★ 農林水産省から


平成18年度畜産物行政価格等の決定について


1 加工原料乳生産者補給金単価等

生産局畜産部 牛乳乳製品課
価格調査班 桒原佐和子


 農林水産省は、「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法」第11条の規定に基づき、平成18年度の加工原料乳生産者補給金単価(以下「補給金単価」という。)及び補給金交付に係る加工原料乳の最高限度として農林水産大臣が定める数量(以下「限度数量」という。)を表1(31ページ参照)のとおり決定し、平成18年3月31日付けで官報告示した。

 以下、その背景、内容等について紹介する。


牛乳・乳製品の需給動向

 生乳生産量は平成9年度以降、都府県を中心とした乳用牛の飼養頭数の減少等により、減少傾向で推移してきたが、14年度及び15年度については、北海道の生産増により全体として微増となり、16年度については、猛暑の影響等により減少した。17年度(17年4月〜18年1月)については、前年に比べ、北海道で1.6%増加、都府県で1.2%減少し、全国では0.1%増加となっている。

 飲用需要は、9年度以降増減はあるものの減少傾向で推移し、17年度(17年4月〜18年1月)については豆乳等他飲料との競合等により、前年を3.3%下回って推移している。乳製品需要については、前年を5.4%上回って推移している。

 乳製品のうち、脱脂粉乳については、生産量は増加し、消費量は脱脂粉乳過剰在庫処理対策の実施等により前年をやや上回っており、この結果、在庫量は8万1,400トン(18年1月末現在、対前年同期比5.8%減)となった。しかしながら、対策分を除いた消費量は前年並みで、既存需要は低迷が続いている。一方、バターについては、生産量が増加しているのに対して、消費量は減少しており、この結果、在庫量は2万9,900トン(18年1月末現在、対前年同期比11.9%増)となった。なお、カレントアクセスによる輸入バター3,700トンが18年1月までに5回に分けて売り渡された。


酪農経営の動向

酪農経営の動向についてみると、飼養戸数は小規模飼養層を中心に引き続き減少しているものの(17年2月現在2万7,700戸、対前年比3.8%減)、飼養頭数については大規模飼養層の増加によりわずかな減少にとどまっている(同165万5千頭、対前年比2.1%減)。

 経産牛1頭当たり乳量は、年々増加傾向にあり、16年度は前年度をわずかに上回った(全国7,732kg、北海道7,753kg)。


加工原料乳生産者補給金単価等の算定

加工原料乳生産者補給金単価

 補給金単価は、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の規定に基づき、生乳の生産費その他の生産条件、生乳及び乳製品の需給事情並びに物価その他の経済事情を考慮し、加工原料乳地域における生乳の再生産を確保することを旨として定めることとされている。

(1)算定の考え方

 加工原料乳地域(生産される生乳の相当部分が加工原料乳であると認められる地域=北海道)における生産費および乳量の各々の移動 3 年平均の変化率から求めた生産コスト等変動率を前年度の補給金単価に乗じて、「当該年度の加工原料乳生産者補給金単価」を算定した。

(2)算式

 ・当該年度の補給金単価=前年度の補給金単価×生産コスト等変動率

 ・生産コスト等変動率
  
     
   C1/C0:搾乳牛 1 頭当たり生産費の変化率
   (移動 3 年平均)
   Y1/Y0:搾乳牛 1 頭当たり乳量の変化率
   (移動 3 年平均)

(3)算定要領

(1)前年度の補給金単価

    平成17年度補給金単価:10.40円/kg  

(2)生産コスト等変動率

 生産コスト等変動率は、搾乳牛1頭当たり生産費(移動3年平均)の変化率を、搾乳牛1頭当たり乳量(移動3年平均)の変化率で割り、算出した。

 ア 搾乳牛 1 頭当たり生産費(移動 3 年平均)の変化率

  農林水産省統計部の牛乳生産費調査結果による搾乳牛 1 頭当たり全算入生産費を、飼養頭数規模別飼養頭数ウェイトにより加重平均した上で、集送乳経費、販売手数料及び企画管理労働費を加算し、以下により物価・労賃の動向などを織り込んで算出した生産費の当年の 3 年平均(平成15年〜17年生産費の平均)を、前年の 3 年平均(平成14年〜16年生産費の平均)で割り、算出した。

  (ア)物財費等の各費目については、原則として当年の3年平均生産費については、直近(平成17年11月〜18年1月)に、前年の3年平均生産費については、1年前の同時期(平成16年11月〜17年1月)の水準に物価修正して算出した。

  (イ)家族労働費については、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」による加工原料乳地域の製造業5人以上規模の労働賃金水準により評価して算出した。

  (ウ)地代及び資本利子については、当年の3年平均生産費は直近年(平成17年)に、前年の3年平均生産費は1年前(平成16年)の水準に評価して算出した。

  (エ)企画管理労働費については、牛乳生産費調査に基づく企画管理労働時間に家族労働費と同額の労賃単価を乗じて算出した。

 上記により求められた、当年の3年平均生産費(627,195円/頭)及び前年の3年平均生産費(618,637円/頭)から、搾乳牛1頭当たり生産費(移動3年平均)の変化率は1.0138と算出した。

 イ 搾乳牛1頭当たり乳量(移動3年平均)の変化率

  牛乳生産費調査による搾乳牛通年換算1頭当たり乳脂肪分3.5%換算乳量を、飼養頭数規模別飼養頭数ウェイトにより加重平均して算出した乳量の当年の3年平均(平成15年〜17年乳量の平均)を、前年の3年平均(平成14年〜16年乳量の平均)で割り、算出した。

  これにより求められた、当年の3年平均乳量(8,914kg/頭)及び前年の3年平均乳量(8,794kg/頭)から、搾乳牛1頭当たり乳量(移動3年平均)の変化率は1.0136と算出した。

(3) 生産コスト等変動率

 搾乳牛1頭当たり生産費の変化率(1.0138)を、搾乳牛1頭当たり乳量の変化率(1.0136)で割り、生産コスト等変動率は1.0002と算出した。

(4)諮問値

 前年度の補給金単価(10.40円/s)に生産コスト等変動率(1.0002)を乗じて求めた10.40円/kgを18年度の補給金単価として諮問した。

 平成18年度の補給金単価の諮問値は、乳量の増加及び子牛価格の上昇等により、0.23円の下げ要素があった一方で、飼料費、光熱動力費の上昇等により、0.23円の上げ要素があり、17年度の補給金単価から据え置きとなった。


限度数量

 限度数量は、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の規定に基づく生産者補給金の交付の対象となる加工原料乳の数量の最高限度として定められる数量であり、生乳の生産事情、飲用牛乳及び乳製品の需給事情、その他経済事情を考慮して定めることとされている。

(1)算定の考え方

 平成18年度の推定生乳生産量の中央値から、同年度の推定自家消費量、牛乳等向け生乳消費量として見込まれる数量の中央値、その他乳製品向け生乳消費量として見込まれる数量、要調整数量(生産)を控除して、「特定乳製品向け生乳供給量として見込まれる数量」(=限度数量)を算定した。

(2)算式
 L=Q1−(D1+D2+D3+D4)=D5

L :求める数量
Q1:推定生乳生産量の中央値
D1:推定自家消費量
D2:牛乳等向け生乳消費量として見込まれる数量の中央値
D3:その他乳製品向け生乳消費量として見込まれる数量
D4:要調整数量(生産)
D5:特定乳製品向け生乳供給量として見 込まれる数量の中央値

(3)算定要領

(1)推定生乳生産量

 最近の経産牛頭数から推定される平成18年度の各月の経産牛頭数に、平成18年度の各月の推定1頭当たり搾乳量を乗じて算出した。

(2)推定自家消費量

 最近における動向を考慮して算出した。

(3)牛乳等向け生乳消費量として見込まれる数量の中央値

 平成8年度〜17年度の消費者物価指数(総合)、飲料支出に占める牛乳支出の割合と国民1人当たり年間牛乳等向け生乳消費量の関数により推定される平成18年度の国民1人当たり消費量に同年度の推定総人口を乗じて算出した。
(4)その他乳製品向け生乳消費量として見込まれる数量

 最近における動向等を考慮して算出した。

(5)要調整数量(生産)

 平成18年度の推定消費量(輸入乳製品の消費量として見込まれる数量は除く)を上回って生産されると見込まれる生乳量であって、調整を要する数量とした。

(4)諮問値

 上記の算式及び算定要領により求めた203万トンを、平成18年度の限度数量として諮問した。

 平成18年度の限度数量の諮問値は、生産量については、需給均衡を図るために調整が必要な数量を折り込み、需要量については、生産者団体等が自主的に実施する需要拡大対策の効果を織り込んで試算した結果、需要が需給均衡となる水準を上回ることから、その部分(脱脂粉乳換算5千トン)につき在庫削減を行い、脱脂粉乳の在庫問題の解決に道筋を付けるように設定した。これは、生産者団体が取り組む計画生産とも整合するものとなっている。

 


2  指定食肉の安定価格、肉用子牛の保証基準価格等

生産局畜産部 食肉鶏卵課
価格調査班   舘澤 等


 農林水産省では、「畜産物の価格安定に関する法律」及び「肉用子牛生産安定等特別措置法」に基づき平成18年度指定食肉の安定価格並びに肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格について、別表2及び3(31ページ参照)のとおり決定し、平成18年3月31日付けで官報告示した。

 以下、その背景、内容等について紹介する。


指定食肉の安定価格

最近の牛肉を巡る情勢

(1)需給情勢

 消費量を推定出回量でみると、平成14年度は、国内初のBSE発生(13年9月)の影響により大幅に減少した前年度に比べ、回復傾向で推移し、対前年度比  2.2%増となった。15年度は、4月以降ほぼ前年同期並みで推移したが、12月の米国におけるBSE発生により、国内消費の概ね3割を占めていた米国産牛肉の輸入停止措置に伴う供給面の事情の変化によって需要の一部の手当ができなかったことから、年度全体では対前年度比3.2%減となった。16年度においても、米国産牛肉の輸入停止措置の影響により、対前年度比10.5%減となった。17年度(4〜12月)は、対前年同期比0.3%増となっている。

 国内生産量は、14年度は、国内初のBSE発生による出荷自粛等によりかなり減少した前年度に比べ、出荷自粛の反動等から、対前年度比10.6%増となった。15年度は、出荷自粛の反動等により13年度に比べ増加した14年度同期を下回って推移し、対前年度比2.9%減となった。16年度は、堅調な枝肉価格を背景とした出荷時期の前倒しもあり、対前年度比0.7%増となった。17年度(4〜12月)は、乳用種の出荷頭数の減少等により、対前年同期比2.3%減となっている。

 輸入量は、14年度は、期首在庫水準が高かったこと、国内初のBSE発生後、国産品に比べ輸入品の需要回復が遅れていたことから、対前年度比12.1%減となった。15年度は、15年4〜6月の冷蔵品の輸入量が対前年同期比33.9%増となり、第1四半期の関税の緊急措置の発動基準数量を超えたため、15年8月1日より同措置が発動された(16年3月末まで)。また、米国におけるBSE発生に伴い、15年12月24日より米国からの牛肉の輸入が停止されたことから、対前年度比2.6%減となった。16年度は、米国産牛肉の輸入停止措置が継続する中、豪州産牛肉については対前年度比39.2%増となったことから、全体では対前年度比13.4%減となった。17年度(4〜12月)は、対前年同期比3.1%増となっている。なお、17年12月に米国・カナダ産牛肉の輸入が再開されたが、米国産については、18年1月20日に特定危険部位であるせき柱の混入が確認されたことから、米国産牛肉の輸入手続きが停止された。

(2)卸売価格の動向

 卸売価格(省令規格)は、14年度は、国内初のBSE発生により国内需要が減少した前年度に比べ、消費が回復したことから、対前年度比28.6%上昇した。15年度は、前年度が低水準であったことに加え、12月以降米国産牛肉の輸入停止の影響もあり前年同期を上回って推移したことから、前年度に比べ11.5%上昇したが、国内BSE発生前に比べると依然低い水準にあった。16年度は、米国産牛肉の輸入停止措置の影響もあり、対前年度比15.5%上昇となった。17年度(4〜1月)も引き続き堅調に推移しており、対前年同期比7.0%の上昇となっている。

 品種別の動向をみると、13年9月の国内初のBSE発生以降、去勢和牛に比べ乳用種去勢牛の下落幅が大きく、価格の回復度合も乳用種去勢牛で弱い傾向にあったが、14年11月には各品種ともほぼBSE発生前の水準にまで回復した。その後、乳用種去勢牛については、B2規格を中心に引き合いが弱くなり低下したものの、15年12月の米国産牛肉の輸入停止以降、代替需要により上昇し、15年度は各品種とも前年度を上回る水準となり、16年度も、引き続き、前年度を上回る水準で堅調に推移した。17年度(4〜12月)も、各品種とも前年同期を上回って推移している。

最近の豚肉を巡る情勢

(1)需給情勢

 消費量を推定出回量でみると、近年増加傾向で推移している。平成13年度以降は、13年9月の国内初のBSE発生、15年12月の米国におけるBSE発生、国内外の高病原性鳥インフルエンザ発生に伴う牛肉・鶏肉の代替需要により増加し、16年度は、対前年度比3.5%増となった。17年度(4〜12月)は、牛肉等の代替需要により増加した前年度に比べ2.2%の減となっている。

 国内生産量は、14年度は堅調な需要を背景とした子取用雌豚の飼養頭数の増加を反映して対前年度比1.2%増となり、15年度も対前年度比2.3%増と引き続き増加した。16年度は対前年度比0.9%減となった。17年度(4〜12月)は、16年夏季の暑熱の影響による子豚生産率の低下等により、対前年同期比1.9%減となっている。

 輸入量は、近年増加傾向で推移している。13年度以降は、13年9月の国内初のBSE発生、15年12月の米国におけるBSE発生、国内外の高病原性鳥インフルエンザ発生に伴う牛肉・鶏肉の代替需要により増加傾向で推移し、16年度は対前年度比10.7%増とかなり上回った。なお、16年度は第1四半期の輸入量が関税の緊急措置の発動基準数量を超えたため、8月1日より17年3月末まで同措置が発動された。17年度(4〜12月)は、対前年同期比1.5%増となっている。

(2)卸売価格の動向

 卸売価格は、13年度は10月以降の牛肉の代替需要もあり、対前年度比13.7%上昇した。14年度は、年度前半は堅調に推移したものの、9月下旬以降は出荷頭数の増加等に伴い弱含みで推移した結果、対前年度比6.0%低下した。15年度は、7月下旬以降、国内生産量が増加したこと等により軟調に推移したが、11月25日から実施した調整保管及び15年12月の米国産牛肉の輸入停止措置の影響等により、12月以降は前年同期を上回って推移した。なお、通年でみると前年度に比べ5.8%低下した。16年度は、米国産牛肉の輸入停止措置の影響等により堅調に推移し、対前年度比7.2%上昇した。17年度(4〜1月)は、対前年同期比1.1%上昇となっている。

指定食肉の価格安定制度

(1)制度の目的

 食肉の価格安定制度は、(独)農畜産業振興機構の需給操作等を通じて安定価格帯の幅の中に卸売価格を安定させることにより、価格の乱高下を防ぎ、生産者の経営の安定を確保しつつ、消費者への食肉の安定供給を図ることを目的としている。

(2)制度の仕組み

 畜産物の価格安定に関する法律に基づき、毎年度、食肉の「生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮し、その再生産を確保することを旨として」安定価格帯(安定上位価格及び安定基準価格)を定めることとしている。

 なお、本制度では、安定上位価格と安定基準価格については、省令により牛肉は去勢牛肉の「B−2・B−3」規格、豚肉については「上」以上の規格のものと定めている。

(3)平成18年度指定食肉の安定価格の算定

 食肉の安定価格については、過去の一定期間を基準期間(牛肉:直近7年間、豚肉:直近5年間)として、この間に実現した肥育牛及び肥育豚の農家販売価格を基本に、基準期間の平均生産コストに対する価格算定年度に見込まれる生産コストの変化率を織り込む需給実勢方式により算定している。

(1)牛肉の安定価格

 基準期間における主な算定要素の動向をみると、枝肉価格及び子牛価格の動向は前述のとおりであり、このほか、配合飼料費は増加、労働費は減少(1頭当たりの労働時間は短縮)する傾向となっている。牛肉の安定価格については、和牛及び乳用種を一元化して算定しており、総合すると安定基準価格、安定上位価格ともに前年度と同額と試算された。

(2)豚肉の安定価格

 基準期間における主な算定要素の動向をみると、枝肉価格の動向は前述のとおりであり、このほか、配合飼料費は増加、労働費は減少(1頭当たりの労働時間は短縮)する傾向となっており、総合すると安定基準価格、安定上位価格とも前年度と同額と試算された。
(31ページ表2を参照)


肉用子牛の保証基準価格および合理化目標価格

最近の肉用子牛価格の動向

(1)黒毛和種については、平成6年度第3四半期から13年度第3四半期までは保証基準価格を上回る水準で推移した。その後、国内初のBSE発生に伴う影響により、13年度第4四半期は保証基準価格を下回ったものの、その後回復し、最近では50万円を上回る水準で推移している。

(2)褐毛和種については、12年度第4四半期から13年度第2四半期までは保証基準価格を上回る水準であった。その後、国内初のBSE発生に伴う影響により、13年度第3・4四半期には合理化目標価格を下回ったものの、最近では、30万円を大幅に上回る水準で推移している。

(3)その他の肉専用種については、12年度第3四半期から13年度第2四半期までは合理化目標価格を上回る水準で推移した。その後、国内初のBSE発生に伴う影響により、13年度第3四半期以降、合理化目標価格を下回る水準で推移したものの、14年11月には保証基準価格を上回る水準まで上昇した。その後一時低下したものの、16年第2四半期以降、保証基準価格を上回る水準で推移している。

(4)乳用種については、12年度第3四半期から13年度第2四半期までは合理化目標価格を上回る水準で推移していたが、国内初のBSEの発生に伴う影響により、13年度第3四半期以降、合理化目標価格を大きく下回る水準で推移した。その後一時的に回復したものの、再び合理化目標価格を大きく下回る水準となった。15年度第3四半期以降は、回復傾向で推移し、直近では、交雑種と分離後、初めて保証基準価格を上回る水準となっている。

(5)交雑種については、12年度第1・2四半期は保証基準価格を下回ったが、第3四半期から13年度第2四半期までは保証基準価格を上回る水準で推移した。その後、国内初のBSEの発生に伴う影響により、13年度第3四半期から14年4月までは合理化目標価格を下回ったものの、14年8月以降は保証基準価格を上回る水準で推移している。

肉用子牛生産者補給金制度

(1)制度の目的

 肉用子牛生産者補給金制度は、牛肉の輸入自由化による影響(価格低落)が最終的に転嫁される肉用子牛に係るセーフティ−ネットして措置されており、肉用子牛の価格が低落し保証基準価格を下回った場合に、生産者に対し生産者補給金を交付することにより、肉用子牛生産の安定等を図ることを目的としている。

(2)制度の仕組み

 肉用子牛生産安定等特別措置法に基づき、

(1)保証基準価格は、「肉用子牛の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、その再生産を確保することを旨として」定めることとしている。

(2)合理化目標価格は、「牛肉の国際価格の動向、肉用牛の肥育に要する合理的な費用の額等からみて、肉用牛生産の健全な発展を図るため肉用子牛の生産の合理化によりその実現を図ることが必要な肉用子牛の生産費を基準として」定めることとしている。また、合理化目標価格は生産の合理化の進展に伴って保証基準価格が近づいていくことが期待される目標であり、5年ごとの設定を原則とするが、牛肉輸入自由化後の肉用子牛生産をめぐる情勢が流動的であること等から、毎年度定めることができることとされている。

保証基準価格及び合理化目標価格の算定

(1)保証基準価格

 保証基準価格は、牛肉の輸入自由化前の一定期間を基準期間(昭和58年2月から平成2年1月までの7年間)として、この間の子牛の農家販売価格及び生産コストを基本に、価格算定年度に見込まれる生産コストの変化率を織り込む需給実勢方式により算定している。

 主な算定要素の動向をみると、各品種とも総じて配合飼料費は増加、労働費は減少(1頭当たりの労働時間は短縮)する傾向となっており、総合すると各品種とも前年度と同額と試算された。

(2)合理化目標価格

 合理化目標価格は、輸入牛肉の国内価格を基本として、当該価格から「品質格差」を勘案した輸入牛肉と対抗し得る国産牛肉価格を求め、これを肥育牛の農家販売価格に換算し、更に肥育牛を生産するために必要な合理的な肥育経費(もと畜費を除く)を差し引いて子牛価格(合理化目標価格)を求める方法により算定している。なお、平成18年度の合理化目標価格の算定に当たっては、合理化目標価格は肉用牛生産者にとって長期的視点に立って生産の合理化を進めていく指標となる価格であることを考慮して、15年12月からの米国産牛肉の輸入停止措置等の影響をできる限り排除して算定を行った。

 主な算定要素の動向をみると、為替レートは円安(輸入牛肉価格の上昇要因)、出荷体重は増加、中間経費は減少していることから、総合すると各品種とも前年度と同額と試算された。
(31ページ表3を参照)

 

3 食料・農業・農村生産審議会の答申及び建議

 平成18年度の生産者補給交付金に係る加工原料乳の数量の最高限度として農林水産大臣が定める数量及び加工原料乳の補給金単価の試算結果と平成18年度の指定食肉の安定価格並びに肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格の試算結果について、3月9日、平成17年度第2回食料・農業・農村政策審議会生産分科会畜産部会に諮問し、次のとおり答申及び建議がなされた。

【答申】

1 生産者補給交付金に係る加工原料乳の限度数量及び補給金単価については、生産条件、需給事情及び物価その他の経済事情を総合的に考慮すると、試算に示された考え方で定めることは、妥当である。

2 豚肉の安定価格については、生産条件及び需給事情その他の経済事情を総合的に考慮すると、試算に示された考え方で定めることは、妥当である。
  牛肉の安定価格については、生産条件及び需給事情その他の経済事情を総合的に考慮すると、試算に示された考え方で定めることは、妥当である。
3 肉用子牛の保証基準価格については、生産条件及び需給事情その他の経済事情を総合的に考慮すると、試算に示された考え方で定めることは、妥当である。

  肉用子牛の合理化目標価格については、平成18年度につき試算に示された考え方で定めることは、妥当である。

【建議】

<酪農・食肉共通>

1 「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」を踏まえて、より競争力の高い畜産生産構造の確立を図るため、畜産経営安定対策の対象者に係る方針の下で、地域の実態に即した認定農業者の増加等を図るとともに、新規就農の促進、女性の活躍の場のさらなる充実など担い手の育成・確保に努めること。

2 今後とも自給飼料基盤に立脚した畜産経営を育成するため、飼料増産運動の下、耕畜連携による稲発酵粗飼料等の生産拡大、国産稲わらの飼料利用の拡大、地域の土地条件等に対応した放牧の普及、自給飼料の生産性向上、コントラクターの活用等の推進により、自給飼料の増産及び資源の有効利用を図ること。  

3 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律に基づく管理基準に対応するため、個別経営や地域の実情に応じ、施設整備を推進するとともに、耕畜連携の推進等によりたい肥の利活用の一層の推進を図ること。  

4 生産・加工・流通の各段階における衛生・品質管理対策を通じて、安全・安心な畜産物の生産・供給を確保すること。また、人畜共通感染症を含む家畜の伝染病について、海外からの侵入防止、国内におけるまん延防止、清浄化のための対策を推進すること。

5 WTO農業交渉においては、我が国の主張を反映した、柔軟性があり、輸出国と輸入国のバランスのとれた貿易ルールが確立されるよう取り組むこと。      

6 関連対策については、その政策目的や達成度を踏まえ、適切に見直すとともに、実施にあたっては、透明性の確立や適切な執行に努めること。

<酪農・乳業関係>

1 飲用牛乳および脱脂粉乳、バター等の需要低迷により脱脂粉乳の在庫に加えバターの在庫も増加しているという需給状況を踏まえ、生乳・乳製品の需給の改善を図るため、需給情報の的確な提供に努めるとともに、生クリーム、チーズ等の需要の伸びが見込まれる品目に仕向けられる生乳の供給拡大の推進を図ること。

2 牛乳・乳製品の栄養素バランスや多様な機能性、食生活における役割について、科学的知見に基づく正確な情報を伝え、関係者の消費拡大活動に資するとともに、国産の牛乳・乳製品の輸出の促進方策についても検討すること。

3 国際化の進展を踏まえ、乳業の経営基盤の強化と製造コストの低減を図るとともに、チーズ等輸入品との競争力を有する国産乳製品の生産拡大を促進するため、乳製品工場の再編・合理化を推進すること。

<食肉関係>

1 食肉の表示については、消費者の商品選択に資する情報提供と適正な表示の徹底に努めること。また、乳用種については、販路の開拓と定着のための総合的な生産・流通・販売対策が実施されているが、消費者の情報ニーズに的確に対応した効果的な情報発信を行うことにより、その認知度の向上を図ること。

2 科学的見地に基づき、今後とも肉骨粉等の飼料・肥料への有効利用を促進するとともに、肉骨粉の処分経費の縮減を図ること。

  また、牛せき柱の適正管理に万全を期すこと。

3 肉用牛生産基盤の安定化及び養豚経営の体質強化を図るため、繁殖基盤の強化、生産コストの低減、地域銘柄化等の推進に努めるとともに、肉用牛については、新技術や乳用牛資源を活用した生産性向上、放牧の推進等の支援を図ること。


平成18年度畜産物価格

表1 加工原料乳生産者補給金単価及び限度数量

表2 指定食肉の安定価格

表3 指定肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格
 
合理化目標価格の適用期間
今回の合理化目標価格の適用期間は、平成18年4月1日から平成19年3月31日までとする。

 


4 平成18年度の畜産物価格決定に伴う関連対策の概要

生産局畜産部 畜産企画課
調整班 松原 良雄


 平成18年度の畜産物行政価格の決定に併せて、畜産物価格関連対策をとりまとめましたので、その概要を紹介する。

 なお、個々の事業の実施につきましては、(独)農畜産業振興機構が作成する事業実施要綱に基づき、実施されることとなる。


平成18年度畜産物価格関連対策

生乳・乳製品の需給安定対策

需要の伸びが見込まれる乳製品の生産拡大への支援

 生乳需要構造改革事業(新規)7,187百万円

 指定生乳生産者団体がチーズ、液状乳製品及び発酵乳向け生乳を基準となる数量を上回って供給した場合に奨励金(増加実績分10円/kg、新規拡大分12円/kg)を交付

不需要期における生乳生産の抑制に対する支援

 需要期対応生乳生産事業(新規)482百万円

 計画生産を遵守する指定生乳生産者団体の生産者を対象に、不需要期における出荷を計画的に抑制した場合に奨励金(6円/kg)を交付

 不需要期から需要期へ生産をシフトするための技術の普及・指導に対する補助

輸出の促進等を含めた消費拡大対策の総合的推進

 国産生乳需要基盤確保対策事業(一部組替)699百万円

 牛乳・乳製品の需要動向等に関する調査・分析、消費動向の分析、栄養機能等に関する調査・研究、脱脂粉乳等の新規需要開拓のための商品開発、機能性に関する実証調査、輸出等に向けた技術開発等に対する補助

 酪農への理解を醸成するため、推進主体となる酪農家の育成、自家製牛乳・乳製品の製造のための技術研鑚等に対する補助

 製造・流通段階における品質管理の高度化、乳製品等の利用技術に関する研修会等の開催、牛乳販売店が行う普及啓発活動に対する補助

その他

 広域生乳流通体制合理化支援事業195百万円

 生乳流通の合理化を通じた流通コストの低減を促進するため、集送乳合理化について情報公開を行いつつ、計画的に取組む指定生乳生産者団体を中心とする、生乳需給情報集約システムの構築、広域生乳検査体制の整備、生乳流通の合理化を一層推進するための会議、広域生乳流通体制の整備に向けた検討、調査・分析、推進指導及び需給動向に関する実態調査等に対する補助

 加工原料乳生産者経営安定対策事業2,295百万円

 加工原料乳価格が補てん基準価格(過去3年間の平均取引価格)を下回った場合に、加工原料乳の生産者に補てん金(低落価格の8割)を交付

 広域生乳需給調整支援対策事業(とも補償による余乳処理対策等の支援)145百万円

 計画生産との整合性の確保の下、用途別需給動向等に対応した広域的な生乳供給計画作成、指導及び効率的な余乳処理のための調整及び指導に対する補助

 生乳需給の変動等により発生する余乳について、全国の区域をその地区とする農業協同組合連合会への再委託を通じた効率的な委託加工に対する補助

 酪農ヘルパー利用拡大推進事業421百万円

 ゆとりある生産性の高い酪農経営の実現を図るため、酪農家に対する利用日数の増加に応じた補助金の交付

 ヘルパー就業希望者の募集、相談活動、ヘルパー要員の養成研修の開催、新規就農希望者及び経営移譲希望者等の情報収集等を行い、ヘルパー要員の養成・確保や新規就農及び円滑な経営継承を行うための補助

 傷病時のヘルパー利用料金を軽減する互助制度の普及・定着化へ取り組んだ利用組合に対して軽減に要した費用の一部を補助

 乳業再編整備等対策事業(拡充)4,120百万円

 乳製品工場の再編合理化の推進、高度な衛生管理水準を備えた乳業工場への生産集約、牛乳・乳製品の流通の合理化及び効率化のための共同配送施設の整備、集送乳の合理化を図る上での拠点施設として、大型貯乳施設等の整備に対する補助

肉用牛対策

地域の創意工夫を活かした肉用牛の生産性向上と繁殖基盤の強化のための支援の拡充

 地域肉用牛振興対策事業(拡充)4,150百万円 

 肉用牛の効率的な生産技術の普及等のため、受胎率向上及び分娩間隔の短縮等繁殖性の向上、乳用雌牛の黒毛和種等受精卵移植の借腹牛としての活用、最新の未受精卵採取技術による肉用牛生産性の向上、子牛等の事故率低下による生産効率の向上、放牧推進のための広域的な取組の実証調査等に対する補助

 肉専用種繁殖経営への新規参入を促進するため、農協等が新規参入者等への貸付のための飼養管理施設等の整備、新規参入者等への支援体制構築に対する補助

 優良種雄牛の作出及び広域利用のための優良な育種資源の確保・利用、集中的な後代検定等に対する補助

 繁殖雌牛等の能力評価の推進のための枝肉情報の収集、分析、提供、候補種雄牛生産のための優良雌牛の確保、後代検定推進のための普及・啓発に対する補助

 肉用子牛の市場流通を促進するための集出荷計画の策定、放牧子牛流通促進等のための機器の整備に対する補助

 地域の創意工夫を活かした肉用牛振興を図るための取組に対する補助

乳用種牛肉の評価向上のための生産・販売対策の継続

 国産牛肉市場開拓緊急対策事業 600百万円

 乳用種牛肉の特徴を踏まえた全国的な販売戦略の策定、飼養管理技術マニュアルの作成・普及及び中央検討会の開催に対する補助

 地域ブランドの確立を進めるため、実需者のニーズを具体的に調査した上で、地域の実情を最大限に発揮させうる販売戦略を策定、飼養管理技術研修会の開催、各段階における飼養管理技術の高度化に資する機器の整備、トレーサビリティ制度を核として、飼料給与、衛生管理などの生産履歴情報を公開できる体制を整備、地域の販売戦略に基づく販売促進活動の実施、実需者ニーズに対応しうる加工処理機器の整備等に対する補助

肉用牛肥育経営安定対策事業、子牛生産拡大奨励事業の継続

 肉用牛肥育経営安定対策事業(マルキン事業)14,409百万円

 都道府県ごとに肥育牛1頭当たりの推定所得が平均家族労働費を下回った場合に、その水準に応じて四半期ごとに肥育牛生産者に補てん金を交付

 子牛生産拡大奨励事業6,545百万円

 子牛価格が発動基準(黒毛和種35万円、褐毛和種32万円、その他肉専用種23万円)を下回った場合に、肉専用種繁殖雌牛頭数の増頭者及び維持者に対し、販売又は自家保留された子牛1頭当たりの奨励金を四半期ごとに交付

自給飼料生産対策

飼料基盤に立脚した環境調和型酪農経営への支援対策の創設

 酪農飼料基盤拡大推進事業(新規)5,446百万円

 経産牛1頭当たりの飼料作付面積が基準面積(北海道40a/頭、都府県10a/頭)以上であり、環境保全、飼料自給率の向上に資する取組を実践している生産者に対し、飼料作物作付面積に応じた奨励金を交付

 環境保全及び飼料自給率の向上に資する取組のうち、デントコーン・ソルガムの作付かつスラリーの土中施用の実施、不耕起栽培の実施かつスラリーの土中施用の実施、無化学肥料栽培の実施、無農薬栽培の実施、緩衝帯の設置による環境保全及びその他都道府県知事が特別に認める取組の実施、いずれか一つを実施する酪農経営を支援する。

 上記の取組に加え、飼養管理の変更による一層の環境負荷軽減及び飼料自給率向上に資する取組のうち、濃厚飼料給与量の低減、経産牛飼養頭数の削減、放牧の実施、いずれか一つを実施する酪農経営に対する補助

コントラクターへの支援、草地生産性向上対策の継続

 飼料増産受託システム確立対策事業 558百万円

 コントラクターを育成するため、一定の要件を満たすコントラクターが委託農家と連携して飼料収穫等の作業を受託した場合に各作業の受託面積に応じた補助

 全国協議会連絡会議の開催及びコントラクターに関する情報の収集・提供、養成研修、普及啓発等に対する補助

 草地畜産生産性向上対策事業620百万円

 環境に配慮した生産性の高い高位生産草地への転換を推進するための調査・分析及び技術指導等、雑草種子の飛散等周辺環境への悪影響及び生産性の低下が懸念される草地の高位生産草地への転換に対する補助

 草地畜産を推進するための草地畜産コンクールの開催、総合支援プログラムの作成及びPR活動、公共牧場等を活用した放牧を推進するための入下牧時の家畜運搬、家畜衛生対策及び自給飼料生産専門指導者(放牧伝道師)の養成等に対する補助

環境対策

 畜産環境緊急特別対策事業12,689百万円

 簡易な措置により家畜排せつ物法管理基準に対応した農家等に対して、家畜排せつ物処理施設を整備するためのたい肥化施設、浄化処理施設等をリースするのに必要な機械施設の購入費の1/2を補助

 農業者団体等がたい肥の利活用を推進するために行うモデル的な取組、その成果を踏まえたモデルの全国的な普及及びシンポジウム等を通じた資源循環についての理解醸成を行う取組に対する補助

 畜産経営における環境問題を解消するため、経営・地域条件に対応した家畜排せつ物処理施設の適切な運転・管理技術の普及、高品質なたい肥生産と適正な施肥の推進等の指導体制の強化に対する補助

乳用牛対策

乳用牛の遺伝的能力向上の推進と改良集団への支援の継続

 酪農生産基盤改善支援対策事業 800百万円

 能力の高い種雄牛を効率的に生産するための地域段階での取組、生涯生産性の向上に不可欠な体型に関する遺伝的改良に必要なデータ収集、高度な繁殖技術を活用した牛群の遺伝的能力の効率的な向上及び優良な遺伝資源の確保のための取組、乳用牛の飼養管理技術の改善に必要な飼料給与情報、繁殖情報等の収集及び収集した情報に基づく指導に対する補助

養豚経営対策

地域肉豚生産安定基金造成事業の継続

 地域肉豚生産安定基金造成事業5,000百万円

 生産者等が自主的に実施している肉豚に係る価格差補てん事業を支援するための資金供給を行う基金造成に対する補助

地域養豚振興特別対策事業の継続(養豚振興体制整備総合対策事業と一本化)

 地域養豚振興特別対策事業(組替)1,008百万円

 組織的な改良及び優良種豚の確保・効率的利用体制を構築するため、能力検定の推進、多様な特性を有する育種資源(純粋種)の確保、不良遺伝形質の排除等による肉質改善の推進、人工授精の普及、適切な飼養衛生管理技術の普及等に対する取組、種豚から肥育豚まで一貫した生産性の高い組織的な肉豚生産を推進するため、生産方式の統一及び地域的な銘柄化等の取組、地域的な衛生対策、指導者研修等に対する補助

 事業の円滑な推進に必要な計画の策定、地域における課題の検討、調査、指導等に対する補助

食肉流通等対策

産地食肉センター等における牛せき柱の適正管理の推進等

 食肉等流通合理化総合対策事業(新規)2,546百万円

 産地食肉センター、大規模物流施設等における衛生対策強化、高付加価値化等総合的な食肉流通施設整備、食鳥処理施設の整備、成鶏肉の衛生管理向上及び安定集出荷体制の整備、家畜市場の機能高度化に必要な施設整備、家畜の取引・流通実態に即したトレーサビリティ制度の活用及び家畜流通の在り方等の検討に対する補助

 産地食肉センターにおけるピッシングの中止、豚原料の分別、SRM(特定危険部位)の焼却等に係る施設整備、牛せき柱を含まない原料供給契約を締結した食肉事業者が技術者及び管理者の資質向上研修等を実施した場合に促進費を交付

 効率的なと畜解体・処理、廃棄物の減量化等に係る技術の開発、産地食肉センターにおける産地情報及び個体識別情報の管理・提供のための体制整備に対する補助

 食肉の適切な規格取引を推進するための委嘱格付員の技術研修、巡回指導等に対する補助

国産食肉等の需要拡大の推進

 国産食肉等消費拡大総合対策事業(組替)801百万円

 国産食肉等の消費拡大を図るため、食肉の栄養や機能性等を消費者に伝えるためのシンポジウム等の普及啓発活動、地域食材と国産食肉を組み合わせた活用を推進するための利用技術セミナー、検討会の開催、食肉産業従事者に対する衛生研修等、国産食肉の需要拡大のため消費者と生産者との交流会の開催、外食事業を通じた消費者への情報提供、家畜伝染病や食品の安全性など専門的な情報の分かりやすい提供、地域の産品と国産食肉等を使用した特色ある食肉加工品の開発、食肉の輸出促進のための情報収集等に対する補助

 畜産副産物需給安定体制整備事業(拡充)195百万円

 学識経験者による畜産副産物製造業の経営改善及び製造技術の向上に関するセミナーの開催、畜産副産物及び製品の需給状況等の調査、需給安定と産業基盤強化のための検討会、未利用資源の発生状況調査、畜産副生物等の新調理技術の開発及び普及に関するイベントの開催、原皮の品質保持技術に関する検討会及び試験に対する補助

 EUにおける肉骨粉利用実態調査、我が国への適用可能性に関する検討会の実施、化製場が行う配合飼料メーカーへの出荷時の牛たん白質の確認検査の開始に必要な初度的経費を補助

 牛肉及び豚肉の両方を扱う食肉事業者が牛せき柱を含まない原料供給契約に加え、豚以外を含まない原料供給契約を締結し、豚残さ中の牛たん白質の確認検査を実施した場合に、促進費を交付

 家畜個体識別システム定着化事業470百万円

 家畜個体識別システムの基本となる新生子牛等へ装着する耳標の作成・配布、配布方法の検討、個体識別情報の入力等に対する補助

 個体情報を集計・分析し、畜産関係者へ提供し管理システムの改善管理に対する補助

BSE関連対策

肉骨粉の焼却処理、BSE発生農家等の経営再建支援の継続

 肉骨粉適正処分緊急対策事業10,857百万円

 畜産残さのレンダリング処理及びこれにより製造された肉骨粉の焼却処分に対する補助

 BSE発生農家経営再建支援等事業 92百万円

 BSE患畜等を飼養していた農家への支援、BSE患畜等が飼養されていた地域における地域的な影響を緩和するための取組に対する支援及びBSE患畜等を確認した食肉センター等への補助

その他

 負債の償還が困難な大家畜経営及び養豚経営の安定並びに後継者への経営継承の円滑化を図るため、長期・低利の借換資金の融通等を行う。

 大家畜経営改善支援資金特別融通補助事業(畜特資金) 融資枠700億円

 負債の返還が困難な酪農及び肉用牛経営の経営の安定並びに後継者の経営継承の円滑化を図るため、長期かつ低利の借換資金の融通を行う農協等融資機関に対する利子補給、保証基盤の拡充に対する補助

 養豚経営改善支援資金特別融通補助事業 融資枠100億円

 負債の返還が困難な養豚経営の経営の安定並びに後継者の経営継承の円滑化を図るため、長期かつ低利の借換資金の融通を行う農協等融資機関に対する利子補給、保証基盤の拡充に対する補助

 家畜防疫互助基金造成等支援事業(組替新規)1,915百万円

 牛疫、牛肺疫、口蹄疫、アフリカ豚コレラ、豚コレラ及び高病原性鳥インフルエンザの万一の発生に備え、生産者自らが行う互助基金の造成、発生時の互助基金の交付等に対する補助

 畜産新技術開発活用促進事業 54百万円

 性判別体外受精卵等の品質向上等に必要な関連技術の開発、性判別体外受精卵等の利用に向けた全国推進会議の開催、精子の分別処理や分別精子の保存に係る技術開発、情報収集・分析等に対する補助

                            
    以上


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