引く建設投資の低迷による大きな構造変化の中で、かつてない厳しい経営環境にある。このため、建設産業からは、業態的に近く作業機操作技術が生かせる農業部門への参入希望が強くある。
このような情勢を踏まえ、県は今年度、畜産コントラクター普及事業(県単独事業)により、畜産コントラクターの育成・普及上の課題を検討する研究会の立上げ、建設産業・水田機械化組合へ向けての作業実演会(全4回)を開催していく。
第1回実演会は、5月22日、飼料用麦(野毛なし大麦)の収穫調製作業を県農業公社が講師となって実施した。当日、建設産業からは、13社23名に作業を視察していただいた結果、関心の高さがうかがえ、今後の担い手として大きな期待が寄せられた。
畜産コントラクターにあっては後発県であるが、本県の状況に合った飼料生産の仕組みを作り、飼料自給率の向上、たい肥の利用促進などの課題に対処して行きたい。
コントラクター実演会の様子
飼料自由率の向上・堆肥の利用促進
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