和牛シンポジウム実行委員会((社)岡山県畜産協会ほか5団体)は、(社)中央畜産会および中国四国農政局との共催で3月10日、岡山県新見市において「実践!!儲かる和牛経営」をテーマにシンポジウムを開催した。このシンポジウムは、中国四国地域肉用牛生産増頭行動会議の一環として実施されたもので、中国四国地域の行政機関、農業者団体、農家、研究機関など約350名が参加した。
シンポジウムでは、鹿児島県薩摩川内市入来支所産業課の下薗郁男農政畜産係長が「薩摩川内市内における肉用繁殖牛経営の振興と取り組みについて」と題して、平成17年度農林水産祭天皇杯受賞者である岡山県真庭市蒜山の石賀博和氏が「地域資源を生かした低コスト肉用牛繁殖経営」と題して、社団法人家畜改良事業団前橋種雄牛センターの高久啓二郎家畜改良アドバイザーが「これからの肉牛経営を考える」と題して、次に中国四国農政局生産経営流通部平尾正倫畜産課長が「牛放牧のメリット」と題して、それぞれ肉用牛増頭への取組などについて講演を行った。
続く意見交換では、薩摩川内市入来支所が取り組んだ母牛の繁殖改善と子牛の発育改善のために実施した人工ほ育の中で、参加者からそのきっかけ、人工ほ育における具体的な給与量と離乳時期、ストレスの少ない去勢方法などの具体的な飼養管理について質問があり、これに対して、講演者からは、日頃から子牛の発育管理を重要な視点でとらえることが大切であるなどの意見が交わされた。また、農家の既存牛舎を改修することで、ほ育、育成、繁殖、分娩のステージごとの管理を可能とすることによる、子牛の下痢の発生防止の効果やストレスの減少の効果などについても活発な意見交換が行われた。
現状の子牛価格は高値で維持されているが、今後はいかにコストを削減して繁殖経営を維持するかが大きな課題となるので、そのためのコスト削減策としての放牧利用や転作田利用による粗飼料生産の拡大などの重要性が認識されたシンポジウムであった。
また、会場の外では、発情出産監視システムの展示や岡山県総合畜産センターによる和牛相談コーナーなども設置され、参加者は熱心に見学していた。
なお、中国四国農政局は、管内の条件不利地で「土地・草・牛」を人が創意工夫で積極的に活用して成果を上げている耕畜連携・肉用牛増頭の事例集を作成し、紹介している。農政局のホームページ
(http://www.chushi.maff.go.jp/joho/chikusan/houboku.htm)からもダウンロード可能なので御活用願いたい。
耕畜・増頭事例集(中・四国農政局)
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シンポジウム会場の様子
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