需給動向 海外

◆飼 料◆

─ IGC報告から ─
2008/09年度のトウモロコシ、生産量は高水準となる一方、需給バランスは改善せず


◇絵でみる需給動向◇


 国際穀物理事会(IGC)が8月に公表した穀物市場報告(Grain Market Report)によると、2008/09年度における小麦の需給は、記録的な生産量を背景に需給バランスの改善が見られる一方、トウモロコシの需給は、高水準の生産量であるものの、燃料エタノール向けなどの消費量が増加することで、ひっ迫傾向で推移するものと見込まれている。


小麦、期末在庫は著しく改善、主要輸出5カ国・地域は前年比46.4%増

 世界全体における2008/09年度の小麦生産量は、特に欧州27カ国、ロシア、ウクライナでの生産量が増加していることから記録的な生産量が見込まれ、前年を10.3%上回る6億7,200万トンとしている。なお、欧州27カ国やウクライナでは、降雨などで小麦の品質はダメージを受けているとされ、飼料向けに回される小麦の割合が高まっているとしている。

 2008/09年度における小麦の消費量は、前年を5.1%上回る6億4,300万トンが見込まれている。特に飼料向け小麦の消費量は、17年ぶりの増加となる1億1,100万トンが見込まれている。貿易量は、イランとパキスタンで小麦が不作であったこと、飼料向け小麦の主要な供給先である欧州27カ国と黒海地域における貿易取引が活発に行われていることから、前年度を5.5%上回る1億1,500万トンが見込まれている。

 世界全体における2008/09年度主要輸出5カ国・地域の期末在庫は、著しい改善が見込まれ、前年度を46.4%上回る4,100万トンとしている。また、世界全体における期末在庫も前年を23.8%上回る1億5,100万トンが見込まれ、2002年以来の高水準としている。


トウモロコシ、生産量は記録的水準だが、消費量はそれを上回る伸び

 世界全体における2008/09年度のトウモロコシ生産量は、記録的であった前年度を1.4%下回るものの、依然として高水準である7億7,400万トンが見込まれている。米国、中国、メキシコでは生産量の回復が見込まれる一方、アルゼンチンでは、同国内のトウモロコシ価格が低迷していることに加え、生産費が高いことから、大豆転作への動きが挙げられている。

 2008/09年のトウモロコシ消費量は記録的となり、前年を1.9%上回る7億8,900万トンが見込まれている。米国では、家畜飼養頭羽数の減少や小麦などへの代替品に需要がシフトすることで飼料向け消費量が減少する一方、燃料エタノール向けの消費量の増加が挙げられている。貿易量は、(1)世界全体の穀物生産量が増加基調にあること、(2)トウモロコシの代替品として小麦の需要が増加していること、(3)トウモロコシの輸出国である中南米諸国で食肉消費量が増加しており、これらの諸国ではトウモロコシの国内需要が高まっていること−から、前年度を12.0%下回る8,800万トンとされ、輸出国の中でも、特に米国からの輸出量の減少が見込まれている。

 世界全体における2008/09年度の期末在庫は、直近5カ年で最も低い水準となり、前年を11.8%下回る1億1,200万トンとしている。米国の期末在庫は、2,500万トンとなり、前年度の4,000万トンを37.5%下回ると予測されている。

世界全体の小麦需給について


世界全体のトウモロコシ需給について

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