つがる市車力地域は、青森県津軽半島北西部の日本海沿いに位置し、地域の東部を流れる山田川流域の水田地帯と屏風山と呼ばれる丘陵を中心とした畑作地帯に大別される。
社団法人屏風山野菜振興会(以下、「野菜振興会」という。)は、この屏風山一帯で生産された野菜の集出荷や共同選果、農作業受託、加工などを業務としており、平成15年度では167名の会員が利用している。
つがる市営車力たい肥センターは、平成5〜9年度に公共事業により整備された施設で、周辺環境に配慮し松林に囲まれた市営屏風山牧場内の東端に設置している。
同センターの管理運営は、旧車力村、農協、全農青森が出資した野菜振興会が運営に当たっている。
たい肥原料の家畜ふん尿(もみがらやオガコなど敷き料込み)などは、地域の畜産農家10戸(肉用牛繁殖牛168頭、肥育牛221頭、養豚12,800頭)が持ち込んでいる(処理料負担なし)ほか、近隣たい肥センターからも提供を受けている。基本的には畜産農家が自ら搬入するが、たい肥の水分調整のために稲わらやもみがらの一部は副資材として野菜振興会が搬入している。
同センターは、地域内の家畜排せつ物を受け入れることによって、畜産農家の経済的負担の軽減に貢献している。
たい肥は4棟のたい肥舎(合計約1,900平方メートル)で、ホイルローダーによる切り返しを行っており、年間約5,000トンを生産している。
たい肥の利活用については、当地域は畑作物の主産地形成を目標とする国営の大規模開畑事業により開発された約800ヘクタールもの畑地があり、その土性は砂丘地帯に属し土壌の保肥力が非常に低く、物理性の改善を目的としたたい肥の利用を希望する農家が多いことから、恒常的にたい肥が不足気味である。また、野菜振興会では、ほ場までの有料運搬サービスを行っているほか、大小3台のマニュアスプレッダーを用いた散布作業も安価(4,200円/4トン/台)で便宜を図っていることも利用拡大の一助となっている。
以上のことから、概してたい肥利用農家の評判は良く、農協、農林水産事務所普及指導室では土壌診断と組み合わせた施肥設計を指導し、土づくりを推進している。
たい肥の散布面積は、例年142ヘクタール前後でナガイモ、ネギをはじめあらゆる野菜に利用されており、秋の散布作業後はほとんどたい肥舎に残らない状況となっている。
(たい肥の施用量は10アール当たり平均2トンを基準にしている。)
今後は、簡易推定法によるたい肥成分の季節変動に応じた利用技術の向上や有機野菜の生産などによる「つがるブランド」の確立が期待される。
マニュアスプレッダーによるたい肥散布 |
ホイルローダーによるたい肥の積込み |
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