1.はじめに
国産乳用種牛肉のネーミングが決定し、平成17年12月上旬に各新聞紙上や雑誌で紹介されました。
「国産若牛」−これが、これまでの「乳雄(にゅうおす)」や「ホル雄(ほるおす)」に代わる国産乳用種牛肉の新しい名前です。今回はこの「国産若牛」について紹介します。
ホルスタイン種の雄を主とする乳用種の牛肉は、国内生産量の約4分の1を占めており、その手ごろな価格などから大衆向けの国産牛肉として広く国民に消費されています。しかし、米国産牛肉のような部位別の卸売り取引が困難なため、小売店などでの大量販売に必要な量の確保が難しいこと、また、同じB2規格であっても品質にバラつきがあることなどから、残念ながらその評価が定まっておらず、一般的な消費者の認知度も低い状況です。
2.「国産若牛」の誕生
そこで、国産乳用種牛肉の評価向上を図るために、平成17年度から畜産業振興事業として「国産牛肉市場開拓緊急対策事業」が新規に実施されることになりました。まず事業の開始に当たって、国産乳用種牛肉の生産、流通および消費に係る各分野の専門家ならびに学識経験者などを委員とした「国産牛肉等市場開拓協議会」を立ち上げました。この協議会の目的は、これまで関係者の間で使用されていた「乳雄」や「ホル雄」という呼称は食品としてあまり魅力的なものではなく、消費者にもPRしにくいという理由から、国産乳用種牛肉の新たなネーミングとスローガンを定め、効果的なイメージアップやPR活動について検討を行うというものです。ネーミングの必要性は、委員から出された「国内で生産される牛肉の約4分の1を占めながら、これまでその認知度が低かった国産乳用種牛肉に“市民権”を与えることが必要であろう」という意見にもあらわされています。
ネーミングの決定に当たり、乳用種牛肉の特徴として、肥育期間が20カ月程度で、和牛より10カ月程度若いこと、価格も手ごろであることがPRのポイントとして挙げられました。さらに、国産牛肉すべてに当てはまることですが、トレーサビリティシステムの確立による「安心」、生産者と消費者との距離が近いことを訴求するという方向性も加えられ、「食卓の定番 国産若牛」というネーミングとスローガンとともにそのロゴマークが決定しました。
店頭においても消費者にPRするため、牛肉の小売パック用のシールなどを、希望するスーパーや精肉店などに配布しました。今後もこのロゴマークを軸とした各種の販売促進活動を行っていく予定です。
また、国産若牛の消費拡大には、肉質の向上も重要であると考えられます。協議会の中に、乳用種牛の生産者などや有識者を委員とした生産技術の専門部会を設け、品質の底上げ・斉一化に資することを目的に、飼養衛生管理マニュアルを作成しました。
なお、国産若牛の情報については、ホームページ(http://www.kokusanwakaushi.jp)でも紹介しています。
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