◎地域便り


鳥取県 ●書類裁断くずを牛のベッドに再利用

鳥取県/稲村 有美


 鳥取県では、県庁や警察本部の庁舎から出る書類裁断くず(ペーパーシュレッダーダスト)を、牛舎の敷料(牛のベッド)に再利用する取り組みを行っている。

 県庁などから排出される裁断くずは年間で約11トン。紙への再資源化が難しいため、これまではすべて焼却処分していた。

 しかし、書類裁断くずは、水分を含まず雑菌が発生しにくい、保温性が高いといった牛舎の敷料に適した特性を持つ上、使用後は牛のふんや尿と混ざることから、たい肥の原料として活用できる。そのため、県が数年前から実用化を検討してきた。

 そして、県衛生環境研究所と農業試験場の分析(ペーパーシュレッダーダストの成分分析、たい肥の安全性、たい肥の成分分析、植物への成育影響確認試験などの)により、紙や紙に含まれるインクの成分などが、牛や土壌に与える影響もなく、安全であると確認されたため、昨年秋から本格的な供給を始めた。現在は鳥取県畜産農業協同組合の乳雄育成牛舎で利用されている。

 一般に、牛舎の敷料にはおがくずやもみ殻などが使われるが、書類裁断くずを利用する場合、敷料にかかる経費はかなり削減される。その上、年間を通じて安定供給されることから、畜産農家のメリットも大きいものとなる。

 個人情報の適正な管理が求められる中、今後もますます増加が見込まれる書類裁断くず。有効利用が進めば、廃棄物の削減や資源リサイクルにつながるとともに、牛にも優しく、畜産農家のコストも下げられるとあって、「一石三鳥」の取り組みになるものと期待されている。

 県では、今後は、市町村などの他の行政機関をはじめ、一般企業に対しても、書類裁断くずの有効な利用方法として広くPRし、畜産農家との連携が図れるよう情報発信していく方針である。


ペーパーシュレッダーダストの牛舎への搬入

乳雄育成牛舎に敷かれたペーパーシュレッダーダスト

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