需給動向 海外

◆豪 州◆

豪州産牛肉輸出量は短期的に減少、中期的には緩やかな増加を予測


◇絵でみる需給動向◇


 豪州農業資源経済局(ABARE)が3月に公表した農産物需給予測によると、2007/08年度(7月〜翌年6月)の牛肉輸出量は、前年度比6.1%減の92万トンと減少と予測している。一方、中期見通しでは、2009/10年度から輸出量は増加に転ずるとしており、その後も緩やかに増加するとみている。主要仕向け先別の輸出見通しは次のとおりである。


(1)日本向け:グレインフェッド牛肉の出荷減少などにより輸出量は減少

 豪州産のグレインフェッド牛肉の輸出量については、フィードロッド飼養頭数の著しい減少や生産コスト増や豪ドル高で推移する為替相場に伴う輸出価格上昇の影響により、2007/08年度は減少と予測している。このため、2007/08年度のグラスフェッド牛肉を含む日本向けの総輸出量は、前年度比10.7%減の36万トン(船積重量ベース)とみている。また、2008/09年度については、豪州の素畜価格の上昇によってさらに輸出量は減少し、同5.6%減の34万トンを見込んでいる。

 中期的には、米国産牛肉との競合が強まり、日本市場での豪州産牛肉の需要は減少するとしているが、これは、米国産牛肉に関する輸入規制の緩和や、消費者の信頼回復が進むと仮定した見方によるものである。しかし、今後、豪州の素畜価格の低下や為替相場の改善に伴い輸出価格が下がれば日本向け輸出量は再び増加に転じるとしており、2012/13年度には34万トンの輸出を見込んでいる。

(2)韓国向け:米国産牛肉との競合の激化により輸出量は減少

 韓国は、2008年中に米国産牛肉の輸入量を増加させるとみており、2008/09年度の同国向けの豪州産牛肉の輸出量は、前年度比18.5%減の11万トンと大幅な減少を予測している。

 中期的には、同国における米国産牛肉の輸入規制が緩和されることで、豪州産牛肉の輸出量はさらに減少するとしている。また、米韓自由貿易協定(FTA)が発効すれば、米国産牛肉価格が相対的に低下し、豪州産牛肉の需要はより減少すると予測している。このため、2012/13年度には、豪州産牛肉の同国向け輸出量は、9万トンにまで減少するとみている。

(3)米国向け:米国の牛肉生産増により輸出量は減少

 米国における輸入牛肉の需要は、2007年下半期の干ばつ気味の気象によりと畜頭数が増加し、加工用牛肉(経産牛)価格も低下したことから減少となった。この状況は、2008年にかけても継続するとみており、2007/08年度の豪州産牛肉の同国向け輸出量は、前年度比7.6減の28万トンと予測している。また、2008/09年度についても、同量の28万トンと見込んでいる。

 中期的には、米ドルに対する豪ドル安で為替相場が推移し、また、素牛価格の低下に伴い価格面で対抗できるとすれば、米国向けの輸出量は伸びるとしており、2012/13年度には35万トンに達すると見込んでいる。

牛肉の輸出量、輸出額の見通し


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