米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が本年6月に公表した世界農産物生産(World Agricultural Production)によると、中国における2008/09年度のトウモロコシ、大豆、小麦生産量は、天候に恵まれていることから、各品目とも増産とされ、そのうち、トウモロコシは、記録的な生産量になるとの見方が示されている。
各品目の生産状況などについては、次のとおりである。
トウモロコシ、単収の増加で記録的な生産見通し
トウモロコシの2008/09年度(10月〜翌年9月)の生産量は、恵まれた天候による単収増から前年度を0.8%上回る記録的な1億5,300万トンと見込まれている。
USDAによると、中国政府などの情報として、最終的な作付面積は確定していないとした上で、昨年度は大豆の利幅が大きかったことから、本年度はトウモロコシから大豆への転作が見られ、収穫面積は前年度を0.7%下回る2,780万ヘクタールとしている。
一方、単収は前年度を1.5%上回る記録的な5.50トン/ヘクタールとの見方が示されている。これは、東北部で作付けが始まる3月の雨量は少なかったが、その後、北部地域を中心として、作付けの終わる5月から発芽の開始となる6月にかけて、生育に適した天候に恵まれたことによるとしている。
大豆、トウモロコシからの転作により収穫面積は拡大
大豆の2008/09年度(10月〜翌年9月)の収穫面積は、トウモロコシから大豆への転作が進むことで前年度を8.0%上回っており、生産量は、前年度を18.5%上回る1,600万トンと見込まれている。
また、生育に適した天候に恵まれていることから単収も増加しており、干ばつの影響を受け大きく低下した前年度を9.7%上回る1.70トン/ヘクタールと見込まれている。
小麦、記録的な単収見通しで生産量は増加
小麦の2008/09年度(7月〜翌年6月)の生産量は、前年度を3.8%上回る1億1,400万トンと見込まれている。収穫面積は前年度を1.3%上回るほか、天候に恵まれたことから、単収は前年度を2.3%上回る記録的な4.87トン/ヘクタールとしている。
東部地域における冬小麦については、安徽省、江蘇省、山東省で収穫の遅れや品質の低下が見られるが、4〜5月は天候が良好であったため、6月までに収穫が終わるとしており、四川省、甘粛省における冬小麦については、5月12日の四川大地震発生時までに9割以上が収穫されていたものの、地震発生後の豪雨に加え、輸送手段、保管倉庫、製粉工場などの損害により影響が大きく、このことが生産量の減少を招いているとしている。
春小麦については、3月の作付け開始時は乾燥した天候であったが、その後の東北部、内蒙古、北西部地域での広範囲にわたる降雨は、生育に良好な環境を提供しているとしている。
中国における生産量の推移
中国における単収の推移
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