◎調査・報告


農家経営

養豚基礎調査全国集計結果
平成17年度

社団法人 日本養豚協会


はじめに

 この調査は養豚経営のおかれている現状を正確に把握し、肉豚価格安定策、今後の新たな養豚対策および施策の立案などに資するために、平成10年度から継続して実施しており、昨年度に引き続き養豚振興体制整備総合対策事業(養豚振興体制整備推進)の一環として実施した。

 調査対象はすべての養豚経営者で、本年度の調査の主眼は、養豚問題懇談会報告書などから「今後の養豚のあるべき姿」にポイントを置き、生産コストの低減、リサイクル飼料状況およびたい肥利用状況などについて、現状の把握を行うこととした。

 この集計結果は主要項目について、全国集計したものである。


調査結果の概要

1.調査回答状況について

 本年度の調査対象経営戸数は、平成17年8月1日現在の全戸数7,731戸を対象に調査を行い、5,214戸(無記入等を含む)で回答率は67.4%である。このうち女性は168名であった。また平均年齢は、16年度は57.0歳であったが、17年度は57.3歳であった。(表1)

表1 調査に対する回答状況について

2.飼養頭数について

(1)肉豚の出荷状況

 
肉豚出荷日齢は、全国平均194.3日齢であるが、地域別では北地域より南地域の方が日数が長い傾向にある。肉豚出荷時の生体重の全国平均は、112.6キログラムである。枝肉重量の全国平均は、73.4キログラムである。地域別でもほぼ同様の傾向である。(表2)また、規模別に見ると、肉豚出荷日齢は、大規模になるほど早く(約10日間)出荷されている。出荷体重、枝肉重量はともに大きな差はない。(表3)

表2 肉豚の出荷状況(地域別)

表3 肉豚の出荷状況(規模別)


(2)品種別子取用雌豚頭数内訳

 種雌豚の全頭数は680,653頭で、そのうち純粋種は96,004頭(14.1%)である。品種割合はランドレース種21.4%、大ヨークシャー種17.4%、バークシャー種45.7%となり、肉豚生産の基幹品種であるランドレースが前年比で2.9%減となった。ほかの品種においてはほぼ横ばいである。なお九州・沖縄では、バークシャー種が高品質豚肉の人気もあり前年同様高く、68%を占めている。(図1)また、交雑種では、肉豚生産・三元交雑種のF1母豚として、前年度同様LW、WLが約70%を占めている。しかし、地域別に見ると、地域の特徴を生かした品種構成になっている。(図2)

図1 品種別子取用雌豚頭数内訳(純粋種)

図2 品種別子取用雌豚頭数内訳(交雑種)


(3)品種別種雄豚頭数内訳

 種雄豚の全頭数は44,108頭で、そのうち純粋種は38,172頭(86.5%)である。肉豚生産体制のなか、止め雄としてデュロック種が73.2%を占めている。前年度と比較すると、全国ではほぼ同様な傾向であるが、地域別に見ると、九州・沖縄のバークシャー種が20.6%(前年度26.7%)で6.1ポイント減となった。(図3)また、交雑種雄豚は、海外ハイブリッドが86.3%を占めている。(図4)

図3 品種別種雄豚内訳(純粋種)

図4 品種別種雄豚内訳(交雑種)

 純粋の子取用雌豚頭数は、全国で約96,000頭、種雄豚は約38,200頭である。雄対雌は、約1:15である。(表4)

表4 飼養頭数のまとめ


3.養豚経営について

 養豚経営の労働形態は、家族経営78.2%、会社経営17.6%であった。前年と比較すると、家族経営が2ポイント減(80.2%)、会社経営が1.7ポイント増(15.9%)であった。(図5)

 経営タイプは、前年とほぼ同様の傾向で、一貫経営が約73.9%であった。(図6)

図5 労働形態(全員対象)

図6 経営タイプ

 養豚経営の形態別に見ると、個人経営69.3%、株式会社などが22.2%で両者で全体の約92.0%を占めている。(図7)また、子取り用雌豚頭数規模で100頭以上から株式会社などの割合が高くなり、1,000頭以上は84%となっている。(図8)

図7 農場の経営形態(地域別)

図8 農場の経営形態(規模別)


4.人工授精実施状況について

 人工授精を導入・実施している経営者は、人工授精のみ+自然・人工併用が31.8%であり、前年より3ポイント増であった。子取り用雌豚頭数規模別では500頭以上で85.5%が人工授精を導入・実施している。子取り用雌豚頭数規模で、小規模ほど自然交配の割合が高く(68.2%)、大規模ほど併用型が高い。また、人工授精のみは1,000頭以上で約23.6%となっている。(図9)

図9 交配方法(規模別)

 自然交配のみとの回答した者の人工授精を実施しない主な要因は、技術的に困難が45.7%、母豚規模的にメリットがないが39.0%で約85%を占めている。(図10)また、将来、人工授精の導入を既に準備している、および検討を行っているが14.0%に対して、導入は全く考えていないが54.9%である。地域別に見ても同様の傾向である。(図11)

図10 人工授精を実施しない主な要因(自然交配のみを回答された方)(複数回答)

図11 将来、人工授精を導入するか(自然交配のみを回答された方)(○印は2つ)


5.種雌豚の繁殖成績について

 全国平均の1腹当たり産子数は、純粋種(ランドレース(L)、大ヨークシャー(W))約10.2頭、交雑種(LW、WL)10.6頭で両者とも前年比0.1ポイント増、海外ハイブリッドは10.9頭であった。前年と比較して、全国的には、ほぼ横ばいであるが、九州・沖縄のL、Wがわずかに増加(それぞれ0.4、0.3ポイント増)している。(表5)

表5 1腹当たり平均哺乳開始頭数


 また、1腹当たり離乳頭数は、純粋種(L、W)9.1頭、交雑種(LW、WL)約9.3頭、海外ハイブリッド9.7頭となり、前年と比較してほぼ横ばいとなった。(表6)

表6 1腹当たり平均離乳頭数


 哺乳開始から離乳までの平均育成率、受胎率、母豚の分娩回転数は、それぞれ前年と比較してほぼ横ばいとなった。(表7、8、9)

表7 哺乳開始から離乳までの平均育成率

表8 受胎率

表9 1母豚の分娩回転数


6.事故率について

 離乳から出荷までの事故率は7.4%で前年比1.8ポイント悪くなった。(表10)その主な死亡事故の要因は、呼吸器疾患が79.9%、消化器疾患が32.1%で、呼吸器系による事故率が最も高かった。地域別に見ても同様の傾向である。(図12)

表10 離乳後から出荷までの事故率

図12 表10の主な要因(○印は2つ)


7.生産コストについて

 豚舎施設における1カ月の電気料金は、10万円未満が60.9%、10〜30万円未満が26.3%で全体の87.2%を占めており、30万円〜50万円未満が6.3%となり、子取り用雌豚1頭当たりの平均電気料金は、1,320円となった。地域別に見ると、30万円以上になると地域差は小さくなっている。(図13、表11)

図13 豚舎施設における電気料(1カ月)(○印は2つ)(地域別)

表11 豚舎施設における電気料(1カ月)(規模別)

 汚水処理施設における1カ月の電気料金は、10万円未満が65.4%、10〜30万円未満が25.8%で全体の91.2%を占め、30万円〜50万円未満が4.6%となり、子取り用雌豚1頭当たりの平均電気料金は、866円となった。地域別に見ると、30万円以上では4〜5%であり、地域差は小さくなっている。(図14、表12)

図14 汚水処理施設における電気料(1カ月)(地域別)

表12 汚水処理施設における電気料(1カ月)(規模別)

 また、子豚(ほ乳・離乳時子豚)の暖房設備では、ガスブルーダーが最も多く、次いでコルツヒーター、赤外線電球と続いている。(図15)

図15 子豚(哺乳・離乳時子豚)の暖房設備(複数回答)


8.給与飼料(リサイクル飼料)について

 現在、リサイクル飼料(食品残さ飼料)を利用しているが17.3%、利用を検討しているが8.3%となり、利用または今後利用を検討の合計が25.6%となった。しかし、今後も利用するつもりはないが約69.9%であった。地域別に見ると、近畿36.9%、東海20.8%、中四国17.1%であり、近畿、東海の利用割合が高い。(図16)また、リサイクル飼料を利用している方で、代替割合は、平均43.4%となっている。(表13)

図16 リサイクル飼料(食品残さ飼料など)の関心度

表13 配合飼料との代替割合(リサイクル飼料利用者のみ)

 原料の主な入手先は、食品工場42.9%、レストラン44.9%で、全体の約90%を占めている。地域別に見ると、九州・沖縄のレストランからの原料入手が70.9%と高い割合になっている。(図17)また、出来上がったリサイクル飼料の製品価格は、26.1円であった。ただし、一般飼料と比較すると高い傾向であるが、これは工場から農場までの輸送費が含まれているものと思われる。(表14)

図17 リサイクル飼料の原料の主な入手先

表14 出来上がった飼料の購入料金(1kgあたり)

 給与に当たり、原料の処理方法を見ると、加熱処理が31.0%、加熱乾燥が12.2%、醗酵処理が5.6%で処理後の給与が48.8%に対して、未処理が41.8%であった。地域別に見ると、未処理での給与は地域差はないが、その他の処理については、地域差が大きい。(図18)

図18 給与に当たってどのような処理を行っているか

 現在リサイクル飼料を利用している方の今後の利用意向については、利用を拡大17.7%、現状維持75.8%となり、大規模ほどリサイクル飼料の利用拡大を図る傾向にある。(図19)

図19 リサイクル飼料の利用今後の意向について(規模別)

 リサイクル飼料給与の肉豚出荷日齢は、202.8日齢であり、一般肉豚に比較して8.5日多くかかっている。肉豚出荷時体重および枝肉重量は、一般肉豚と同傾向にあった。(表15)また、肉質は、脂肪は適量で、赤肉が多いが48.9%、脂肪の質が良く枝肉の締まりがよいが47.3%であった。地域別においても同様の傾向であった。リサイクル飼料の成分分析を行い、成分の把握をすることにより、さらに肉質の向上が図れるものと感じられる。(図20)豚肉の販売を見ると、品質が良く有利に販売しているが35.6%、銘柄豚肉として有利な販売が17.8%に対して、販売価格が低いが25.8%、販売に苦慮が5.4%であった。(図21)

表15 肉豚の出荷状況(リサイクル飼料利用者)

図20 肉質について(リサイクル飼料使用者)(複数回答)

図21 販売について(リサイクル飼料使用者)

 現在、リサイクル飼料を利用していないと回答した方の今後の意向は、利用について準備をしている、または検討しているが5.0%に対して、利用について検討をしているが18.2%、利用は考えていないが68.5%を占めている。(図22)

図22 リサイクル飼料を利用していない方の今後の意向


9.家畜環境について

 15年度以降のふん尿処理施設整備を見ると、施設の新設が39.1%、以前と同様が60.9%であった。(図23)

図23 15年度以降のふん尿処理施設の変更について

 たい肥生産量は全国平均一農場当たり37.1トン/1カ月であった。(表16)農場で生産されたたい肥の販売形態別の価格を見ると、袋詰め17.0キログラム当たり247円であるが、10キログラム当たりに換算すると145円となった(表17)。また、ばら売りでは3,634円/2トン車となっている。(表18)たい肥の販売などについて見ると、運搬で無料が40.7%、有料が25.7%、運搬・散布で無料が14.6%、有料が6.6%であり、有料が32.3%に対して無料が55.3%であった。(図24)

表16 1カ月当たりのたい肥の生産量(トン/月)

表17 農場で生産されたたい肥の販売形態と販売単価(袋詰め)

表18 農場で生産されたたい肥の販売形態と販売単価(ばら売り)

図24 農場で生産されたたい肥の販売について(複数回答)

 ふん尿処理施設の整備費は、固液分離の場合、浄化処理施設費2,612万円、たい肥化施設費1,815万円、1カ月当たりのランニングコストは、53.2万円である。(表19、20)また、子取用雌豚1頭当たりの年間ランニングコストは48,600円となり(表21)、肉豚出荷頭数1頭当たりの年間ランニングコストは、2,900円となった。(表22)

表19 ふん尿処理施設の整備費(固液分離の場合)

表20 ふん尿処理施設のランニングコスト(1カ月当たり)

表21 子取用雌豚1頭当たりのランニングコスト(年間)

表22 肉豚出荷頭数1頭当たりのランニングコスト(年間)


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