需給動向 海外

◆豪 州◆

2013/14年度までの需給予測を発表


◇絵でみる需給動向◇


生乳生産、2008/09年度以降は増加傾向で推移する見込み

 豪州農業資源経済局(ABARE)が2009年3月に発表した農産物需給予測によると、同国の生乳生産量は、2年連続の干ばつの影響を受け2007/08年度(7月〜6月)が、922万3千キロリットルと前年度を3.8%下回ったものの、2008/09年度は、経産牛飼養頭数の緩やかな増加、1頭当たりの泌乳量の増加などから、前年度比1.9%増の940万キロリットルとわずかな増加が見込まれている。また、中期的な見通しについては、世界の乳製品需要量が生産量を上回り、国際乳製品価格が回復すると予測され、豪州の生産者乳価は上昇に転じると見込まれている。こうしたことから、生産量は、干ばつ発生前の1,000万キロリットルを越える水準に回復すると見込んでいる。

 一方、2008/09年度における酪農家の収益性については、飼料価格の下落にもかかわらず、生産者乳価の引き下げにより、低下すると見込まれている。また、同国の主要酪農地域である南部地域、特にビクトリア州北部とニューサウスウェールズ州南部を中心とするマレー・ダーリング集水域で、かんがい用水に依存する多くの酪農家にとっては、かんがい用水の供給が、経産牛飼養頭数や生乳生産量の回復に大きく影響するとしている。

生乳生産量と生産者乳価の見通し

生産者乳価は2010/11年度まで低下傾向で推移、その後若干回復する見込み

 2008/09年度の1リットル当たり生産者乳価についてABAREは、国際乳製品価格の著しい下落を受け、乳業メーカーが期中に生産者乳価の値下げを決定したことから、前年度比19.4%安の40.0豪セント(26円:1豪ドル=65円)と見込んでいる。これは、前回予測(2008年12月)と比べて7豪セントの引き下げとなる。また、2009/10年度は、前年度を13.8%下回る34.5豪セントと見込まれ、この低下傾向は2010/11年度まで続くと予測している。その後、生産者乳価は、世界の乳製品需要の回復に伴い国際乳製品価格が上向くと見込まれることから、若干回復すると見ている。
なお、生産者乳価は、地域によってばらつきがあり、主に輸出向けの乳製品を生産し、生乳生産量に占める加工仕向けの割合の高いビクトリア州、タスマニア州、南オーストラリア州の酪農業において、乳価引下げの影響が大きいとしている。

主要乳製品生産量、輸出量は増加傾向、輸出額は減少傾向で推移する見込み

 2008/09年度の主要乳製品の生産量については、前年度に比べ軒並みわずかに増加すると見込まれている。中期的にも、生乳生産量の回復見込みから、乳製品の生産量は増加傾向で推移するとみている。

 2008/09年度の輸出量は、生産量の増加や豪ドル安による輸出環境の改善により増加するものの、輸出額は、国際乳製品価格の大幅な下落により、前年度比6.4%減と見込まれている。2009/10年度以降について、輸出量は増加傾向で推移するが、輸出額は2010/11年度まで減少傾向で推移すると見込まれている。

乳製品の生産量、輸出量、輸出額の見通し



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