◎地域便り


栃木県 ● 飼料自給率向上に向けた取組について

栃木県/鮎田 直子


 栃木県内の飼料作物作付け面積は、安価でかつ利便性の高い輸入粗飼料の流通や労働力不足などから、伸び悩んでいる状況にあるが、食料自給率の向上や安定的な畜産経営の確立、安全・安心な畜産物の生産、資源循環等の観点から、飼料増産は重要な取組である。

 本県では、飼料自給率を現状の25%から平成27年には35%に向上するという、国と同様の目標を掲げており、その目標達成のために、平成17年に、農務部長を議長とした「栃木県飼料自給率向上戦略会議」を設置し、飼料増産の取組を関係機関・団体が一体となって進めていくこととしている。

 平成18年度も6月に会議を開催し、今年度の行動計画として稲発酵粗飼料の生産拡大、 県産稲わらの利用拡大、放牧の推進、飼料生産の外部化、トウモロコシの生産拡大などを 柱に取り組んでいくことを決定した。

 また、各地域では、県出先機関の農業振興事務所単位に設置した地域飼料自給率向上戦略会議において、県、市町、農協が一体となって地域の実情に適した飼料増産に取り組 んでいる。

  特徴的な取組として、(1)稲発酵粗飼料については、年々増加傾向にあるが、平成18年度は、前年度より約50ヘクタール増の188ヘクタールとなった。特に、稲発酵粗飼料専用収穫機を導入した集団が中心となっている芳賀町の1集団(26ヘクタール)とさくら市の1集団(27ヘクタール)で積極的に取り組まれている。

  稲発酵粗飼料は、牧草と同等の栄養価を有し、牛のし好性も良好で、耕種農家でも栽培が容易であることから利用拡大を推進している。

 (2)また、河内、塩谷、那須、南那須の4地域で経営内放牧の実証展示に取り組んでおり、検討会などを通して、省力的で飼料代の節約にもつながる放牧の普及を図っている。今年度の経営内放牧面積は、前年度より約15ヘクタール増の158ヘクタールとなっており、実証展示を含め67戸が取り組んでいる。

 (3)さらにトウモロコシに関しては、9月20日に那須塩原市で、収穫・調製が省力的に行える細断型ロールベーラの実演会を実施し、多数の関係機関、団体、畜産農家の方々が出席し、機械の実演や講演等を通して細断型ロールベーラなどに関する情報交換などを行った。

  本県では、目標達成に向け、今後も県および地域の飼料自給率向上戦略会議を核として農家の方々の飼料増産に対する認識をさらに深めていくとともに、補助事業などをうまく活用しながら、先に述べた行動計画の柱を重点事項として取り組んで行きたいと考えている。


細断型ロールベーラ収穫・調製の様

経営内放牧の様子

元のページに戻る