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●●●日メキシコ経済連携協定に基づく枠内税率協議の結果について●●● 農林水産省は、平成18年9月21日、17年4月に発効した日本メキシコ経済連携協定(EPA)では、合意に達しなかった鶏肉および牛肉、オレンジ生果の3〜5年目の関税割当に係る枠内税率についての交渉の結果、右表のとおり合意したことを公表した。 本合意に基づき、協定改正について国会の承認が得られれば、19年4月より合意した枠内税率が適用される予定である。 なお、鶏肉の2年目の枠内税率は、1年目の協議において合意に至らなかったため、協定の規定に基づき10%削減を適用することとなる。 また、鶏肉(17年度)、牛肉、オレンジ生果(17、18年度)についてはこれ以外に市場開拓枠(無税)として、10トンがそれぞれ設定されている。 表1 3品目に係る枠内税率の合意内容 ●●●日チリ経済連携協定、大筋合意の概要●●● 日本・チリ経済連携協定(EPA)については、平成17年1月から9月まで共同研究会を開催し、同年11月の首脳会談でEPA交渉開始に合意した。その後、18年2月より交渉が開始され、4回の交渉を経て、9月13〜14日に首席交渉官会合において物品の市場アクセスについて大筋で合意となった。これで、日本が締結するEPA/FTAは、大筋合意を含めると6カ国目となる。 農林水産省は9月22日、農林水産分野に係る大筋合意の内容について公表した。 畜産物では、牛肉、豚肉、鶏肉については関税割当が行われるが、乳製品(バター、チーズ、脱脂粉乳など)は除外された。(表2) 表2 日チリEPAにおける関税割当品
目の合意内容(畜産物)
●●●8月の牛肉の輸入動向●●● 財務省が公表した貿易統計によると、8月の牛肉の輸入量(部分肉ベース)は、生鮮・冷蔵が17,512トン(前年同月比5.5%減)、冷凍が16,397トン(同4.0%減)となり、全体では33,965トン(同4.8%減)と2カ月連続で前年同月を下回った。 輸入牛肉の約9割を占める豪州産は、現地相場高が続いていることなどから、前年同月を下回る29,848トン(同6.5%減)となり、ニュージーランド産は3,147トン(同18.1%増)、メキシコ産は588トン(同25.1%減)、カナダ産は223トンとなっている。また、7月27日に輸入手続きが再開された米国産は105トンとなった。(図1)米国産は、17年12月の輸入再開時とは違い、全箱開梱検査による確認をすることとなっており、前回の再開時ほどの輸入量にはならなかった。 牛肉輸入量については、米国産の輸入が再開したが、輸出可能な20カ月齢以下の牛の出荷が減る時期に入ることもあり、どのくらい輸入されるのか、また、豪州産についても相場高による影響が出ていることから、今後の動向が注目される。 図1 牛肉国別輸入量(18年8月)
9月26日、農林水産省において全国肉豚生産出荷協議会が開催され、平成18年度肉豚の生産出荷見通しなどが協議された。 この中で、18年度の上期(4〜9月:9月は速報値)のと畜頭数は、中小規模層の戸数減少の影響はあるものの大規模層の規模拡大による頭数の増加から、ほぼ前年並みの7,735千頭(前年同期比0.1%減)とされ、下期についても、前年同期並みに推移すると予測された。肉豚のと畜頭数は、堅調な需要を背景に平成13年を底に徐々に回復したものの、16年以降2年連続減少しており、18年も前年並みと予測されたことから、生産量の上伸は見込まれていない。 出荷状況について主要生産県ごとにみると、北海道および岩手などの東北地方は、飼養戸数が減っているものの廃業分を大規模農家が吸収しているためほぼ横ばい。また、茨城、栃木、群馬などの関東地方では、種付けなどは順調であるものの、疾病の発生などで出荷頭数の減少が見込まれことから、わずかに減少。 一方、西日本の生産状況は、暑熱の影響などによる育成率の低下などから出荷頭数の減少が見込まれる地域があるものの、大規模層での増加が見込まれることからほぼ前年並みとなっている。
財務省「貿易統計」による平成18年8月の豚肉輸入量は64,784トン(▲9.6%)となり、前年同月を2カ月連続して下回った。このうちデンマークからの輸入量は、13,574トン(▲30.1%)となり、今年度は8月までの累計が73,334トンと前年同期より5万トン減の6割程度にとどまっている。 デンマークからの輸入は冷凍品が主体で、ロースハム用のMMロイン(ロースの芯部分だけにトリミングしてあるもの)、ベーコン用のばらなどの加工原料となるものが多い。 さらに、世界各地で牛肉、鶏肉に比べ豚肉の需要が高まってきていると言われていることから、今後の豚肉輸入動向が注目される。
図2 デンマークからの輸入量の推移
農林水産省は、9月26日に全国ブロイラー需給調整会議を開催し、平成18年度のブロイラー需給見通し(正肉ベース換算)について、「需要量」163万3千トン(前年度比2.9%増)、「供給量」163万5千トン(同0.2%増)、「期末在庫量」13万5千トン(同1.5%増)とした。 需要量のうち家計消費量は、総務省が公表する「家計調査」の国民一人当たり鶏肉消費量から55万5千トン(同3.0%増)と推計し、加工・業務用は推定出回り量から家計消費量を差し引いて算出し107万8千トン(同3.0%増)とした。これにより消費構成割合は、従来通りおおむね加工・業務用が7割、家計消費の割合が3割となった。 一方、供給量は国内生産については、国産指向の高まりから13年度以降増加傾向にあり、17年度の出荷計画などから推計し100万トン(前年度比2.7%増)、輸入量については、鳥インフルエンザの発生などからブラジルからの一極集中を勘案して38万3千トン(同9.9%減)としている。一方、鶏肉調製品の輸入量は、原料である鶏肉輸入量減少を勘案し、大幅な増加を見込んで25万2千トン(同8.2%増)としている。 会議上での生産者側の主なコメントとしては、生産量の増加で、価格の低迷やそれによる再生産水準維持が危惧される意見が多く出された。 また、原産地表示、JAS法の改正などで、加工品原料の国産へのシフトが加速し、供給体制バランスが崩れることを懸念する声も聞かれた。 表3 平成18年度需給見通し(正肉ベース換算)
この減産効果により、乳製品向け処理量も減少し、272,405トン(同5.8%減)と2カ月連続で前年同月を下回った。このような状況を踏まえ、(社)中央酪農会議では18年度下期の計画生産数量の見直しは行わないこととした。 しかし、飲用牛乳等の消費の低迷が続いていること、脱脂粉乳の過剰在庫の解消が当初の見通しよりも進んでないことなど、依然厳しい状態が続いていることから、関係者一丸となって需要拡大の取り組みの強化が引き続き求められている。 図3 生乳生産量
また、同時期の東京への入荷量は、112,615トンとなり前年同期を8.3%上回った。県別入荷量をみると群馬県28,036トン(同199%増)、青森県21,662トン(同9.2%増)、千葉県14,047トン(同2.3%減)となり、前年同期に入荷量の多かった茨城県や千葉県の入荷に代わり群馬県が台頭する形で2倍に増加した。(図5) 東京の鶏卵荷受会社3社の取引量を取りまとめた「鶏卵市況情報」でも東京市場への入荷量は、17年10月以降、11カ月連続で前年同月を上回って推移しており供給量が拡大している。 さらに、8月の東京の卵価は1キログラム当たり158円(前年同月比9.0%増)となり、平年に比べ高い水準にある。 9月26日に農林水産省で開催された「全国鶏卵需給連絡会議」において公表された「生産意向調査結果」(今後1、2年の生産増減に関する意向を調査:18年6月現在)においても増羽の意向が示されていることから、今後の需給バランスが注目される。
●●●平成18年10〜12月期配合飼料価格、約1,700円値上げ●●● 全農は9月20日、平成18年10〜12月期の配合飼料供給価格を、シカゴ定期は値下げとなるものの、外国為替の円安高と海上運賃の大幅な値上げから、18年7〜9月期に対し、全国全畜種総平均トン当たり約1,700円値上げすることを公表した。 全農によると、最近の原料コスト動向などの情勢は以下のとおり。 1.飼料穀物 今後のシカゴ定期は、@米国農務省の需給見通しで依然在庫率が低水準にあること、Aエタノール用の国内需要が強いことなどから、底堅く推移するものと見込まれる。 2.たんぱく質原料 魚粉価格は、@国内の魚粉生産量が引き続き低位にあり、需給がひっ迫していること、A輸入魚粉も主産地ペルーの漁獲高減少に伴い、産地価格が高値で推移していることなどから、10〜12月期の価格は、7〜9月期に比べ、大幅に上昇すると見込まれる。 3.海上運賃 今後は、@中国の持続的な経済成長による鉄鋼・発電用原料の需要増から船腹需要が継続すること、A北米産穀物の収穫時期に入り北米・アジア間の船腹需要が増加していることなどから、引き続き上昇するものと見込まれる。 10〜12月期の海上運賃は、7〜9月期に比べ大幅に値上がりすると見込まれる。 4.外国為替 今後は、日米の金利差が当面縮まらず、継続すると予想され、円売りと金利の高い米国の資金流出観測から、ドルは強含みで推移するものと見込まれる。 この値上げにより、全国配合飼料供給安定基金の補てん交付額が1,600円となり、生産者の実質の負担額は100円の値上げとなる。 |