「阿蘇ミルク牧場」は、熊本県酪農業協同組合連合会が事業主体となり、酪農業の振興と普及を設立趣旨として、2000年4月に、阿蘇郡西原村に開業した。
「酪農家」と「消費者」の架け橋として、農産品の素晴らしさを一人でも多くの消費者に伝える使命があると、スタッフ全員が一丸となって、活躍している。特に熊本県は西日本一の酪農県であるのにもかかわらず、認知度が低いため、乳製品や牛乳の普及が弱い。この課題をなんとかクリアするためにも、生産から製造までのすべてにこだわり、良い乳製品作りに取り組んでいる。
熊本空港より南東へ車で約20分、標高約500メートル、東京ドーム約30個分の敷地を持つ雄大な土地に約70頭の牛たちがのびのびと放牧されている。牛の種類は、世界でも珍しい5種類の牛(ジャージ種、ガンジー種、ブラウンスイス種、エアシャー種、ホルスタイン種)を飼育し、それぞれの特徴に合わせて、エサの調合、育成をしている。一般的に国内の製造工場では、ホルスタイン種の生乳が牛乳や乳製品に加工されているが、当牧場では、この5種類の生乳の各風味、舌ざわり、後味などを最大限に生かしたブレンド生乳を使用している。
牧場内にある「乳製品工場」では、日々搾乳される生乳から牛乳やチーズ、乳製品などを製造している。その中で特にチーズは、工場長清水龍成が国内で10年、ノルマンディー、ロックフォール地方、サヴォア地方などの現地で修行を重ね「阿蘇ミルク牧場」開業時より、カマンベールチーズやゴーダチーズなどの製造、開発に取り組んでいる。本場フランス現地に近い味を活かしながら、日本人の嗜好に合わせたチーズ作りにこだわり続け、今では、清水龍成独自のチーズが出来上がり、特にカマンベールチーズは、全国からの問い合わせ、注文が相次いでいる。
今回「ナチュラルチーズコンテスト」フレッシュ部門金賞受賞の「リコッタチーズ」は『まだまだチーズが苦手という消費者に、少しでもチーズを好きになってもらおう』という発想から製造に取り組んだ。原料となる乳清は、ゴーダチーズ製造時に出る乳清のみを使用。日頃より乳清は、処理していたが処理するたびに心を痛めていたところであった。『自然の恵みである生乳を一滴も無駄にしたくない』という発想と『少しでもチーズを好きになってもらおう』という発想から生まれた「リコッタチーズ」。この双方の発想が私たちの使命である、「酪農と消費者の架け橋」の原点であり、この原点に金賞を受賞したと言っても過言ではない。これからも、この「使命」「原点」を真摯に受け、チーズや乳製品作りに取り組んで行きたい。
「カードナイフ」を使ってのチーズ製造作業
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チーズコンテスト金賞受賞の「リコッタチーズ」
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