需給動向 海外 |
南米の干ばつは米国のトウモロコシ、大豆貿易を拡大 |
トウモロコシ生産量、干ばつによりブラジル15.5%減、アルゼンチン38.6%減米国農務省海外農業局(USDA/FAS(2009年2月))によると、南米地域を襲った干ばつは、ブラジル、アルゼンチンなどの作物生産に深刻な被害を与えており、これら南米地域における2008/09年度の穀物、油糧種子生産量は、大幅な減少が見込まれている。 ブラジルでの被害は、トウモロコシの主要生産州であるパラーナ州が最も大きく影響を受けたことから、ブラジル全体の2008/09年度の生産量は大幅に減少し、前年度を15.5%下回る4,950万トンとされている。大豆についてはマット・グロッソ州が主要な生産州であることから、干ばつの影響は緩和されているものの、ブラジル全体の2008/09年度の生産量は、前年度を6.6%下回る5,700万トンが見込まれている。 一方、アルゼンチンにおける2008/09年度のトウモロコシ生産量は、降水量が1961年以来となる記録的な低水準であったことから、前年度を38.6%下回る1,350万トン、大豆生産量は、前年度を6.9%下回る4,300万トンとされ、今回の南米地域を襲った干ばつによる被害の大きさが指摘されている。 南米地域における輸出量の減少分は米国が解消USDA(FAS)によると、南米地域からの輸出量は減少が見込まれるが、この減少分は、米国の輸出量が増加することで解消できるとしており、特に、大豆輸出については、過去最高を記録した昨年度を2.1%上回る3,225万トンが見込まれている。この背景には、100年に一度とされる金融危機により経済が混乱していることで、米国のトウモロコシ、大豆在庫は、依然、低水準であるが、国内需要の低迷による消費の減退から、輸出余力があるとしている。 金融危機は割安感のある飼料原料へシフトを加速USDA(FAS)によると、世界経済の混乱から、飼料向け需要は、相対的に割安な原料が求められる傾向にあるとしており、トウモロコシについては飼料用小麦、キャッサバ、DDGSなどに、また、大豆についてはナタネ、ヒマワリなどに代替されていることが指摘されている。このため、トウモロコシ、大豆の貿易量は、干ばつによる生産量の減少でブラジル、アルゼンチンなどからの輸出量が減少するだけでなく、世界全体の貿易量自体が減少するとの見方が示されている(注:データは3月のUSDA(FAS)による。)。 |
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