◎地域便り


神奈川県 ● アルプスホルンの音色が響く、大野山フェスティバル

神奈川県/川西 隆智


 県立大野山乳牛育成牧場は県内の酪農家で産まれた生後6カ月齢ほどの乳用子牛を約1年半預かり、受胎させて、それを元の酪農家に戻す預託育成牧場である。神奈川県と静岡県との県境、西丹沢山塊に位置する標高720メートルほどの大野山頂に昭和42年に開設され、西には雄大な富士山の姿が、北には県民の水瓶である丹沢湖が、そして南には広大な足柄平野が一望できる風光明媚な憩いの場として、地元住民だけでなく東京や横浜などからの来場も多い。

 10月28日、第14回大野山フェスティバルが秋空の下、多くの参加者を集め開催された。この催しは家畜にふれあいながら、日ごろの厳しい牧場作業を県民にも知ってもらい、酪農という仕事を理解してもらおうと実施されてるもので、毎回多くの参加者で賑わっている。この日は残念ながら風が強く、一部では霧がかかっていたものの時折雲のすき間から見える富士山の姿に感嘆の声が上がっていた。

 昼食時には県畜産振興会による「バーベキュー」や「牛乳の無料配布」などが行われ、親子連れやハイカー達は持参したお弁当を囲み、軟らかな肉や濃厚な牛乳に舌鼓をうっていた。

 子供達は子牛やポニーなどと遊んだり、母牛の大きな乳房に直接触れて乳搾りをしたりしながら動物の優しさや温もりを感じ、また広い草地に放牧されている乳用牛を観察したりと、牧場の仕事、役割を少しだけでも理解してもらえたようであった。

 また、広場では総勢20数名によるアルプスホルンの演奏もあり、山頂から吹き下ろす壮大な音色にはスイスアルプスにいるような素敵な感覚を覚えた人も多かったのではないだろうか。

 この日の参加者は約3,000名、その多くがフェスティバルの参加を楽しんでいるようで、中には毎年来ている方も見受けられ実行委員会を大いに喜ばしていた。大野山は、車で行くことも出来るが、JR御殿場線・谷峨駅から約1時間半のハイキングコースも整備されており、のどかに牛が草をはむ牧歌的な風景と森林浴をいつでも楽しむことができる。


アルプスホルンの演奏の様子

乳牛とのふれあい

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