◎地域便り


神奈川県 ● 関東肉牛枝肉共進会で2年連続の快挙

神奈川県/川西 隆智


 関東肉牛枝肉共進会は関東7都県の持ち回りで年一回開催しているもので、各都県から黒毛和種肥育牛5頭、交雑種肥育牛2頭の7頭(開催都県については交雑種肥育牛3頭)の50頭の出品で競い合う。この共進会では個人の順位はもちろんだが、団体として都県間の順位もつくことから毎年熱の入った共進会となっている。

 今回、この肉牛枝肉共進会に2年連続で最優秀賞(農林水産大臣賞)を受賞するという快挙を成し遂げた青木義賢氏を紹介する。青木氏は神奈川県のほぼ中央、東京や横浜のベットタウンとして、また県内有数の商工業地帯として発展を遂げてきた厚木市内で約100頭の黒毛和種去勢牛の肥育経営を行っている。

 平成17年度第46回関東肉牛枝肉共進会では32カ月齢の去勢牛[父:安平照、祖父:北国7の8、祖祖父:紋次郎]で農林水産大臣賞(枝重563キログラム、BMS11、ロース芯76平方センチメートル)、平成18年度第47回同共進会では32カ月齢の去勢牛[父:福栄、祖父:金幸、祖祖父:神高福]でまたまた農林水産大臣賞(枝重582キログラム、BMS12、ロース芯73平方センチメートル)と素晴らしい成績で関係者を驚かせた。

 青木氏は昭和34年から13年間酪農経営に携わってきたが、48年に乳用種肥育に経営転向、55年には県の導入事業として黒毛和種繁殖牛を導入し、同時に黒毛和種去勢牛肥育も開始した。その後、黒毛和種や交雑種の肥育経営を進め、平成14年に都市近郊という限られた立地の中で少数精鋭、高付加価値化を図るため黒毛和種去勢牛肥育の専門経営に移行したという経緯がある。

 青木氏の経営の特徴は徹底した低コスト生産にある。牛舎は廃材や古電柱で建ち上げ、作業機械へのムダな投資もない。
給与飼料も食品製造副産物である豆腐かすやビールかすなどを活用し、飼料費のコスト低減を積極的に図るとともに、地域リサイクル資源を活用した循環型牛肉生産を実現している。

 北海道や岩手、鹿児島などから血統を吟味した素牛を導入し、卓越した技術と夫婦二人による愛情豊かな飼養管理で、肉質はもちろん、重量も十分にとれる牛に育て上げている。昨年度(17年度)に出荷した頭数は53頭、平均枝肉重量540キログラム、同肥育月齢23カ月、上物率(格付け「4」以上)82%と素晴らしい成績を残している。青木氏は昨年、かながわブランド「横濱ビーフ」を仲間と立ち上げ、消費者からは高い評価を得ている。今後とも安定した肉牛経営を維持するため更なる技術の向上を期待している



豆腐かすなどを利用した低コスト飼料


夫婦二人の愛情豊かな飼養管理

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