需給動向 海外 |
米国の鶏肉輸出は好調が続く |
第2四半期の輸出量は約25%の増加米国農務省(USDA)によると、6月のブロイラー輸出量は単月ベースで過去最高の輸出量を記録し、前年同月を33.6%上回る29万3千トンとなった。これで、ブロイラーの輸出量は本年に入って7カ月連続で前年同月の実績を上回り、2008年1〜7月の輸出量は前年を22.2%上回る178万7千トンに達している。 図1は四半期ごとのブロイラー輸出量の推移を示したものである。2008年第2四半期の輸出量は81万トンと前年を28.2%上回り、過去最高の水準となった。このうち、全輸出量の約3割を占めるロシア向けは24万3千トンと前年比10.2%の増加にとどまったものの、中国向けが37.5%増(9万2千トン)、メキシコ向けが20.0%増(7万1千トン)とロシアを上回る伸びとなった。 これ以外の仕向け先の中では、ウクライナ向けが前年比137%増、キューバ向けが同102%増、韓国向けが同314%増など、それぞれ大幅に増加したことが目立つ。なお、日本向けについては前年比63%増となったが、輸出数量全体に占める割合は1.3%とわずかでしかない。 図1 ブロイラーの輸出量の推移(四半期別) 図2 ブロイラーの輸出先別うちわけ 図3 ブロイラーの部位別輸出量の推移 図4 ブロイラーの輸出品目別うちわけ ロシア向け冷凍もも四分体が輸出の主力米国から輸出されるブロイラーを品目別に見ると、2000年以降、冷凍もも四分体(レッグクォーター)が冷凍その他(むね肉や味付部分肉など)を上回り、最大の輸出品目となっている。 2008年第2四半期における冷凍もも四分体の輸出量は51万6千トンと前年を21.7%上回り、ブロイラー輸出全体の63.3%を占めた。これに次いで全体に占める割合が高いのは、冷凍その他の13.8%、生鮮部分肉の6.8%、冷凍ももその他の6.2%となっており、米国の鶏肉輸出の大半は国内消費が少ないもも肉に集中していることがわかる。 冷凍もも四分体の輸出を国別に見ると、ロシア向けが20万8千トンと全体の43.9%を占めたが、その伸びは前年同期比で6.0%の増加にとどまっている。これに対し、ウクライナ、キューバ、中国などロシアに次ぐ輸出先への供給量は、いずれも前年の2倍以上に急増している。 なお、冷凍もも四分体は、ロシア向けのブロイラー輸出量の9割以上を占める主要品目でもある。ロシアのグルジア侵攻に対する国際社会からの圧力が高まる中で、同国はWTO加盟を前提として認めた低税率のブロイラー輸入枠を削減する意向を表明しており、米露両国の業界団体の間ではすでにその削減量について合意しているとも伝えられている。 冷凍もも四分体の輸出単価はさらに上昇へ図5は米国の冷凍もも四分体の卸売価格、平均輸出単価、在庫数量をまとめたものである。冷凍もも四分体の輸出価格は、1カ月前の国内卸売価格の水準とほぼ同水準で推移していることがわかる。 2008年8月の米国北東部における冷凍もも四分体価格は前年比11.2%高の1.22ドル/キログラム(134.2円/キログラム、1ドル=110円)となり、2007年1月以降20カ月連続で前年を上回った。この間、在庫数量はわずかに増加傾向で推移しているが、輸入国の需要増大やドル安による購買力の増大などを背景に、冷凍もも四分体の卸売価格と平均輸出単価は上昇を続けている。 飼料価格の高騰などにより経営が悪化した米国のブロイラー企業は、価格の引き上げのために生産羽数の削減を進めている。これにより在庫が減少に向かえば、すでにかなりの高水準にある冷凍もも四分体の輸出価格は、さらに一段の上昇に向かう可能性もある。 図4 ブロイラーの輸出品目別うちわけ |
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