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●●●肉用牛の飼養頭数、微増●●●

 農林水産省が公表した「畜産統計調査」によると、平成18年2月1日現在の肉用牛の飼養戸数は、規模拡大を図る農家がみられる一方、高齢化などによる休廃業から、8万5,600戸(前年比4.5%減)と前年に比べ、4,000戸の減少となった。(図1)

図1 肉用牛の飼養戸数と1戸当たりの飼養頭数


 肉用牛の飼養頭数は、肉用種が170万3千頭(同0.4%増)、乳用種が105万千2千頭(同0.3%増)となり、全体では275万5千頭(同0.3%増)と、米国産牛肉の輸入一時停止措置の影響から、国内産の相場が堅調に推移したことが反映され、前年に比べ、微増となった。

 なお、1戸当たりの飼養頭数は、前年に比べ1頭増加して32頭となった。

 一方、肉用種子取り用めす牛の飼養頭数は、62万1千頭(同0.4%減)と3年連続で減少し、17年2月から7月の肉用種の出生頭数は、26万4,100頭となり、前年同期を0.1%上回った。

 


●●●4月の牛肉輸入量、前年度を下回る●●●

 5月31日に財務省が告示した17年4月の輸入量は、生鮮・冷蔵が19,525トン(前年同月比4.5%減)、冷凍が22,881トン(同9.4%減)となり、ともに前年同月を下回った。これは、今年のゴールデンウィークが大型連休だったことから、連休後の消費の落ち込みが大きいことが予想されたため、買い控えの動きが広がったことなどによるものと思われる。

 なお、18年度の輸入牛肉の関税の緊急措置の発動基準数量については、平成15年12月に米国のBSE発生による米国産牛肉の輸入一時停止措置に伴い、牛肉の輸入量がかなり減少したため、特例措置が講じられている。すなわち、発動基準数量は、従来の前年度の輸入数量に117%を乗じた数量に代えて、18年度のそれは、平成14年度と15年度の輸入数量合計の2分の1に117%を乗じた数量となっている。このため、生鮮・冷蔵が292,354トン、冷凍が323,924トンと、ともに17年度の発動基準数量よりも高くなっている。(図2)

図2 牛肉輸入量の推移


●●●豚の飼養戸数、大きく減少して7,800戸に●●●

 農林水産省が公表した「畜産統計」によると、18年2月1日現在の豚の飼養戸数は、7,800戸となり、前回(16年2月1日)に比べて1,080戸(前々年比12.2%減)減少した。

 豚の飼養戸数の減少率は、他の畜種(乳用牛、肉用牛、採卵鶏)に比べ大きく、引き続き、肥育豚飼養農家、子取り用めす豚飼養農家ともに中小規模層の農家が減少している。

 飼養頭数は、子取り用めす豚頭数が90万7千頭(同1.1%減)、種おす豚6万頭(同4.8%減)、肥育豚794万頭(同1.4%減)、合計で962万頭(同1.1%減)となり、すべて減少した。(図3)

図3 豚の飼養頭数および戸数の推移


 一方、子取り用めす豚飼養農家で100頭以上飼養している農家戸数の、全体に占める割合は3割程度であったものの、飼養頭数では8割を超えており、繁殖農家の規模拡大はさらに進んでいる。

 また、地域別の飼養頭数動向は、中国(同5.8%増)と九州(同2.0%増)で増加し、近畿(同13.0%減)および沖縄(同12.6%減)で減少した。

 県別の飼養頭数では、鹿児島県が1,396千頭でトップとなり、宮崎県(903千頭)、茨城県(626千頭)、群馬県(599千頭)、千葉県(558千頭)と続いた。




●●●17年度、関東の豚主要産地のと畜頭数は停滞気味●●●

 農林水産省が公表した「食肉流通統計」によると、平成18年4月の豚肉生産量は、70,133トン(前年同月比3.6%減)となり、7カ月連続して前年同月を下回った。生産量が停滞気味であったことから、卸売価格は上昇傾向にあり、4月の省令価格(東京)は1キログラム当たり455円と前月を15円上回り、夏相場に向けて強気配が伺える。

 と畜頭数は全国的に減少しており、東京市場などによるとその要因として、子取りめす豚の減少や疾病発生による子豚の損耗などの影響が考えられるとのことであった。

 17年度の月別と畜頭数をみると、全国ベースで前年度を上回ったのは4月と9月のみであり、年度累計では、前年度を1.7%下回る結果となった。また、豚の主要産地である鹿児島、宮崎、茨城、群馬、千葉県の推移をみると、九州地方の鹿児島、宮崎はほぼ6カ月以上、前年同月を上回る月があり、順調な生産状況が見られたが、関東地方をみると、千葉県は17年5月を除き、毎月前年同月を下回って推移し、また、群馬県は、17年5月,18年2、3月を除き前年同月を下回って推移し生産は停滞気味であった。(図4)

図4 豚の主要産地のと畜頭数(対前年同月比)


 農林水産省食肉鶏卵課による肉豚生産出荷予測(5月31日公表)においても18年4月〜6月は前年を下回ると予測していることからここしばらくは、出荷頭数の停滞が見込まれる。


●●●17年ブロイラー処理量、前年を3%上回る●●●

 農林水産省が5月15日に公表した「食鳥流通統計調査」によると、平成17年の食鳥処理量は、189万578トンと前年を3%上回った。

 食鳥処理量の内訳をみると、大宗を占めるブロイラー(肉用鶏のうち、ふ化後3カ月未満の鶏)の処理量は170万2千トン(前年比3%増)、廃鶏(採卵鶏または種鶏を廃用した鶏)は15万7千トン(同3%増)、その他の肉用鶏(肉用鶏のうち、ふ化後3カ月以上の鶏、いわゆる地鶏を含む)は2万6千トン(同1%増)、その他の食鳥(あいがも、うずら等の鶏以外の食鳥)は、6千トン(同8%増)とそれぞれ前年の処理量を上回った。輸入国における鳥インフルエンザの発生や米国からの牛肉輸入停止などを背景に鶏肉の国内生産量は増加傾向となっている。(図5)

図5 食鳥処理量(生体)の種類内訳の推移


 また、食鳥処理場の推移についてみると、全国の処理場数は643カ所で前年から7カ所減少したものの、1処理場当たりの処理重量は、2,940トン/年と前年を5%上回った。

 種類別にみると特に地鶏などを処理する「その他の肉用鶏処理場」やあいがも、うずらなど処理する「その他の食鳥処理場」が前年より、それぞれ15カ所、4カ所ずつ増えており、地産地消や地域活性化の振興などを背景に、地域の特徴を活かした鳥肉生産が進んでいることが反映されていると考えられる。(注:一処理場で複数の処理を行っている場合がある)


●●●17年度チーズ総消費量に占める国産の割合が2年ぶりに増加●●●

 農林水産省が公表した「平成17年度チーズ需給表」によると、チーズの総消費量は、プロセスチーズが118,240トン(前年度比2.8%増)と4年連続で前年度を上回ったものの、ナチュラルチーズが143,582トン(同4.8%減)と3年ぶりに前年度を下回ったことから、全体では261,822トン(同1.5%減)と3年ぶりに前年度を下回った。一方、総消費量に占める国産の割合が前年度を2.3ポイント上回る15.8%となり、2年ぶりに増加に転じた。(図6)

図6 チーズ総消費量の推移


 これは、輸入から国産へシフトしたことことによるものと思われるが、その要因の一つとして、輸入ナチュラルチーズの価格が、16年度に引き続き17年度も高水準で推移したことが挙げられる。

 また、国内では飲用向けの不振による脱脂粉乳やバターの需給緩和が続いているため、生乳をこれらの乳製品の生産に仕向けることが困難な状況にあることから、その一部がチーズ生産に向けられたことも影響しているものと思料される。




●●●18年の採卵鶏の飼養戸数は3,610戸●●●

 農林水産省が公表した「畜産統計」によると、18年2月1日現在の採卵鶏農家戸数(種鶏のみ、成鶏めす羽数1千羽未満の飼養者は除く。)は、3,610戸となり、前回(16年2月1日)に比べて480戸(前々年比11.7%減)減少した。

 1戸当たりの成鶏めす飼養羽数は、3万7,900羽となり、前回に比べ4,400羽(同13.1%増)増加した。

 飼養羽数規模別では、10万羽以上の成鶏めす飼養農家の、全体に占める割合は1割程度であったものの、飼養羽数の占める割合は6割を超えており、大規模採卵鶏農家飼養羽数の割合は引き続き増加している。

 県別の飼養羽数では、千葉県が8,827千羽でトップとなり、愛知県(8,083千羽)、茨城県(7,511千羽)、鹿児島県(7,400千羽)と続いた。

 また、地域別の飼養羽数動向は、北海道(同4.2%増)、東北(同9.0%増)、北陸(同25.9%増)および中国(同9.3%増)で増加し、四国(同5.8%減)および九州(同5.5%減)で減少した。(図7)

図7 採卵鶏の県別成鶏めす飼養羽数
(飼養羽数合計:136,447千羽)

 


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