輸出事例

東アジアで人気の「北海道産LL牛乳」



 農林水産省では、平成25年までに輸出額を1兆円規模に拡大するという目標の下、官民挙げての総合的な輸出戦略を推進している。こうした中、各地の畜産物輸出事例について、随時、本稿で紹介していくこととする。
今月は、国内最大の酪農地帯である北海道のLL(ロングライフ)牛乳について、ホクレン農業協同組合連合会が中心となって行っている輸出の取り組みなどを紹介する。

生乳生産量は国内最大

 北海道は、国内最大の酪農生産地帯であり、約82万頭(総飼養頭数:平成20年2月1日現在)が飼養され、全国で飼養される乳用牛の約53%を占めている。全国最大の乳用牛飼養頭数を背景に、平成19年度には全国の生乳生産量の48%に当たる383万トンの生乳が生産され、牛乳やチーズなどの乳製品として全国に供給されている。

雄大な自然に育まれた「北海道ブランド」

 北海道の酪農は、明治初期に始まり同23年にホルスタイン種が初めて導入され、その後昭和に入ってからは乳牛飼育が本格化した。現在も道内で飼養される乳用牛のほとんどが、ホルスタイン種となっている。

 また、雄大な自然の中で生産された北海道産の牛乳・乳製品は、「北海道ブランド」として全国でもその知名度が高い。北海道では、近年の食の安全・安心に対する意識の高まりから、平成18年5月の「ポジティブリスト制度」導入に対応した生乳の生産管理の徹底、乳質向上への取り組みを行い、世界でもトップレベルの生乳の衛生的な乳質を誇っている。

平成8年からLL牛乳の輸出を開始、平成19年度の輸出量は349トン

 北海道では、ホクレンが中心となって北海道産LL牛乳の輸出の取り組みを始め、4年の歳月をかけ香港政庁から輸入許可を取得し、平成8年に輸出を開始した。その後、輸出先が広がり、現在は、香港のほか台湾、シンガポール、中国本土へ輸出されている。輸出先国(地域)では、北海道産LL牛乳は、安全・安心で高品質、さらに濃厚で味が良いと高い評価を得ている。

 北海道産LL牛乳の輸出量は、開始当初の平成8年度には90トン程度(香港向け)であったが、輸出先でのきめ細かな販売対応と積極的なPRに加え、輸出先国(地域)における、食の安全・安心に対する意識の高まりから需要が増加し、平成19年度には開始当初の約4倍の349トンとなっている。また、平成20年9月に発覚した中国産牛乳・乳製品へのメラミン混入の問題を背景に、輸出先国(地域)において乳製品の安全性に対する関心が高まったことなどから、平成20年度の輸出量は、前年度比2.2倍の780トンと大幅な増加が見込まれている。

※LL牛乳とは

 135〜150度の高温で滅菌し、光や空気を遮断するアルミ箔張りの紙容器に無菌充填された牛乳。未開封であれば長期間(3カ月程度)の常温保存が可能。
協力:ホクレン農業協同組合連合会

輸出されるLL牛乳

 


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