需給動向 国内

◆牛 肉◆

肉用牛経営の所得、生産費上昇で大幅に減少―平成19年度生産費公表


◇絵でみる需給動向◇


 農林水産省は平成20年12月19日、平成19年度の肉用牛の生産費を公表した。1頭当たりの資本利子・地代全額算入生産費(以下「全算入生産費」という。)は、原油価格の高騰や飼料価格が大幅に上昇した影響などにより交雑種育成牛を除いて軒並み増加した。

  繁殖めす牛を飼養し、肉専用種の子牛を販売する経営について、子牛(肉専用種)の生産費をみると、子牛1頭当たりの全算入生産費は509,607円(前年度比7.7%増)となった。増加した要因は、飼養規模の拡大などにより労働費が177,395円(同3.5%減)と減少したものの、配合飼料価格の上昇により飼料費が149,593円(同16.1%増)と増加したことや原油価格の高騰により光熱水料及び動力費が7,022円(同13.6%増)に増加したことなどによる。

 繁殖めす牛1頭当たりの粗収益は、和子牛市場価格が弱保合で推移したことにより498,596円(同4.2%減)となり、1頭当たりの所得では、前年度を50,866円下回る199,676円(同20.3%減)と大幅減となった。和子牛市場価格は、20年度に入ってさらに大きく下落し現在も低迷していることなどから、繁殖農家の収益性はさらに悪化しているものと思われる。

 一方、肥育牛(去勢若齢肥育牛)の生産費をみると、1頭当たりの全算入生産費は、もと牛導入時期(主に平成17年8月〜18年7月)におけるもと畜費が542,550円(前年度比6.9%増)となったことや、配合飼料価格の上昇により飼料費が280,161円(同20.4%増)となったことなどにより、976,959円(同9.5%増)となった。

 1頭当たりの粗収益は、去勢肥育和牛市場価格が保合で推移したことから前年度並み(同0.1%減)の948,887円となった。このため、1頭当たりの所得は、生産費の増加で前年度比68.8%減の39,812円と前年度を大幅に下回った。20年度の肥育経営の収益は、飼料価格の高騰によりさらに厳しさを増していることと思われる。

 このように、19年度の肉用牛の経営は、労働費の削減などの経営努力にもかかわらず、飼料費などの物財費の上昇や市場価格の低迷などの影響を受け苦しい状況となったことが数値となって現れている。

表1 肉用牛の生産性及び収益性


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