2008/09年度初期生産者乳価は前年度を8〜15%上回る
豪州の生産者乳価は、各乳処理業者が生乳を供給する酪農家に対し提示しており、生乳需給や牛乳・乳製品価格動向などに応じて、随時期中に価格(同年度の最終生産者乳価の見込価格)の見直しがおこなわれる。このたび2008/09年度(2008年7月〜2009年6月)の開始に当たり、おもな乳業者(一部乳処理業者を除く)が初期生産者乳価の提示を行った。おもな乳処理業者の提示価格は、最大手のマレー・ゴルバンが前年度当初の提示価格を9%上回ったのをはじめ、前年度を8〜15%上回る過去最高価格となっている。
乳製品の国際需給は、需要が強い一方、依然として欧州や米国の粉乳やバターの在庫水準が低いことから国際価格は引き続き高水準を維持している。豪州においては、脱脂粉乳やバターの価格が高値安定した状況に加え、2007/08年度には干ばつの影響で生乳生産量が減少すると見込まれているが、2008/09年度はさらに前年度を下回ると予測されている。このため、乳処理業者にとっては、生乳需給のひっ迫感が非常に強い状態が続いており、過去最高の初期生産者乳価となった。専門家によると、2008/09年度の最終的な生産者乳価は、2007/08年度と同水準の1リットル当たり50豪セント(51円:1豪ドル=102円)程度になると見ている。
乳処理業者は生乳獲得と効率的工場運営に腐心
ビクトリア(VIC)州およびタスマニア州の生産者から生乳を集荷しているフォンテラは6月26日、2008/09年度の初期生産者乳価について、これまでの最高であった2007/08年度初期乳価をさらに8%上回る価格とすることを公表した。
また同社では、新たに季節比例支払(Seasonal Ratio Payment)および北部供給奨励金(Northern Supply
Incentive)の導入を開始した。季節比例支払は、これまでの季節奨励金比率を維持した上で、さらにオフピーク時の生産に対しバターファット1キログラム当たり40豪セント(41円)、タンパク質1キログラム当たり1豪ドル(102円)を生産者乳価格に上乗せする。また、北部供給奨励金は、ビクトリア州北部およびその他の特定地域における生乳生産に対し、バターファット同10豪セント(10円)、タンパク質同25豪セント(26円)を上乗せする。いずれの上乗せも、生乳獲得競争が厳しい状況の下、生乳の安定的な確保により効率的な工場の稼動を図るために導入された。
2008/09年度の生産者乳価は前年度比10.2%高と予測
また、豪州農業資源経済局(ABARE)が6月23日に公表した直近の四半期ごとの農産物需給予測によると、2008/09年度の最終生産者乳価は1リットル当たり54豪セント(55円)で、前年度価格(見込値、49豪セント(50円))を10.2%上回ると予測している。これは、乳製品国際価格が高水準で推移することや、乳処理業者が工場における稼働率を維持するため、生乳獲得競争が一層激しくなるためであるとしている。
生産者乳価の推移
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