★ 農林水産省から


平成17年食品流通構造調査(畜産物調査)結果の概要

−業種別仕入量・流通経路の状況−

大臣官房統計部 生産流通消費統計課消費統計室
流通構造統計班 関 伸哲


はじめに

 食品の流通は、卸売市場を経由した多段階の経路をとる場合が中心となっているものの、近年、産地との直接取引、海外からの直接輸入等、卸売市場を通さない市場外流通が増加する傾向にあり、さらに農畜水産物の輸入の増大による多様な流通形態が形成されている。

 このような中、食品産業における農畜水産物の品目別の仕入先別仕入量等を把握することにより、食品産業の各部門・業種(業態)間における量的なフロー(流通経路・規模)を明らかにし、食品流通構造改善施策、食品産業と農畜水産業の連携強化等の推進に資することを目的に食品流通構造調査を実施した。

 この調査は、食品産業に属する事業所(食品卸売業、食品小売業、食品製造業及び外食産業(喫茶店を除く一般飲食店)の事業所)を対象として、平成15年度から実施しており、青果物、水産物、畜産物ごとに毎年ローテーションで実施している。

 平成17年度においては、畜産物について、1年間(平成16年度)の仕入状況等の調査を5,254事業所を対象に実施し、3,414事業所から回答を得た。(回収率65%)

 本調査は各調査対象における仕入量を実仕入れベース(部分肉等に換算していないもの)で調査したものである。このため、仕入量に関する記述には、カッコ書きで部分肉換算を行った数値を掲載している。

 また、仕入先別仕入量割合は実仕入量ベースでの割合である。

 なお、本稿では、国内産の豚肉・牛肉の仕入量などに的を絞って記述した。



調査結果の解説

I 豚肉
1 国内産豚肉の仕入状況

 平成16年度の食品産業における豚肉の総仕入量(延べ仕入量、以下同じ。)は510万1千トン(部分肉換算では478万8千トン、以下同じ)であり、そのうち国内産豚肉の仕入量は、311万トン(278万9千トン)であった。これを業種別にみると食品卸売業(卸売市場及びその他の卸売業)が136万7千トン(120万6千トン)、食品製造業が91万7千トン(74万5千トン)、食品小売業が65万6千トン(65万6千トン)、外食産業が17万1千トン(18万2千トン)であった。

 各業種別の仕入先別仕入量割合をみると、食品製造業では農協・経済連等(生産者を含む、以下同じ。)から64.7%と最も高くなっており、また、食品小売業ではその他の卸売業が51.1%、外食産業では食品小売業が53.5%とそれぞれ最も高くなっている。


図1 国内産豚肉の主な流通経路別仕入量

注: 
1 □内の数値は、卸売市場、その他の卸売業、食品製造業、食品小売業及び外食産業における同業種間の流通を含む延べ仕入量であり、自社肥育したものを含む。なお、< >内は部分肉換算を行った数値である。また、( )内は仕入量(延べ仕入量)に対する割合である。
2 卸売市場の数値は、卸売市場内の卸売業者が仕入れた延べ仕入量である。
3 業種別の仕入先・規模を調査・推定したものであること及び食品卸売業の各業種には、製造(加工)を行う事業所、消費者へ直接販売する事業所等が含まれていることから、食品卸売業の各業種の仕入量と他の業種が食品卸売業の各業種から仕入れた量の合計とは一致しない。
4 この結果には直接消費者へ流通するもの等は含んでいない。

2 業種別の豚肉の仕入状況
(1)食品製造業


 ア 食品製造業における豚肉の仕入量は149万3千トン(132万6千トン)で、国内産が91万7千トン(74万5千トン)、輸入が57万6千トン(58万2千トン)となっている。

 イ 国内産の仕入先についてみると、農協・経済連等からの仕入れが国内産仕入量の64.7%と最も高く、次いでその他の卸売業が12.5%、同業種である食品製造業が10.0%となっている。

 ウ 食品製造業の業種小分類別に仕入先別の仕入状況をみると、ハム等の肉製品製造を行っている畜産食料品製造業は、食品製造業全体の国内産豚肉仕入量の93.7%と大部分を占め、その仕入先は農協・経済連等が68.9%と最も高く、次いでその他の卸売業が11.2%となっている。

 また、冷凍の餃子やシュウマイ等の製造を行っている冷凍調理食品製造業においては、同業種である食品製造業からの仕入れが70.4%と最も高く、次いでその他の卸売業が28.2%となっており、惣菜製造業、その他の食料品製造業においても、同業種である食品製造業からの仕入れが4割、その他の卸売業からが5割近くを占めている。

表1 国内産豚肉の業種(小分類)別仕入量及び仕入先別仕入量割合(食品製造業)

(2)食品小売業

 ア 食品小売業における豚肉の仕入量は77万1千トン(77万2千トン)で、国内産が65万6千トン(65万6千トン)、輸入が11万5千トン(11万6千トン)となっている。

 イ 国内産の仕入先についてみると、その他の卸売業からの仕入れが国内産仕入量の51.1%と最も高く、次いで食品製造業が18.7%、農協・経済連等が14.9%となっている。

 ウ 食品小売業の業種小分類別に仕入先別の仕入状況をみると、各種食料品小売業及び食肉小売業は、食品小売業全体の国内産豚肉仕入量の47.6%、18.4%を占めており、その仕入先は、その他の卸売業からの仕入れがそれぞれ49.8%、56.3%と最も高くなっている。
 一方、百貨店・総合スーパーにおいては、食品製造業からの仕入れが39.6%と最も高くなっている。

表2 国内産豚肉の業種(小分類)別仕入量及び仕入先別仕入量割合(食品小売業)

(3)外食産業

 ア 外食産業における豚肉の仕入量は25万5千トン(27万2千トン)で、国内産が17万1千トン(18万2千トン)、輸入が8万5千トン(9万トン)となっている。

 イ 国内産の仕入先についてみると、食品小売業からの仕入れが53.5%と最も高く、次いでその他の卸売業が26.8%となっている。

 ウ 外食産業の業種小分類別に仕入先別の仕入状況をみると、焼肉店を除く業種では、食品小売業からの仕入れが最も高く、中華料理店・東洋料理店では国内産豚肉仕入量の58.8%、一般食堂では同56.5%となっている。

 一方、焼肉店では、その他の卸売業からが60.8%、農協・経済連等からが22.1%となっており、直接仕入の割合が高くなっている。

表3 国内産豚肉の業種(小分類)別仕入量及び仕入先別仕入量割合(外食産業)

(4)食品卸売業

 食品卸売業における豚肉の仕入量は258万1千トン(241万8千トン)で、国内産が136万7千トン(120万6千トン)、輸入が121万5千トン(121万2千トン)となっている。

 国内産の仕入先についてみると、農協・経済連等からの仕入れが国内産仕入量の43.8%と最も高く、次いでその他の卸売業が33.0%となっている。

表4 国内産豚肉の業種(小分類)別仕入量及び仕入先別仕入量割合(食品卸売業)

II 牛肉

1 国内産牛肉の仕入状況

 平成16年度の食品産業における牛肉の総仕入量は242万6千トン(226万1千トン)であり、そのうち国内産牛肉の仕入量は、133万5千トン(115万9千トン)であった。業種別にみると、食品卸売業(卸売市場及びその他の卸売業)が72万8千トン(59万9千トン)、食品製造業が20万トン(15万8千トン)、食品小売業が30万トン(29万5千トン)、外食産業が10万7千トン(10万7千トン)であった。

 各業種別の仕入先別仕入量割合をみると、食品製造業では農協・経済連等から53.8%と最も高くなっており、また、食品小売業及び外食産業ではその他の卸売業が49.1%、49.0%とそれぞれ最も高くなっている。

図2 国内産牛肉の主な流通経路別仕入量

注: 
1 □内の数値は、卸売市場、その他の卸売業、食品製造業、食品小売業及び外食産業における同業種間の流通を含む延べ仕入量であり、自社肥育したものを含む。なお、< >内は部分肉換算を行った数値である。また、( )内は仕入量(延べ仕入量)に対する割合である。
2 卸売市場の数値は、卸売市場内の卸売業者が仕入れた延べ仕入量である。
3 業種別の仕入先・規模を調査・推定したものであること及び食品卸売業の各業種には、製造(加工)を行う事業所、消費者へ直接販売する事業所等が含まれていることから、食品卸売業の各業種の仕入量と他の業種が食品卸売業の各業種から仕入れた量の合計とは一致しない。
4 この結果には直接消費者へ流通するもの等は含んでいない。

2 業種別の牛肉の仕入状況
(1)食品製造業


 ア 食品製造業における牛肉の仕入量は38万トン(34万3千トン)で、国内産が20万トン(15万8千トン)、輸入が18万トン(18万6千トン)となっている。

 イ 国内産の仕入先についてみると、農協・経済連等からの仕入れが国内産仕入量の53.8%と最も高く、次いで同業種である食品製造業が14.9%となっている。

 ウ 食品製造業の業種小分類別に仕入先別の仕入状況をみると、畜産食料品製造業は食品製造業の国内産牛肉仕入量の94.5%と大部分を占め、その仕入先は農協・経済連等からが56.4%と最も高く、次いで卸売市場が14.0%、その他の卸売業が13.5%となっている。

 一方、冷凍調理食品製造業においては、同業種である食品製造業からの仕入れが71.0%と最も高くなっている。

表5 国内産牛肉の業種(小分類)別仕入量及び仕入先別仕入量割合(食品製造業)

(2)食品小売業

 ア 食品小売業における牛肉の仕入量は40万トン(39万7千トン)で、国内産が30万トン(29万5千トン)、輸入が10万トン(10万2千トン)となっている。

 イ 国内産の仕入先についてみると、その他の卸売業からの仕入れが国内産仕入量の49.1%と最も高く、次いで卸売市場及び食品製造業がともに15.7%ずつとなっている。

 ウ 食品小売業の業種小分類別に仕入先別の仕入状況をみると、各種食料品小売業及び食肉小売業は、食品小売業全体の国内産牛肉仕入量の46.0%、27.0%を占めており、その仕入先は、その他の卸売業からの仕入れがそれぞれ52.2%、42.9%と最も高くなっている。

 一方、百貨店・総合スーパーにおいては、食品製造業からの仕入れが32.0%と最も高くなっている。

表6 国内産牛肉の業種(小分類)別仕入量及び仕入先別仕入量割合(食品小売業)

(3)外食産業

 ア 外食産業における牛肉の仕入量は19万5千トン(19万8千トン)で、国内産が10万7千トン(10万7千トン)、輸入が8万8千トン(9万1千トン)となっている。

 イ 国内産の仕入先についてみると、その他の卸売業からの仕入れが国内産仕入量の49.0%と最も高く、次いで食品小売業が23.4%となっている。

 ウ 外食産業の業種小分類別に仕入先別の仕入状況をみると、焼肉店及び西洋料理店は、国内産牛肉仕入量の60.7%、17.8%を占めており、その仕入先は、その他の卸売業からの仕入れがそれぞれ57.4%、52.5%と最も高くなっている。

 一方、一般食堂においては食品小売業からの仕入れが61.4%と最も高くなっている。

表7 国内産牛肉の業種(小分類)別仕入量及び仕入先別仕入量割合(外食産業)

(4)食品卸売業

 食品卸売業における牛肉の仕入量は145万1千トン(132万3千トン)で、国内産が72万8千トン(59万9千トン)、輸入が72万2千トン(72万4千トン)となっている。

 国内産の仕入先についてみると、農協・経済連等からの仕入れが国内産仕入量の49.5%と最も高く、次いでその他の卸売業が21.8%となっている。

表8 国内産牛肉の業種(小分類)別仕入量及び仕入先別仕入量割合(食品卸売業)

終わりに

 この調査は、今回初めて実施したものであり、今後の予定は、18年度の青果物、19年度の水産物の調査(予定)に引き続き、20年度の実施を予定している。

 本調査の実施に当たりご協力頂いた関係者の皆様に深く感謝申し上げるとともに、調査結果が広く関係方面に活用されることを期待してやまない。

 なお、今回の公表結果についての詳細なデータ等については、農林水産省ホームページ中の農林水産統計データに掲載している。(分野別分類は「食品産業・消費」、品目別分類は「畜産物・飼料作物・繭」に分類している。)

http://www.maff.go.jp/www/info/index.html


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