酪農乳業部
当機構では、平成17年度に引き続き、18年度も「乳製品の流通実態調査(平成17年度生産実績)」を実施した。本調査は、乳製品の供給者である乳業メーカーをはじめ需要者である食品製造業、外食業やホテルなどを対象に、生産された乳製品の仕向先や需要者の用途の実態について調査したものである。 18年度の調査結果として、バターおよび脱脂粉乳の業務別・用途別消費動向についてみると、工場で生産された乳製品の仕向先は、バターでは「製菓・製パン」「小売業」「外食・ホテル」への仕向けが多く(70.0%)、脱脂粉乳は「乳業(脱脂粉乳を生産している)」「乳業(脱脂粉乳を生産していない)・アイスクリーム」「はっ酵乳・乳酸菌飲料」への仕向けが多い(76.2%)。また、バター・脱脂粉乳を原料として製造される製品を用途別にみるとバターでは「小売用」「パン類」「菓子・デザート類」が多く(56.0%)、脱脂粉乳では「はっ酵乳・乳酸菌飲料」「乳飲料」「アイスクリーム類」が多い(59.6%)。 以下に、「乳製品の流通実態調査」のうち、主要乳製品であるバターと脱脂粉乳の調査結果の概要を紹介する。 バター業種別消費量(推計) 平成17年度の国内のバターの推定消費量は、84,700トン(機構調べの推定出回り量)とし、その業種別の消費量推計を行った結果は次のとおりである。
図1 バターの流通ルート(平成17年度推計) 業種別消費量についてみると、「製菓・製パン」が全体の33.1%(28,000トン)で最も多く、次いで「小売業」が同23.0%(19,500トン)、「外食・ホテル」が同13.9%(11,800トン)、「乳業(バターを生産している)」が同10.4%(8,800トン)、「乳業(バターを生産していない)・アイスクリーム」が同8.3%(7,000トン)、「加工油脂」が同5.0%(4,200トン)、「調理食品」が同3.5%(3,000トン)、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が同0.6%(500トン)、「飲料メーカー」が同0.5%(400トン)となっている。国産バター78,700トンの消費先内訳は「製菓・製パン」が34.3%で、以下「小売業」が24.7%、「外食・ホテル」が14.7%、「乳業・アイスクリーム」が7.5%、「乳業」が7.1%、「加工油脂」が5.0%となっている。また、輸入バター6,000トンの内訳は「乳業」が53.3%、「乳業・アイスクリーム」が18.3%を占め、以下「製菓・製パン」が16.7%となっている(表1)。
表1 バターの業種別消費量(17年度推計) 次に、平成13年度からの業種別消費量の推計値の推移を図2に示した。消費量合計の推移をみると、13年度の90,900トン以降、14年度から16年度にかけて89,000トン台で推移し、17年度は84,700トンまで減少した。 業種別内訳では、13年度以降「製菓・製パン」の消費量が最も多く16年度から17年度にかけては28,000トン台で推移し,また、「外食・ホテル」においては、15年度の11,100トンから16年度には10,000トン、17年度には再び11,800トンへと増加に転じている。一方、「小売業」の消費量は2位のシェアを維持するものの、15年度の23,600トンをピークに減少傾向で推移し、17年度は19,500トンと2万トンを切っている。また「乳業」の社内消費用仕向けが13年度の17,300トン以降年々減少しており、17年度では8,800トンと半減している(図2)。
図2 バターの業種別消費量の推移
用途別消費量(推計) バターの推定消費量84,700トンの用途別の消費量を推計してみると、家庭用である「小売業」仕向け量が全体の23.0%(19,500トン)で最も多く、次いで業務用では「パン類」が同17.1%(14,500トン)、「菓子・デザート類」が同15.9%(13,500トン)、「外食・ホテル」が同13.9%(11,800トン)、「乳飲料」が同6.3%(5,300トン)、「マーガリン類」が同5.1%(4,300トン)、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が同4.7%(4,000トン)、「調理食品」が同4.0%(3,400トン)、「乳等を主要原料とする食品」が同2.6%(2,200トン)、「アイスクリーム類」が同2.5%(2,100トン)となっている。
図3 バターの用途(平成17年度推計)
表2 バターの用途別消費量(17年度推計) 次に、平成13年度からの用途別消費量の推計値の推移を図4に示した。用途別内訳の推移をみると、「小売業」の消費量が各年度とも最も多くなっているものの、15年度の23,600トンをピークに減少傾向で推移し、17年度においては2万トンを切り19,500トンに減少している。次いで「パン類」の消費量が多くなっており、13年度以降増加傾向で推移し、17年度の14,500トンが最も多くなっている。さらに「菓子・デザート類」が13年度から16年度にかけては14,000〜15,000トン台で推移していたが、17年度では13,500トンに減少している。また16年度では消費のなかった「飲料」および「調製粉乳」に17年度ではそれぞれ100トンずつ消費されている。 国産バターを原料とする乳製品の業種別製造実態(1) 乳業メーカー
表3 国産バターの業種別用途内訳
(2) アイスクリームメーカー (3) はっ酵乳・乳酸菌飲料メーカー
図4 バターの用途別消費量の推移
(4) 加工油脂メーカー (5) 製パン業 (7) 飲料メーカー (8) 調理食品メーカー (9) 外食産業 (10) ホテル 今後(直近2〜3年)の需要見通し 供給サイドからみた国産バターの今後の需要見通しは、おおむね横ばいと予測している。一方、需要者の今後の消費見通しについてもおおむね横ばいとなっており、「増やす」と予測しているのは製菓、ホテルとなっている。 脱脂粉乳業種別消費量(推計) 平成17年度における国内の脱脂粉乳の推定消費量は、202,500トン(機構調べの推定出回り量のうち、国産202,400トン、輸入100トン)とし、その業種別の消費量推計を行った結果は次のとおりである。
図5 脱脂粉乳の流通ルート(平成17年度推計)
表4 脱脂粉乳の業種別消費量(17年度推進) 次に、平成13年度からの業種別消費量の推計値の推移を図6に示した。消費量合計の推移をみると、13年度から15年度にかけて17万トン台で推移していたのが、16年度では188千トン、17年度では20万トンを超え、202,500トンまで増加している。
図6 脱脂粉乳の業種別消費量の推移
業種別消費量内訳では、いずれの年度においても「乳業」の自社内消費用仕向けのシェアが最も多くなっており、消費量も15年度以降増加傾向で推移している。また「乳業・アイスクリーム」では13年度以降年々増加し、17年度では62,400トンと13年度に比べ3倍近い消費量となっており、そのシェアも13年度の13.0%から17年度においては30.8%を占めるに至っている。さらに「調理食品」も増加傾向で推移している。一方、「はっ酵乳乳酸菌飲料」「製菓・製パン」「飲料メーカー」「加工油脂」は減少傾向で推移している。なお、17年度にこれまで消費量のなかった「外食・ホテル」において新たに300トン消費された。 用途別消費量(推計) 脱脂粉乳の推定消費量202,500トンの用途別の消費量を推計してみると、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が全体の35.4%(71,710トン)で最も多く、次いで「乳飲料」が同17.1%(34,600トン)、「アイスクリーム類」が同7.1%(14,400トン)、「加工乳」が同6.1%(12,300トン)、「調理食品」が同5.6%(11,340トン)、「乳等を主要原料とする食品」が同5.4%(10,900トン)、「飲料」が同4.9%(9,900トン)、「パン類」が同3.5%(7,000トン)、「菓子・デザート類」が同3.3%(6,600トン)、「マーガリン類」が同1.5%(3,000トン)となっている(図7、表5)。
図7 脱脂粉乳の用途(平成17年度推計)
表5 脱脂粉乳の用途別消費量(17年度推計)
また、国産脱脂粉乳の内訳は「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が35.4%、「乳飲料」が17.1%、「アイスクリーム類」が7.1%となっている。輸入脱脂粉乳の内訳は「調理食品」が40.0%、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が10.0%となっている。 次に、平成13年度からの用途別消費量の推計値の推移を図8に示した。用途別内訳の推移をみると、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」は13年度の58,000トン以降増加傾向で推移し、17年度は71,710トンとなっており、そのシェアも概ね35%前後を維持している。また、「乳飲料」は15年度の25,300トンまで減少し、16年度に増加に転じ、17年度も34,600トンと増加傾向で推移している。さらに、「アイスクリーム類」および「調理食品」は13年度から16年度の消費量に比べ、17年度は大きく増加しており、シェアも高めている。一方、「飲料」「パン類」「菓子・デザート類」「マーガリン類」では13年度以降17年度の消費量が最も少なくなっている。
図8 脱脂粉乳の用途別消費量の推移
国産脱脂粉乳を原料とする乳製品の業種別製造実態(1) 乳業メーカー
表6 国産脱脂粉乳の業種別用途内訳
(2) アイスクリームメーカー (3) はっ酵乳乳酸菌飲料メーカー (4) 加工油脂メーカー (5) 製パン業 (6) 製菓業 (7) 飲料メーカー (8) 調理食品メーカー (9) 外食産業 (10) ホテル 今後(直近2〜3年)の需要見通し 供給サイドからみた国産脱脂粉乳の今後の需要見通しは、横ばいかやや減少と予測している。一方、需要者の今後の消費見通しもおおむね横ばいだが、飲料や外食では堅調な見通しとなっている。 |
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