(独)家畜改良センター鳥取牧場は、(社)日本草地畜産種子協会および中国四国農政局との共催で、2月15日〜16日、鳥取県琴浦町において「中国四国地域飼料増産セミナー及び第13回近畿中国四国技術研修会」を開催し、県、農業者団体、農家、研究機関などから約70名が参加した。
今回は、「自給飼料と放牧の推進」をテーマに稲ホールクロップサイレージ(稲WCS)の利用、放牧に関して栄養面や繁殖面からの検討、取り組み事例について情報交換を行った。
1日目のセミナーでは、各講師によるテーマに即した講演が行われ、稲WCSが肥育牛および繁殖牛の代替粗飼料として利用可能であること、放牧によって繁殖牛の血液性状、ボディコンディションが適正化すること、放牧が長期不受胎牛の受胎促進に効果があることなどが紹介された。
2日目は当牧場において、「細断型ロールベーラーを用いたコーンサイレージの生産」、「簡易更新機を用いた草地更新」と題して、ビデオを用いた解説の後、細断型ロールベーラーとラップマシーンの見学、稲WCSとグラスサイレージのTMR給与のデモが行われた。
1日目の講演後の質疑応答では、飼料イネの給与が繁殖牛の繁殖成績などに及ぼす影響についての質問に対し、通常繁殖成績への効果は期待できないもののタンパク質含量が低いため繁殖牛に適した飼料といえるという説明があった。稲WCSに関しては、消化率や乾物摂取量に関係すると考えられる熟期や切断長についても今後検討しては−という意見や、転作水田で放牧管理に飼料イネを活用できないかという質問があり、活発な議論となった。
放牧に関しては、周年放牧における管理方法、未利用地放牧における問題点、野草地放牧における繁殖牛の管理方法などについて質問があった。周年放牧については、冬季の公共牧場の利用、防風や充分なエサの給与が重要であるとの意見や参加者からの湿田における越冬放牧の事例紹介、未利用地放牧については、ふん尿の河川への流出、臭気、あぜの崩壊などの問題点に関して、事前に周辺住民へ了解を得ていたことによりトラブルを避けることができたとの意見があった。また、野草地放牧については、バランスの悪い草地では施肥量の管理が重要であること、高タンパク質になりやすい草地では可溶性炭水化物の高い飼料の給与によりアンモニアオーバーフローをある程度防ぐことができるなど、実践に向けた具体的な意見交換が行われた。
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1日目:講演会場の様子 |
2日目:稲WCS給与デモの様子 |
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