需給動向 海外

◆飼 料◆
─ FAO報告から ─

2008年、生産量は増加するが、需給のひっ迫が価格高を下支え


◇絵でみる需給動向◇


2008年穀物生産量、記録的であった前年を2.8%上回る

  国連食糧農業機関(FAO)が7月に公表した穀物見通しと食料事情に関する報告(Crop Prospects and Food Situation)によると、世界全体における2008年の穀物(粗粒穀物、小麦、コメ)生産量は、記録的であった前年を2.8%上回る21億8,000万トンとされ、この増加の要因は、小麦の作付面積が世界全体で著しく拡大したことが挙げられており、2008年の小麦生産量は、同8.3%増の6億5,830万トンが見込まれている。

粗粒穀物の生産量は、世界で最大の生産国であり、かつ、輸出国である米国で洪水による被害が発生し、トウモロコシの生産量が当初に見込まれた数量を下回ることになるが、世界全体では昨年を上回る豊作とされ、2008年の粗粒穀物生産量は、同0.3%増の10億7,760万トンが、また、コメ(精米)の生産量は、暫定的としながらも、豊作であった前年を1.4%上回る4億4,430万トンが見込まれている(表1)。

表1 穀物生産量


需要の高まりから、依然、需給はひっ迫

  世界全体における穀物消費量は、2007年が前年を3.0%上回ったものの、2008年の消費量は、穀物価格の高騰が飼料用の消費の伸びに影を落としていることから減少しているため、伸び率は前年を1.1ポイント下回る同1.9%増の21億6,720万トンが見込まれている。

2008年度の穀物貿易量(7月〜翌年6月)は、減少が見込まれている。2007年度の貿易量は、前年度を4.2%上回る記録的な2億6,670万トンとなったが、2008年度の貿易量は、EUの飼料穀物生産が回復していることでトウモロコシの輸入量の減少が見込まれることから、前年度比4.4%減の2億5,500万トンが見込まれている。

2008年の期末在庫は、2008年の穀物生産量の増加が、3年ぶりに消費量を上回る見通しになることから、前年比1.1%増の4億2,540万トンとされ、在庫率は、前年の19.4%から19.7%への改善が見込まれている。

しかし、依然として、需要の拡大基調は変わらず、繰越在庫を含めた供給量は、かろうじて需要量を上回る状況から、引き続き期末在庫は、最近30年来では低い水準にとどまると予測されている。


需給のひっ迫が価格高を下支え

  FAOによると、依然として穀物価格の高止まりが指摘されている。主要な穀物価格の高止まりを下支えしている要因の一つとして、トウモロコシの需給ひっ迫が挙げられており、特に、高止まりする小麦価格については、飼料用穀物需要の代替品としての関連において、高騰するトウモロコシ価格に下支えされているとしている。

表2 穀物需給表


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