生乳生産量は2年連続の減少
豪州農業資源経済局(ABARE)が3月に公表した農産物需給予測によると、2007/08年度の生乳生産量は、前年度から継続する干ばつの影響を受け、前年度比5.1%減の909万キロリットルと2年連続の減少と予測した。また、中期的な生産見通しについては、気象条件が平年並みに好転すれば、干ばつ発生前の1,000万キロリットルを超える水準に回復すると見込んでいる。これは、世界的に高い乳製品需要を背景にした輸出需要の増加およびこれに伴う生産者乳価の上昇が予測される中で、酪農家の生産意欲の向上に伴う牛群の再構築の取り組みなどが増すとともに1頭当たりの泌乳量も増加との見方によるものである。
一方、豪州の生乳生産の中心であるビクトリア州の北部酪農地帯に面したマレー・ダーリング集水域におけるかんがい用水の供給量の不足および飼料価格の高騰など不確定な要素が多いとの見方も示しており、これらの要素が改善されなければ、酪農家の牛群の再構築のペースと収入に大きな影響を与えるとしている。
生乳生産量と生産者乳価の見通し
生産者乳価は高水準で推移
2007/08年度の生乳生産者価格についてABAREでは、1リットル当たり45豪セント(42円:1豪ドル=93.7円)と前年度を32%上回る高い水準を予測している。また、2008/09年度には、2007/08年度の見込みを20%上回る1リットル当たり54豪セント(51円)まで上昇するとしている。中期的には、生産者乳価は比較的高い水準を維持するとしながらも、世界的に乳製品生産量が徐々に伸びることで、国際市場における乳製品需給が緩和されることから、徐々に低下に向かうとみている。
主要乳製品の生産量は、緩やかに回復
2007/08年度の主要乳製品の生産量については、前年度に比べ軒並み減少としているが、その後、生乳生産量の回復が期待できるとの見込みから、2008/09年度には増加に転じるとしている。2008/09年度の品目別の生産予測を見ると、バターは前年度比16.0%増の14万5千トン、チーズは同4.4%増の35万5千トン、脱脂粉乳は同8.8%増の18万5千トン、全粉乳は同15.4%増の15万トンとそれぞれ増加するとしている。中期的には、生乳生産量の伸びに応じて乳製品の生産量は緩やかに増加すると見込んでいる。
2007/08年度の輸出量は、生産量の減少からバターを除き減少するとみているが、輸出額は、高水準で推移する国際乳製品価格を受け、4割を超える増加を見込んでいる。中期的には、輸出量は、生産増に伴い増加し、輸出額も乳製品の国際価格が比較的高い水準で推移するとの見方から増加すると予測している。
乳製品の輸出量、輸出額の見通し
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