社団法人日本乳業協会は、栄養、料理などの学会、マスコミ、消費者団体などの女性オピニオンリーダーで構成された「牛乳・乳製品から食と健康を考える会」を主催し、牛乳・乳製品の知識や広く生活に関わるテーマを取り上げ、双方向のコミュニケーションを図っている。その活動の一つであるシンポジウム「牛乳から考える食文化〜これまでと、これから〜」が、1月20日有楽町朝日ホール(東京都中央区)で開催された。コーディネーターに木元教子氏(評論家・ジャーナリスト)、パネリストに石川栄輔氏(作家)、神津カンナ氏(作家)、碧海酉癸氏(消費生活アドバイザー)、荒牧麻子氏(管理栄養士)、江上栄子氏(江上料理学院院長)を迎え、活発なパネルディスカッションが行われた。
木元氏から日本における牛乳の歴史について紹介があったほか、「牛乳と食文化のかかわり」、「これからの牛乳」についてパネリストたちとのディスカッションがなされた。
「これまでの牛乳」として、石川氏の、「戦後、青年時代を空腹感とともに過ごした中で、牛乳を飲むと、空腹感を満たすだけでなく、エネルギーが全身に回っていくのを感じ、牛乳のすごさを体感した」という話や、学校給食で飲んだ牛乳、特に脱脂粉乳から牛乳に移り変わった話など、パネリストのそれぞれの牛乳・乳製品に関する思い出が紹介された。また、北欧で利用されている牛乳紙パック(1リットル)用容器の紹介(碧海氏)や、牛乳が絵画の題材として取り上げられている“フェルメールの「牛乳を注ぐ女」”のように、牛乳はヨーロッパの食文化に根付いていること(神津氏)などが紹介された。
江上氏からは、牛乳をそのまま飲むだけではなく、おしゃれな飲み方として、フルーツの缶詰を利用したシェイクなどや、料理にも利用できる「牛乳おじや」※の作り方が紹介され、荒牧氏からは、「3−A−Day」を取り入れた1日1500キロカロリーの献立が紹介された。
また、事前に受け付けた質問の中で多かった「豆乳は牛乳の代わりになるのか」という質問に対し、荒牧氏から、「牛乳は牛の乳すなわち「動物性食品」、豆乳はあくまで「植物性食品」その上で、日常の食生活には、魚、肉など動物性食品と、野菜、果物など植物性食品の両方を取り入れることが望ましく、どちらも必要な食品であることから豆乳は牛乳の代わりにはならない。」との回答があった。
最後に、木元氏より、「現在、牛乳・乳製品は多種多様化されている。消費者がより多くの商品知識を持つことにより新しい食文化が生まれることから、この様なシンポジウムを多いに利用してほしい。」とのコメントがあった。
※牛乳おじや:2センチに切ったニラを鍋に敷き、冷やご飯を入れ、牛乳を注いで火にかける。味付けは塩。調理時間10分程度。
北欧で利用されている牛乳パック用の入れ物の紹介をされる碧海氏 |
「3−A−Day」を取り入れた1500kcal/日の献立
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