主要畜産物の需給動向 |
◆牛 肉◆
●●●12月の卸売価格、オセアニア産(グラスフェッド)の また、グラスフェッドのばら系の仲間相場(冷蔵品)も、ポイントエンドブリスケット、ナーベルエンドブリスケットともに奮わず、前年同月を下回る水準が続いている(巻末資料参照)。特に、ナーベルエンドブリスケットの仲間相場は、13カ月連続で前年同月を下回っており、12月には51カ月ぶりの500円台となる同581円(同14.2%安)となった。これは、焼肉需要の不振などと同時に、米国産の輸入量が前年に比べ大幅に増加したことも影響しているものと思われる。(図1)
図1 豪州産ばら(冷蔵)の輸入量と仲間相場 (冷蔵:グラス、ナーベルエンドブリスケット)の推移 資料:財務省「貿易統計」 財務省「貿易統計」によると、19年(1〜12月)の牛肉輸入量は474,497トン(前年比2.9%増)となり、前年をわずかに上回った。国別に見ると、豪州産が394,450トン(同2.9%減)、米国産が34,147トン(同366.5%増)となり、米国産が全体の数量の増加に貢献した形となった。その中で米国産のばらは、前年と比べ約4倍に当たる22,055トン(同392.0%増)が輸入されており、米国産輸入量に占める比率も66.8%と前年から5.5ポイント上昇している(図2)。
図2 米国産輸入量 部位別シェアの推移
資料:機財務省「貿易統計」 ◆豚 肉◆ ●●●ソーセージの流通量は輸入物にシフト●●● ソーセージの生産量はあらびきウインナーソーセージのヒット商品が生まれた平成7年の31万トンをピークにして、食肉加工製品多様化や原材料のコスト高などを背景に減少傾向にある。最近は特に主要原材料となる豚肉(主にうで、ももなどの下級部位)の価格が輸入物も国産物も高水準にあるため、日本ハム・ソーセージ工業協同組合調べによる平成19年1−11月累計の生産量は244,849トン(前年同期比2.7%減)で、3年連続して前年を下回る見込みである。 一方、ソーセージ輸入量は、18年で全体量(生産量+輸入量)の13%程度を占め、年々増加傾向が著しい。 財務省「貿易統計」による19年1−12月のソーセージ(統計品目番号1601.00.000)の輸入量は、43,392トン(前年比6.6%増)となり、16年以降4年連続で上伸を続けており、堅調な国内の豚肉卸売価格により減少したソーセージ生産量が加工品輸入で代替されていることが分かる。(図3)
図3 ソーセージの生産量と輸入量の推移
資料:「日本ハム・ソーセージ工業協同組合調査」 財務省「貿易統計」 ソーセージの輸入先を国別にみると、中国が3万トン(輸入量シェア70%)とトップで、次いで米国の6千トン(同15%)、タイ、デンマークがそれぞれ2千トン弱(同4%)と続き、中国からの輸入量は前年を3,500トン(前年比13%増)上回る増加であった。一方、昨年米国に次いで輸入量があったカナダからは、豚肉生産量の減少やカナダドル高などから、1千トンに満たない輸入量となった。(図4)
図4 ソーセージの国別輸入量
資料:財務省「貿易統計」 さらに、量は少ないもののチリからの輸入量は前年に比べ17倍の400トンと実績を上げている。 ソーセージの平均輸入単価は、平成11年以降キロ当たり500円を割り込み、平成16年の419円を底に再び上昇傾向にある。国産志向の高まりや今般の中国製冷凍ギョーザ問題の影響による今後の輸入動向が注目される。 ◆鶏 肉◆ ●●●鶏肉の推定出回り量、12月は4年ぶりの16万トン台に●●● 鶏肉の最需要期である平成19年12月の鶏肉生産量は126,807トン(前年同月比2.9%増)、輸入量は30,990トン(同26.4%増)となった。一方、機構調べによる推定期末在庫量は、117,077トン(同3.7%減)であったことから、推定出回り量は163,348トン(同2.3%増)となった。この出回り量は、平成15年12月以来の4年ぶりの16万トン台となった。出回り量の内訳を見ると輸入品35,337トン(同1.0%増)、国産品128,011トン(同2.6%増)となっている。 4年前の15年12月の出回り量は163,340トンで、その内訳は、輸入品40,993トン(全体に占めるシェア25.1%)、国産品122,347トン(同74.9%)となっており、19年12月のシェアはそれぞれ21.6%、78.4%であることから国産品へシフトしていることが分かる。(図5)
図5 鶏肉の推定出回り量の推移
資料:機構調べ 国産品の出回り量は、主要輸入元での鳥インフルエンザ発生による輸入規制などで、平成13年度以降増加傾向にあり、特に17年度以降は毎年3%台の伸びを示している。 一方、12月の鶏肉調製品の輸入量は31,494トン(同4.1%減)となり、前年同期の年度累計と比較するとわずかに前年を下回って推移している。 このことから、鶏肉および調製品全体の消費量で見ても国産品のシェアは増加していくものと思われる。 ◆牛乳・乳製品◆ ●●●12月の生乳生産量、北海道の増産を受けて
図6 生乳生産量と牛乳生産量の推移
資料:農水省「牛乳乳製品統計」 一方、飲用牛乳等の生産量は減少傾向が続いており、12月の生産量は41カ月連続で前年同月を下回る319,168キロリットル(前年同月比2.0%減)となった。総務省「家計調査報告」によると、飲用牛乳の1人当たり消費量は19年5月以来、8カ月連続で前年同月を下回って推移している。 ◆鶏 卵◆ ●●●鶏卵卸売価格(東京・Mサイズ)、
図7 鶏卵の標準取引価格の推移
資料:(社)全国鶏卵価格安定基金及び(社)全日本卵価安定基金 19年の卸売価格(東京・M)の推移についてみると、4月以降10カ月連続で前年同月を下回る低水準の卵価が続いており、特に価格が緩む7月には145円と25カ月ぶりに150円を切る安値となった。 このように卵価が低水準に推移した19年は補てん基準価格166円のところ、1,6,7,8月にそれぞれ、1キログラム当たり10円、12円、18円、4円の補てん金交付が実施された。 農林水産省が公表した採卵用めすひなの今後の出荷見通しは、前年同月に比べ、1月101%、2月105%、3月98%となっており生産量の削減は遅れ気味であることから、卵価の回復はしばらく期待できない見込みである。 ◆飼 料◆ ●●●豪州干ばつの影響を受け、19年の乾牧草の 財務省「貿易統計」によると、平成19年12月の乾牧草(統計品目番号:1214.90-090)の輸入量は、前年同月を7カ月連続で下回る177,497トン(前年同月比12.7%減)となり、輸入(CIF)価格はトン当たり33,242円(同4.1%高)となった。この結果、平成19年(1〜12月)の輸入量は2,173,152トン(前年比7.3%減)、平均輸入価格は同34,111円(同9.5%高)となっている(図8)。
図8 乾牧草の輸入量とCIF価格の推移
資料:財務省「貿易統計」 19年の輸入量を国別に見ると、米国が1,517,201トン(同1.5%減)、カナダが270,857トン(同6.6%減)、豪州が365,683トン(26.3%減)となっており、豪州産の減少が目立っている(図9)。これは、干ばつの影響から良質の乾牧草が揃わなかったことに加え、豪州国内の引き合いが強く輸出向けの数量が減少したことなどが要因とみられる。このことから、19年の豪州産乾牧草の平均輸入価格は、トン当たり37,559円(同15.0%高)となっている。
図9 乾牧草の国別輸入量
資料:財務省「貿易統計」 また、(社)中央酪農会議によると、指定団体への生乳出荷農家戸数は、生乳の減産計画や生産コス トの上昇を受けて減少しており、19年12月末現在、前年同月比5.0%減の22,080戸となっている。特に輸入乾牧草の需要が高いと思われる都府県の酪農家戸数が減少していることから、乾牧草の国内需要にも影響を与えているものと思われる。 月報「畜産の情報(国内編)の目次に戻る |