機構から

年内緊急実施の畜産経営
安定対策の概要

畜産振興部

 当機構は、配合飼料価格が高騰する中、牛肉の消費低迷などにより、肉用子牛価格や牛枝肉価格が低迷していることを踏まえ、既存の畜産業振興事業の活用(予算の範囲内でのメニュー追加や資金の運用改善)により、緊急の畜産経営安定対策を実施することとしました。

 今回の対策の実施に当たり、当機構では事業実施要綱の改正などを行い、国、事業実施主体とともに次の内容で事業説明会などを開催しました。

1 子牛価格低迷への対応

(1)肉用牛繁殖基盤強化総合対策事業(所要額45億円)の拡充

 最近の肉用牛繁殖経営においては、配合飼料価格の上昇に加え、肉用子牛価格の低落などにより収益性が極めて悪化していることから、地域の特徴に応じた以下の対策を追加する。

○ 拡充の内容
 (1)地域内肉用子牛導入促進対策の追加
 地域内で肉用牛の能力改善を加速するため、若い繁殖雌牛の的確な選抜とう汰、新たに選抜された種雄牛の有効利用を推進する。

 ア 繁殖雌牛能力向上対策
  繁殖雌牛の早期能力把握のため、初産又は2産目の産子を、県内の肥育経営が地域基準価格以上で導入する場合に、肥育データの提供を条件に、奨励金(20千円以内/頭)を交付する。

 イ 新規種雄牛の利用促進対策
  新たに選抜された種雄牛の産子を、県内の肥育経営が地域基準価格以上で導入する場合に、肥育データの提供を条件に、奨励金(20千円以内/頭)を交付する。

 (2)家畜市場活性化対策の追加
 肉用子牛の購買に来場する肥育農家などを安定的に確保するため、購入者への市場情報の提供、簡易な施設整備などの購買促進に取り組む家畜市場を支援(1市場当たり助成上限額100万円以内)する。

 ・事業実施主体:(1)、(2)とも(社)全国肉用牛振興基金協会

(2)肉用牛生産性向上緊急対策事業(所要額12億円)の拡充

 肉用牛繁殖経営においては、最近の肉用子牛価格の低落などにより収益性が極めて悪化しているため、繁殖農家が繁殖肥育一貫経営として新たに肥育を始めることにより経営の安定を図るためのパイプハウス牛舎等簡易牛舎の整備などへの支援を追加する(補助率1/2以内)。

 ・事業実施主体:(社)全国肉用牛振興基金協会

2 卸売価格低迷の肥育経営圧迫などへの対応

(1)家畜飼料特別支援資金融通事業(融資枠680億円)の拡充

 家畜飼料特別支援資金の貸付限度額については、本年3月に配合飼料価格の高騰を踏まえ、引き上げを行ったが、本年4月以降も配合飼料価格の高騰および牛肉販売価格の低迷が続いているため、配合飼料価格高騰分に相当する額としている貸付限度額について見直しを行う。

 また、飲用乳価については、来年3月から10円程度引き上げることが生産者団体と乳業メーカーと合意されたが、引き上げが実施されるまでの間、酪農経営に対して乳代の一部を前払いとして上乗せするなどの支援をする酪農業協同組合(以下「酪農協」という。)などを家畜飼料特別支援資金の融資対象者に追加する。

○ 拡充の内容 
 (1) 貸付限度額の引き上げ
 配合飼料価格の高騰を踏まえ、貸付限度額を以下の通り引き上げる。
 肥育牛 : 100千円/頭(40千円/頭)
 乳用牛 : 50千円/頭(30千円/頭)
 繁殖雌牛 : 12千円/頭(8千円/頭)
 豚   :9千円/頭(8千円/頭)
 鶏   :45千円/100羽(40千円/100羽)
 (注)貸付限度額の( )内は改定前の金額

 (2) 酪農協などに対する融資
 乳価が引き上げられるまでの間、乳代に飼料費上昇相当分を上乗せし、乳代が高くなる季節に回収する支援を行う酪農協などを融資対象者に追加する(貸付は平成21年3月まで)。

 ・事業実施主体:(社)中央畜産

(2)肥育牛経営等緊急支援特別対策事業(所要額41億円)の拡充

  肉用牛肥育経営においては、牛枝肉卸売価格の低下により収益性が更に悪化していることから、農協などが生産集団としてまとまって、出荷先の調整などの取組を行い、より効果的な販売方法などを検討する場合に、農協などを通じた肥育牛生産者への支援を追加する。

○ 拡充の内容
 対象出荷時期:平成20年12月〜21年1月
 集団取組奨励金:出荷牛1頭当たり5千円以内
 ・事業実施主体:(社)中央畜産会

3 国産牛肉の消費拡大対策の強化

国産食肉需要構造改善対策事業(所要額13億円)の拡充

 低迷する国産牛肉の消費拡大を図るため、国産食肉への理解醸成や国産食肉の需要・販路拡大を強化する。

○ 強化の内容
 (1)国産食肉への理解醸成の推進
 ア 産地等理解醸成交流会事業
  新たに大都市圏の食肉小売店やイベント会場などにおいて、国産牛肉の知識普及と併せ試食会などを実施することにより、需要拡大を強化する。

 イ 食肉情報提供体制構築対策
  国産牛肉の消費拡大を目的とする食肉情報シンポジウムや、消費者や管理栄養士などを対象とした料理講習会、国産牛肉を使用した家庭料理の普及を図るためのセミナーなどを追加的に実施する。
 ・事業実施主体:ア、イとも(財)日本食肉消費総合センター
  
 (2)国産食肉の需要・販路拡大の推進
 国産食材活用型食肉加工品製造促進事業

 食肉加工事業者による製品開発に加え、冷凍食品や惣菜製造業に商品を供給する新たな販路拡大を図るため、生産者団体等による牛肉惣菜などの開発を強化する。
  ・事業実施主体::生産者団体等

 なお、各事業の詳細については、当機構のホームページに事業内容などが掲載されているので、ご覧いただきたい。


元のページに戻る