ロシア向け、中国向けともに好調な輸出
米国農務省(USDA)によると、2007年のブロイラー輸出量は3年連続で前年を上回り、前年比10.9%増の261万8千トンとなった。これは、これまで最大だった2001年の年間輸出量である252万トンも上回り、過去最大の輸出量となる。
仕向先別に見ると、最大の輸出先は8年連続でロシアであり、輸出量は前年比21.3%増の85万6千トンとなった。ロシア向けの輸出シェアは全体の32.7%を占め、他の輸出先を大きく上回っている。また、近年急速に増加している中国向けの輸出量は前年比24.1%増の29万7千トンとなり、2年連続でロシアに次ぐ仕向け先(全体の11.3%)となった。これに対し、3位のメキシコ向け輸出は18万2千トンと前年を12.4%下回った。
2008年に入っても、米国のブロイラーの輸出は好調が続いており、3月までの累計輸出量は68万3千トンと前年同期を18.2%上回っている。USDAはドル安を要因とする輸出競争力の強化に支えられ、ロシア向け、中国向けともに2008年も輸出は増大すると予測しており、全体で前年を4.0%上回る272万2千トンになると推定している。
米国ブロイラー輸出数量の推移
主要国向け輸出単価は大きく上昇
一方、2007年のブロイラー輸出額は前年を大きく上回り、前年比47.9%増の27億3,636万ドル(2,873億2千万円:1ドル=105円)となった。これは、輸出量の増加もさることながら、2007年の平均輸出単価(FOB価格)が前年比33.4%高の1.05ドル(110.3円)/kgに上昇した影響が大きい。
輸出単価の変動を国別に見ると、主要国向けの価格がここ数年で大きく上昇していることがわかる。日本向けの輸出価格が1990年代以降同1.00ドルから1.30ドル(105.0〜136.5円)の範囲内で安定しているのに対し、2000年代前半には日本向けの半額程度で取引されていたロシア向けや中国向けの輸出単価はここ数年で大きく上昇し、2007年はロシア向けが0.87ドル(91.4円)/kg、中国向けが1.07ドル(112.4円)/kgと日本向けの1.13ドル(118.7円)/kgに迫っている。
なお、わが国の輸入ブロイラーの主要供給国がブラジルであるのに対し、ロシアや中国においては輸入ブロイラーに占める米国産の比率が高い。USDAによると、2007年においてはロシア、中国ともに輸入ブロイラーの約7割前後が米国産であると見られている。
米国のブロイラー輸出単価の推移
2007年度のブロイラー出荷額は前年比2割増
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2007年度(2006年12月〜2007年11月)のブロイラー出荷額は214億6,021万ドル(2兆2,533億2千万円)と前年の177億3,923万ドル(1兆8,626億2千万円)を21.0%上回り、2年ぶりに過去最高額を更新した。
2007年度の処理羽数は88億9820万羽(前年比0.3%増)、出荷重量(生体ベース)は492億840万ポンド(約2232万トン、前年比0.8%増)と、いずれもわずかな増加にとどまったものの、生体1ポンド当たり単価が43.6セント(100.9円/kg)と前年を20.1%上回ったことが大きく貢献した。
前述のとおり、2007年(暦年)のブロイラー輸出額は27億3,636万ドルである。輸送費などの諸掛かり込みの金額とはいえ、これはブロイラー出荷額の12.8%に相当する。米国のブロイラー業界にとって、ロシアや中国の経済動向と市場シェアの拡大が、今後、一層重要になってくるものと考えられる。
ブロイラー出荷額と輸出額割合の推移
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