◎地域便り


愛知県 ● デュロック種の新系統豚「アイリスナガラ」が完成しました

農林水産部畜産課/石黒 光宏


 高品質で斉一性の高い系統間三元肉豚を生産するため、愛知県では、これまでランドレース種系統豚「アイリスL2」を、また大ヨークシャー種系統豚「アイリスW2」を造成するとともに、国で造成されたデュロック種系統豚「サクラ201」と併せた3系統を愛知県畜産総合センターで維持してきた。また、岐阜県では大ヨークシャー種系統豚「ナガラヨーク」を造成、岐阜県畜産研究所で維持をし、両県の施設よりそれぞれの養豚農家へ系統豚の普及、供給を図ってきた。

 両県における三元肉豚の生産では、これまで止め雄として「サクラ201」が利用されてきたが、「サクラ201」は昭和60年に国で造成され、すでに20年以上経過しているため、種豚としての適格性が低下してきた。

 また、防疫上の理由から、オーエスキー病の清浄地域である愛知県および岐阜県に国の機関からデュロック種の新たな系統豚を導入することができず、両県の生産者から県独自のデュロック種の新たな系統造成が強く望まれていた。

 そこで、愛知県農業総合試験場と岐阜県畜産研究所は共同で、12年度から「サクラ201」に代わる新たな系統豚の造成に着手し互いに連携しながら、順調に選抜を進めてきた。そして、19年2月に完成し、愛知県畜産総合センターおよび岐阜県畜産研究所で維持・増殖が開始され、同年7月には社団法人日本養豚協会からデュロック種の系統豚「アイリスナガラ」として認定された。

 「アイリスナガラ」は、発育性や産肉性が優れており、乗駕欲が旺盛でおとなしい性質である。また、愛知県の「アイリスL2」「アイリスW2」や、岐阜県の「ナガラヨーク」との相性も良好であり、さらに、19年2月に愛知県農業総合試験場で開催した豚肉の試食会でも、「アイリスナガラ」を使用した三元肉豚の豚肉は大変好評だった。

 「アイリスナガラ」は、20年2月頃から両県の養豚農家へ譲渡が開始される予定であり、養豚経営の向上に寄与するものと生産者から大きな期待が寄せられている。

 今後は、「アイリスナガラ」の利用の推進により、系統豚の県内普及率の一層の拡大を目指していくこととしている。


デュロック種新系統豚「アイリスナガラ」

表 「アイリスナガラ」と「サクラ201」との比較
   注1)表中の繁殖成績は系統完成時(18年度)のもの。肉質成績は17年度の雄のもの
   注2)離乳は24〜28日齢
   注3)1日平均増体重は30kg時〜105kg時の成績
   注4)背脂肪厚は、体重105kg時に体長の1/2部位で測定

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