◎地域便り


愛媛県 ●たい肥利活用推進研究会が開催される

愛媛県/山田 牧子


 愛媛県畜産技術協会と中国四国農政局の共催により、平成17年12月20日に愛媛県松山市内において、たい肥の有効活用および地域の資源循環型農業の推進に資することを目的に「たい肥利活用推進研究会(inえひめ)」を開催した。中国四国地域の行政関係者、研究者、農業団体関係者、農家など約60名の参加があった。

 講演では、(独)農業・生物系特定産業技術研究機構野菜茶業研究所 上原洋一環境制御研究室長が「野菜作におけるたい肥施用技術とその効果について」と題し基調講演を行い、トマトの施設栽培におけるたい肥の施用方法のほか、栽培に使用した肥料が有機物か化学肥料かを生産物中の窒素安定同位体比(重い窒素原子と軽い窒素原子の比)を分析することで判定できる最新の研究成果などが報告された。また、愛媛県農業試験場の櫛部文高係長が「愛媛県におけるたい肥生産・利用の現状と今後の課題について」と題し講演を行い、地域におけるたい肥利用に関するアンケート調査結果などを基に、(1)耕種農家のたい肥の利用度では「熱心に野菜づくりをしている農家ほどたい肥利用に積極的」、(2)耕種農家から畜産農家への要望で強いのは「安心して使用できる品質の高いたい肥」、(3)将来の土づくり計画で重要なのは「高齢になっても可能なたい肥散布体制」などと総括した。

 また、事例紹介では愛媛県内子町産業建設課の田中秀幸氏、八幡浜家畜保健衛生所の久保田英和氏、JAうまの鈴木幸治氏からそれぞれの地域におけるたい肥利用に関する優良な取り組み事例が報告された。

 その後、(独)農業・生物系特定産業技術研究機構近畿中国四国農業研究センター 井上憲一主任研究官をコーディネーターに、パネラーには前記の講演者・事例紹介者に中国四国農政局 藤澤眞一畜産環境対策官が加わり、耕種農家の望むたい肥とその利用促進方法について具体的な事例を交えながらパネルディスカッションが行われた。討論の中で、今後のたい肥利用促進のためには、耕種農家の使いやすいストックヤードの設置、たい肥散布機の整備、地域に応じた散布組織の育成、耕種・畜産農家の連携強化などが特に重要であることを確認し合い、研究会は盛会裡に終了した。


たい肥の利用方法についてのパネルディスカッション

研究会の様子

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