◎地域便り


神奈川県 ●ふれあい施設「まきば館」は盛況

神奈川県/川西 隆智


 県立大野山乳牛育成牧場は神奈川県唯一の預託育成牧場で、これまで延べ3,000頭近くの雌子牛を県内酪農家から預かり、優良な後継牛として育成してきた場である。標高720mほどの独立した山からは南に足柄平野、東から北に丹沢山地と丹沢湖、西には富士山が雄大な裾野を広げ「関東の富士見百景」にも選ばれている。

 県内の酪農振興と畜産業のシンボル的役割を担ってきた当牧場であるが、この雄大な自然景観と牧歌的な雰囲気を生かし、より県民に開かれた牧場とするため、だれでもが利用できる施設として今年4月に「まきば館」が作られた。

 「まきば館」は立地環境の良さとふんだんに使われた県産材の薫りで、木の温もりのする癒しの場として、開館以来3ケ月余が経った現在でも連日来館者の姿が絶えることはない。来場者が自然と身近に触れ合えるように開放的なデザインとし、館内には畜産の情報や大野山の自然などが分かり易く展示してある。

 「まきば館」では県内の小学生などを対象とした畜産交流教室と、地元の振興会などによる数多くの地域交流行事が行われている。

 このうち、畜産交流教室では夏休みを利用した親子教室が開かれ、慣れない手つきでバターやチーズを作ったり、自分より格段に大きな牛へエサをやったり、牛乳や牛肉の話しなどを聞いて、生命の営みの素晴らしさを楽しそうに勉強していた。また、一般県民を対象にした陶芸教室では硬い粘土を手でこね上げ、それを形にしていく創造の面白さに目を輝かして取り組んでいる姿が印象的であった。この他、トールペイントや歌声喫茶など、自然の中で行われる体験教室にはみんなリラックスし楽しそうに勉強していた。

 いま、県内酪農家のご令嬢が「牛」を題材にした油絵の個展を開いており、来館した方々から「牧場で牛の絵を見られるのは感激」「牛の絵を見て更に癒された」などの賛辞を頂いている。

 「まきば館」には連日多くの見学者が訪れており、木の薫りのする館内で展示物を見たり、近くにある牛舎を覗いたり、また設置された自販機からびん牛乳を飲んだりと、すっかり自然とのふれあいに満足した様子が感じられた。

「牛さんどうぞ」畜産交流教室

「牛」を題材にした油絵の個展

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