愛知県/鳥居 雅樹
瀬戸市の木下牧場は、都市整備公団(以下、「公団」という。)の住開発地域に入り、周囲から経営継続は難しいと思われ廃業を勧められた。しかし、経営主(57才)は、住宅団地の中での牧場経営を模索し、粘り強く公団や市役所と話し合い、尿汚水の公共下水道利用、森林地域に隣接した用地の確保など都市の中での酪農経営存続条件整備を進めてきた。そして平成10年、公団の開発地域の中で全国初の移転牧場が誕生した。移転を期に農場名も「木下牧場」から「牧場みずの坂
west hill」と改め、住宅団地と共存するため、以前のような周囲から遮断する牧場から開かれた牧場創りを目指すようになった。牧場にはシンボルツリーの植栽やモニュメントの展示など、牧場景観の向上に努め、酪農教育ファームに参加して消費者との交流を積極的に行い、都市化の中の畜産経営を実践している。敷地内では搾乳牛50頭はもとより、ダチョウ、ウサギ、モルモット、ヤギ、めん羊、名古屋コーチンなどを飼育している。来場者は牧柵で囲まれた草地でのんびりと草をはむ動物の姿を眺めたり、牧草を与えて動物と触れ合うなど、憩いの場所となっている。
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